『まく子』 西加奈子 著・イラスト 福音館書店 1500円
温泉街で「ぼく」の家族が営む通称「いろは荘」に、ある日コズエとその母が越してきた。彼女は変できれいで、ほかの女子とは違ってた……。彼女をめぐる秘密と、彼の成長のありようを描く温かな一冊。
『軽薄』 金原ひとみ 新潮社 1400円
10代でストーカーに殺されかけたカナは、29歳の今、夫と息子を得て何の不満もないはずだった、10年ぶりに甥と再会するまでは。年若い彼との、軽薄で破滅的な関係の末に、見いだしたものとは。
『いのちをむすぶ』 佐藤初女 集英社 1600円
弘前の山麓で憩いの家〈森のイスキア〉を長年主宰し、今年2 月に惜しまれつつ逝去した初女さん。心身に重荷を背負う人々とともに生き、手料理をふるまった根底の理念とは。最後の66のメッセージ。
文/江南亜美子