話題の新NISAがいよいよスタート。これから始める人も、すでにNISAをしている人もフル活用できる方法を徹底解説。今回は、ファイナンシャル プランナー高山一恵さんと先輩Tにアドバイスを受けながら、編集HがNISA口座を開設。つみたて投資枠で商品を購入するまでをレポート。
ズボラさんでも、できちゃう! まずは新NISAで「つみたて投資枠」を始めよう
ファイナンシャル プランナー
高山一恵さん
Money&You取締役。女性向けWebメディア「FP Cafe」「Mocha」やYouTube「Money&You TV」の運営、女性にお金の知識を伝えるための講演や執筆など幅広く活躍。近著に『1日1分読むだけで身につくお金大全100』(頼藤太希氏との共著・自由国民社)など著書多数。
編集H
投資に目覚めた先輩Tに刺激を受けて、NISAを始めることを決意。しっかり者だがお金の管理は苦手。
1.新NISAを始めるにはNISA口座の開設から
NISA口座の開設は新NISAのはじめの一歩。一人ひとつだけ持てます
新NISAとは、「NISA口座(非課税口座)」内で、毎年一定金額内で購入した金融商品から得られる利益が非課税、つまり税金がかからなくなる制度。まず必要なのが、金融機関でのNISA口座の開設。手続きには本人確認書類とマイナンバーを提出します。
《キホンのキ》NISAの口座は一人ひとつしか持てない
金融庁が定めたNISA口座のルールは「一人につきひとつだけ」。申し込み後は金融機関を通じて、二重開設になっていないか税務署の審査が行われます。またNISA口座は証券会社なら総合口座、銀行なら投資信託口座の中に別枠でつくるイメージ。つまり初めて取引する金融機関で手続きする場合は、同時にそれらも開設する必要があります。
Q.NISAの口座をつくり直すことは可能?
A.金融機関の変更は可能。ただし年単位で、注意点もあり
口座変更をするためには、口座変更をしたい年の前年の10月1日~口座変更をしたい年の9月30日までに変更の手続きをすませる必要があります。その際、変更したい年にNISAで一度でも買い付けをすると、その年は変更できなくなるので要注意です
2.金融機関を選んでNISA口座をいざ開設
金融機関選びはサービスが異なるので吟味が必要
銀行や証券会社などNISA口座を開設できる金融機関はたくさんありますが、それぞれサービスの内容が異なり、取り扱い商品や手数料に差があります。新NISAでは制度が恒久化され、長期プランでの資産形成が可能になるので慎重に選びましょう。
《キホンのキ》NISA口座を開設する際、銀行と証券会社を比較
銀行
対面で説明を受けられ、普段から利用している銀行なら心理的ハードルが低く安心。一方、商品の取り扱いが投資信託のみで、数もかなりしぼられている。
証券会社
店舗型証券
投資信託や株式の商品の取り扱いが銀行よりも多く、店舗で対面でのサービスが受けられる。一方、ネット証券に比べると手数料などのコストが高い。
ネット証券
圧倒的な商品のラインナップと低コストが強み。ネット上での営業のため店舗の維持費や人件費がかからず手数料が安い一方、対面で説明を受けられない。
ネット証券の新NISA手数料&クレカ積立
楽天証券
国内株式・米国株式・投資信託・海外ETFの売買手数料が無料。楽天ポイントがたまるクレカ積立が充実
SBI証券
国内株式・米国株式・投資信託・海外ETFの売買手数料が無料。三井住友カードでのクレカ積立ができる
マネックス証券
全取引の売買手数料が無料。マネックスカード決済によるクレカ積立ができ、1.1%の高ポイント還元率
3.併用できる投資枠からつみたて投資枠を選ぶ
初心者が始めやすいのは、つみたて投資枠。定額をコツコツ投資信託で運用します
つみたて投資枠で投資できるのは、主に金融庁の一定の基準を満たした投資信託のみ。投資信託とは、投資家から集めたお金をプロが代わりに運用する商品。その運用成果が投資家それぞれの投資額に応じて還元・分配される仕組みです。自分で指定した金額が指定した日に自動的に引き落としになりコツコツ積み立てていけるので忙しい人でもOK。
《キホンのキ》投資信託は運用方法と運用対象で商品にバリエーションがある
運用対象である株式・債券・不動産と、運用方法であるインデックス型とアクティブ型が組み合わさってパッケージングされ、様々なタイプの商品が。専門家が運用する対価のコストにも差があります。
運用方法
アクティブファンド
目標とする指数を上回る利益を目指す投資信託。ファンドマネージャーが投資先を分析する手間がかかるためインデックス型よりコストが高い
インデックスファンド
国内外の代表的な株価指数など、目標とする指数に連動することを目指す投資信託。指数に合わせて運用が機械的に行われるのでコストが低い
運用対象
何に?
・株式 ・債券 ・不動産
どこに?
・国内 ・先進国 ・新興国
商品は大別するとこの2タイプ!
株式や債券、REITなど様々な資産に分散投資できる投資信託がバランス型。一方100%株式に投資する投資信託が株式型。
初心者におすすめの商品は…
eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)
日本を含む世界の株式に幅広く投資できる。MS CIオール・カントリー・ワールド・インデックスとの連動を目指す株式インデックス型
eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)
米国の株価指数であるS&P500指数との連動を目指す株式インデックス型。世界最大の経済国である米国の主要500社に投資ができる
eMAXIS Slim バランス(8資産均等型)
国内外の株式、債券、不動産投資信託の8資産に12.5%ずつ分散投資できるバランス型。1本で分散投資が実現できるのがメリット
eMAXIS Slim 新興国株式インデックス
中国やインドなどの世界の24カ国の新興国の株式に投資できる株式インデックス型。10~15年の長期ビジョンで成長に期待する人向け
ニッセイ・インデックスバランスファンド(4資産均等型)
年金積立金管理運用独立行政法人GPIFが、運用で選択している4資産均等バランス型。国内外の株式と債券に25%ずつ分散投資できる
実際に、投資信託の商品を選ぶ
イラスト/サレンダー橋本 取材・原文/佐久間知子 ※BAILA2024年2・3月合併号掲載