漫画を愛するライター・中川 薫がバイラ女子におすすめの漫画をピックアップ! 今回は、アラサー女性のリアルを描いた『普通の人でいいのに!』が大きな話題になった冬野梅子先生の最新作『まじめな会社員』をご紹介します。
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中川 薫
漫画、音楽、旅を愛するライター。2年弱ご無沙汰している間、なじみのお店が減っていた。悲……。
© 冬野梅子/講談社
自らの選択によって泥沼へと堕ちてしまうアラサー女性のリアルを描いた『普通の人でいいのに!』は、2020年、SNS上で注目を浴びた作品。この作者の最新作も、なかなかの地獄みがあって目が離せない。
契約社員のあみ子は、社会で求められている自分に近づくべく、テンプレを駆使して職場の人間関係をソツなくこなし、マッチングアプリで惰性的に婚活中だ。ときどき同じような婚活仲間と漠然とした不安を語り合い、つかの間の気分転換……。よくあるOLの日常系作品だと思いきや、「形式から逸脱せず、相手が期待していることを言って気まずい空気はつくらない」「いっそ変人に徹したほうがコスパがいい」など、社会人が無自覚にやっている行動を分析、言語化して、読み手の心を鋭くえぐってくる。それが的確であるゆえにつらい人も、ほっとする人もいるはず。正直、私は少し怖い。あみ子が他人の価値観に合わせて出した「最適解」を客観視することでしか「自分の個性」が出せないんじゃないかと……。自我の意味を再考するのに最適な一冊。
『まじめな会社員』
冬野梅子著
講談社 1巻~ 715円
彼氏いない歴5年の契約社員・あみ子(30歳)。生き方が多様化された時代なのに、未婚の自分への風当たりは厳しい。社会におもねりながら自分らしさを模索するOLの日常物語。
漫画好きならこれも必読!
『僕らが恋をしたのは』
オノ・ナツメ著
講談社 1巻~ 726円
70歳を超えてもなお、美しく輝く恋と人生
お人よし、プレイボーイ、山男、無口。アラセブの男4人が気ままに暮らす山奥に謎の美女が来訪。大人の魅力輝くラブロマンス。
イラスト/ユリコフ・カワヒロ ※BAILA2022年1月号掲載