韓国ドラマ大好き! なライターが、ぜひおすすめしたい作品を紹介する連載コラム。
今回は、人気演技ドル、チャ・ウヌの出演で注目された、愛する人を失った2人が真実を明らかにしようとしながら傷を癒していくヒューマンミステリー『ワンダフルワールド』のあらすじや見どころを紹介します。
CONTENTS
1.『ワンダフルワールド』作品概要

『ワンダフルワールド』
全14話
出演:キム・ナムジュ、ノ・ジョンウィほか
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ディズニープラスのスターで全話独占配信中
【あらすじ】
最愛の息子を殺され、人生が一変した女性・スヒョン(キム・ナムジュ)が出会ったのは、憎しみに囚われた孤独な青年・ソンニュル(チャ・ウヌ)だった。幼いころ家族を亡くしたソンニュルと、幼い息子を亡くした自分の境遇を重ね合わせるスヒョン。しかい、お互いの秘密を知った時、運命は狂い始める。
2.幸せ家族が、瞬く間に不幸のどん底へ

本作を一言で説明すると、満ち足りた幸せ家族が、わずか数時間で不幸のどん底に落ちるヒューマン・クライム・サスペンス。
絵に描いたような幸せ家族の姿から物語は始まります。中心人物となるのは、心理学教授兼作家のスヒョン(キム・ナムジュ)。5歳の息子ゴヌ(イ・ジュン)やテレビ局の記者だった夫スホ(キム・ガンウ)との仲も良好、自著も大きな賞を受賞するなど、順風満帆の日々を送っていました。そんなある日、最愛の息子ゴヌ(イ・ジュン)が、母親への誕生日プレゼントを準備するために自宅の庭に残ると笑顔で返事をしたあと、帰らぬ人に。
ここから場面は転換、雰囲気も一変します。

ゴヌの姿が見えないことに気づき、近所を探し回るスヒョンとスホ。焦りは不安に変わり、表情も切迫していくなか、スヒョンの目に飛び込んできたのは、ひき逃げに遭い、担架に乗せられた息子の姿でした。彼女の悲しみは息子が荼毘にふされたあとも終わることなく、場面は権力によって歪められた不条理な裁判のシーンへ。「法の意味とは?」「被害者や遺族への尊重は?」と第三者でも憤らざるを得ないような、“ほぼ無罪”判決を受けたスヒョン。たまらず、加害者をたずねた彼女を待っていたのは、加害者からの心無い言葉の数々。絶望の淵に立たされたスヒョンは、加害者めがけて車のアクセルを踏み込んで……。


序盤のソンニュルの表情が硬い。
3.“復讐後の生き方”を提示してくれる癒しの作品

ここまで読むと「韓ドラあるあるの復讐劇じゃないの?」と思う方もいらっしゃるかと。安心してください。本作は期待を裏切ります!
韓国ドラマお得意の“ざまぁ”な、カタルシス効果抜群の復讐モノではありません。スヒョンがアクセルを踏む前も後も、スカッと感はゼロ。むしろ、息子を喪った母親の絶望、憎しみ、葛藤、息子への愛情といった悲痛な感情にあふれ、観ている側の心が押しつぶされそうになる重苦しさ。しかし、感情や怒りに任せてではなく、静かに、息子の命を奪った相手に自ら制裁を加えるのです……。

ここまでが第一話の内容ですが、すでに復讐が終わっている本作の、今後のストーリーが気になりますよね? 本作は復讐ドラマですが、クライム・サスペンスでもあり、また「いちばん見たくなかった」「向き合いたくなかった」感情と向き合い、それを受け入れることによって傷を癒していくヒーリングドラマでもあります。
謎説き、そしてスヒョンたちがネガティブな感情と向き合う姿を通して「負の感情との向き合い方」「復讐後の生き方」を描いているところが、これまでの復讐モノとは一線を画していると思いました。
“泣ける”“癒されたい”と思っている方は、ぜひ本作をご覧ください。

ちなみに、第一話ではチャ・ウヌの登場シーンは2分もないのですが(笑)、ストーリーと展開がすさまじいので、息をするのも忘れる速さで観られると思います!
4.“陰のある男”を演じるチャ・ウヌの色気は一見の価値あり

本作にはもうひとつ、大きな見どころがあります。それは、演技ドル代表のチャ・ウヌが熱演しているところです!
チャ・ウヌは、2016年にデビューしたASTROというボーイズグループのメンバー。浮世離れした端正なビジュアルから、K-POPファンの間では「推しは推し。ウヌはウヌ」という、「推しはほかにいても、チャ・ウヌのかっこよさは認めざるを得ない」という意味の言葉が普及しているほど。さらに、“顔天才”という異名も。
アイドルとして世に出るより前の2014年に俳優デビューも果たしています(映画『世界で一番いとしい君へ』)。アイドルデビュー後は、『私のIDはカンナム美人』(2018)、『新米史官ク・ヘリョン』(2019)と『女神降臨』(2020)など立て続けに出演し、隠しきれない美貌とさわやかな演技で観る者を魅了してきました。『ワンダフルワールド』(2024)では、犬が苦手な教師を演じて、“小型犬から逃げまどうイケメン”の尊さを世に知らしめ、演技ドルとしてさらに存在感がアップ!

そんなチャ・ウヌが、今作ではある事件に巻き込まれて以来、底辺の人生を転々としながら荒々しく生きる青年ソンニュル役を演じています。彼はスヒョンの運命を大きく揺るがすキーマンなのですが、あるときは意味深に近づいては離れ、またあるときは無慈悲な悪魔のような表情を浮かべるなど、とにかくミステリアス。彼が登場するシーンは、一瞬たりとも目が離せません。
なぜなら、ラブコメ王子ではない、ワイルド系チャ・ウヌが見られるから。
ソンニュルは復讐心に燃える役どころ。彫像のような美しい顔で冷酷な表情を浮かべる様子にゾクッ。葛藤の果てに涙をこぼす姿にゾクゾクッ! また、工場勤めなので、汚れた作業服やカジュアルなシャツやTシャツ、革ジャンなどが普段着。そんな服からのぞく太い腕や厚い胸板がチラッ。日々の労働で鍛えられたであろう、見事な肉体美は眼福の極みです。
そして、スヒョンの人柄を知っていく過程で、ソンニュルにとっては受け入れがたいであろう真実と向き合うことになるんですが、頭と心、相反する気持ちに揺れてはもがく演技は繊細で美しく、ソンニュルという役に深みを与えていました。

チャ・ウヌの一挙手一投足から放たれる輝きは、切ないくらいにまぶしくて。そのまぶしさは、ソンニュルが失った、今は亡き大切な人とともに暮らしていた世界を輝かせています。二度と戻ることのない美しい日々を懐かしみながら、ソンニュルは、新しい「ワンダフルワールド」を作っていくんだろうな、と、そう感じさせてくれました。美しさってすばらしい!
スヒョンやソンニュルのような人も、そうでない人も。
生きとし生けるすべての人々が「なんて美しい世界なんだろう!」と思うことのできる世の中になることを願いながら、本コラムを締めくくりたいと思います。
5.『ワンダフルワールド』の視聴はこちら



























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