漫画を愛するライター・中川 薫がバイラ女子におすすめの漫画をピックアップ! 今回は、お笑い芸人・カラテカ矢部太郎さんの最新刊! 立派でも、立派じゃなくても、生きているものすべてが愛おしくなる物語『楽屋のトナくん』をご紹介します。
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中川 薫
漫画・酒・旅好きのライター。最近、自家製ジンを漬け始めました。ハーブから果物まで相性抜群で、よき♪
©矢部太郎/講談社
手塚治虫文化賞短編賞を受賞したエッセイ漫画『大家さんと僕』(新潮社)で、漫画家デビューしたお笑い芸人・カラテカ矢部太郎さん。ほのぼのした味のある絵と優しい視点で描かれる登場人物たちのエピソードが高く評価されている彼の最新刊。
トナたろうは、動物園の舞台で人気者になることを夢見ている。舞台裏には、ガサツなスカンクのポール先輩や元気印の猿・アーコなど、実在の芸人をほうふつとさせる動物たちが集っている。犬猿の仲なのに、弁当の好みや文句を言うタイミングは息ピッタリの大ベテランコンビ、驚異の以心伝心ぶりを見せる老師匠と弟子たち、亡くなってもなお楽屋で話題にのぼる師匠など、“芸人あるある”話が満載。登場人物(動物だけど……)たちの“ダメなのに愛すべき部分”が絶妙なさじ加減で配分されていて、どのキャラも、愛おしくなってしまう。温厚な芸風で知られる著者の人生哲学にあふれた本作。なにかと勝ち負けをつけたがる、こんな世の中だからこそ、チェックしておきたい。
『楽屋のトナくん』
矢部太郎著
講談社 1巻~ 1100円
先輩にはいびられ、後輩にはナメられ、観客には空気扱いされる、お笑い芸動物のトナたろう。クセが強すぎる仲間とトナたろうが過ごす楽屋での日常を描いたアニマル賛歌。
漫画好きならこれも必読!
『うそつき婚と星月夜』
ささきさ著
小学館 1巻~ 715円
天涯孤独のヒロイン、美形天文学者に“契約”を持ちかける!?
天文台に暮らす、天文学者の夫と元フラワーショップ店員の妻は“契約結婚”関係だ。恋愛感情を知らない夫は、献身的な妻の姿に、見知らぬ感情を抱き始めて……。
イラスト/ユリコフ・カワヒロ ※BAILA2022年12月号掲載