本を読むことは好き? いつ、どんなものを読んでいる? バイラ読者と本との関わりをリサーチ。アンケートから見えてきたのは、「読書への関心は高い」という事実。
文芸評論家
三宅香帆
1994年生まれ、高知県出身。学生時代は『万葉集』の研究をしていた。会社員との兼業を経て、専業の文芸評論家に。『人生を狂わす名著50』(ライツ社)など、本にまつわる著書多数。
Q.ズバリ、読書は好きですか?
「バイラ読者は、読書好きな人が9割とかなり多い印象です!」と三宅さん。娯楽が多様化し、特に動画コンテンツが充実している中でも、「活字でしか味わえない世界がある」「まとまった情報は本で押さえておきたい」など、読書に対する好奇心は、みんな持ち続けている様子。
Q.学生時代と比べて、読書量に変化はありますか?
約4割強の人が本を読む時間が「減った」と回答しつつも、「増えた」と答えた人もほぼ同数。「Q1で読書が好きと答えた人は多かったのに、読書量が減った人は半数近い。働き盛りのバイラ世代らしい結果ですね」(三宅さん)
Q.読書量が「減った」理由は?
「理由は様々ですが、“時間がない”という理由がメインのよう。「働いていると本が読めなくなる5つの理由」でもお話ししたように、通勤中など読書のタイミングを一度決めてしまうのが習慣化のコツ」(三宅さん)
「仕事をしているとまとまった時間が確保できず、すき間時間はスマホで終わってしまう」
「推し活などほかに趣味ができたため、読書に割く時間がない」
「書店に行く機会が減ったので、読みたい本になかなか出会えない」
Q.どのくらいのペースで本を読みますか?
読んでいる人は、月に2~4冊とけっこうなペースで読んでいる! その一方で半年に1冊や2~3カ月に1冊、と、ゆっくりと読書を楽しむ人も。「育児などで時間が取れないときはペースを下げてもよいので、読書習慣を途切れさせないことが大事なのかもしれません」(三宅さん)
Q.どんなジャンルを読むことが多いですか?
人気なのは小説、ライトノベルといった趣味や娯楽性の高い分野。仕事の息抜きに好きな本を読んで楽しむバイラ読者が多数。自己啓発、ビジネス・経済本など、スキルやキャリアアップに関する本を好んでいる人も。
1位 小説…120人
2位 エッセイ…46人
3位 自己啓発…32人
4位 趣味・生活関連の実用書…30人
5位 ビジネス・経済…23人
6位 ノンフィクション…12人
7位 海外文学…10人
8位 詩・短歌…4人
(複数回答可)
Q.本を手に取るきっかけは?
「“タイトルや帯に惹かれた”はもちろん、“好きな芸能人がおすすめしていたから”など、理由は何でもOK。その一冊が読書の楽しさを思い出すきっかけになるかもしれないので、まずは書店へ足を運んでみて!」(三宅さん)
1位 タイトルや帯に惹かれて…108人
2位 好きな作家の新刊が出た…92人
3位 表紙のデザインに目が留まった…64人
4位 書店で推されていた…63人
5位 SNSで話題になっている…59人
6位 テレビや新聞などの書評で気になった…51人
7位 知人からおすすめされた…42人
(複数回答可)
Q.いつ本を読むことが多いですか?
寝る前のひとときや、通勤など移動中のすき間時間が、バイラ読者の2大読書タイム! 就寝前の読書は「寝る前にスマホを見たくないから」という理由の人もいれば、日々のリラックス的な習慣にしている人も。「私は入浴中を読書時間にあてています」(三宅さん)
Q.読むときは紙?電子?
「2冊、3冊となると持ち歩いているときに重たい!」という意見もあれど、紙本を読んでいる人が7割以上という結果に。「小説やエッセイなどは紙、ビジネス系や自己啓発の本は電子」と、内容によって両方を使い分けている読書の達人もいた!
※2024年11月1日〜11月4日に実施。160人が回答。
働いてから読書習慣は変わった?スーパーバイラーズのリアルTALK
スーパーバイラーズ
諸田景子さん(34歳・マスコミ)
仕事関連の読書で精一杯
スーパーバイラーズ
山川京香さん(32歳・IT系)
大学卒業後、読書量が激減
スーパーバイラーズ
阿部晴菜さん(39歳・秘書)
本を読む楽しさを再認識
山川 ねえ二人とも、なんか面白い本ない? ……って、こんな話をする時間自体が激減してる今日この頃。私、高校時代は3日に1冊のペースで小説を読んでたのに、今は月に2冊読めればいいほう。Amazonのウィッシュリストには、読みたい本がどんどんたまってる。
諸田 わかる。仕事用の本は読んでるけど、“趣味の本”は後回しになりがち。
阿部 実は私は、働き始めてから読書量が増えたタイプ。昔からマルチタスクが得意だったんだけど、中学時代に読んだ『チーズはどこへ消えた?』を再読したら、「活字に集中するとこんなに雑念が消えるのか!」と気づいて。今は夜寝る前に部屋の照明を落とし、アロマスプレーで好きな香りを漂わせながら、ゆっくりと本を開いてます。土日のどちらかはカフェで本を読む時間をつくってる。私の中で読書は“瞑想”的な感覚なんだよね。
諸田 なるほど! 私も息抜きのために、ブックホテルへ行ったことが。絶景ホテルにこもって読書をしたこともあるよ。小説、ジェンダー系の本と、自分が好きなジャンルのものに没頭できた。
阿部 私はビジネスや生き方系の本に惹かれるんだよね。読んできた本=その時々の悩みの遍歴みたいな感じ(笑)。
山川 ココ・シャネルの伝記とか、勇気が出るよ。私は辻村深月さんの小説のファンで。人間心理を深く描いた言葉に浸るのは、読書でしか得られない体験。
阿部 そうか。色々と読んでみよ~!
諸田 今日みたいに、顔が見える相手と読書事情や本の話ができるって楽しい。
山川 課題図書を決めたりして。「バイラーズ読書会」、今度やってみたい!
取材・原文/石井絵里 ※BAILA2025年2・3月合併号掲載