漫画を愛するライター・中川 薫がバイラ女子におすすめの漫画をピックアップ! 今回は、『東京タラレバ娘』や『海月姫』など、ヒット作を数多く手がける東村アキコの最新作『銀太郎さんお頼み申す』をご紹介。
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中川 薫
マンガ・お酒・旅好きライター。最近の趣味は日常に“ファンタジーをひとつまみ”入れること。深みが出ます。
ひと目ぼれした師匠の背中。極めていきます“きもの道”
©東村アキコ/集英社
『東京タラレバ娘』や『海月姫』など、ヒット作を数多く手がける著者の最新作。「ずっと描きたかった」と語っていた“きもの道”を美しく、そして小気味よく描いている。
主人公は、カフェのバイト店員・さとり。メガネの地味っ子のさとりは、ある日、カフェにやってきたミステリアスな魅力を放つきもの女性・銀太郎に心を奪われ、勝手に弟子入り。そして、銀太郎のきもの姿、所作、粋な受け答えを目にし、伝統や文化、それらを背負う人々の生きざまに惚れ込んでいく。一般的な家庭で育ったさとりは「日本人なのに何も知らない」と痛感するが、むしろ「知らないことが嬉しい」と、驚異的な行動力と適応能力でなじんでゆく。
きものがテーマなだけに、帯の締め方、きものの柄、俳句などの“和”の常識が満載。とっつきにくいそれらが“東村節”とも言うべきテンポのよさとコミカルさでスルッと頭に入ってくるのが嬉しい。さとりに倣って、銀太郎の背中を追いかければ、粋な“きもの美人”になれるかも⁉
『銀太郎さんお頼み申す』
東村アキコ著
集英社 1巻 902円
バイト先にやってきた客のきもの女性の美しさに感動した、さとり。ある日、彼女に頼まれ器展の手伝いをする。そこで奥深い日本文化の世界に魅了されて……。
漫画好きならこれも必読!
『(泣)ーかっこ なきー』
西 炯子著
小学館 1巻 550円
あの少年も、このオジサンも。“男の涙”が光る人間賛歌
バレエ少年、港区男子、推し活老人、父と三兄弟etc.。“泣く男”たちの、それぞれの事情を描いたオムニバス。彼らの“(泣)”が“(笑)”に変わるその瞬間、愛おしさが広がる。
イラスト/ユリコフ・カワヒロ ※BAILA2023年2・3月合併号掲載