自然に身をゆだね、美酒美食に酔いしれる――。センスのいい8人が愛してやまない名宿リストを紹介。
1.絶景が最高の宿2選
香川県「海音真里」
「L'AUBE BLANC」ディレクター
楫真梨子さん推薦
瀬戸内の波音に耳をすませてパワーチャージ
小豆島の田ノ浦半島にある「海音真里」は、和モダンなデザインの全6室で、すべての部屋が瀬戸内海を望むオーシャンビュー。ベランダで波の音を聞きながら、ただ海の借景を楽しむ。そんな贅沢な過ごし方が正解の場所。「海景だけでなく、小豆島のオリーブオイルや、瀬戸内のお塩でいただく海鮮料理にも感動。絶品でした」(楫さん)。館内のショップで、手作り調味料や小豆島産オリーブオイルをお土産に買っても。
ベランダと同様に、バスルームからも、美しい瀬戸内海を望める。
夕食の「オリーブ会席」。瀬戸内で取れた旬魚や島の地野菜などを、小豆島産オリーブオイルや数種の自家製調味料とともに。
INFO
住所/香川県小豆郡小豆島町堀越478
電話/0879-82-0086(島宿真里・海音真里共通)
HP/https://uminoshijima.com
料金/1泊2名1室利用時¥88000~
島根県「Entô」
クリエイティブディレクター
木本梨絵さん推薦
ダイナミックな自然と対峙し、自己を見つめる
本島からフェリーで約3時間。ユネスコ世界ジオパークに指定された、隠岐諸島の中ノ島にある。客室はすべてオーシャンフロントで、ゲストが自然との一体感を味わえるように調度はシンプルに統一。ここに泊まると、太古から続く地球や島の歴史を学んだり、島民と触れ合ったり……豊かな時間が過ごせる。「都市から遠く離れた“遠島”にあるホテルへ向かう道中や、広大な窓から眺める風景は、内省の時間をもたらしてくれます」(木本さん)。
Photo by Kentauros Yasunaga
額縁のような窓が特徴のスイートルーム「NESTSU」は1日1組限定。圧巻の海景色に悠久の時が刻まれた地球を感じる。
Photo by Kentauros Yasunaga
日本初の“泊まれるジオパーク”は、カルデラ湾に面した場所に立つ。
INFO
住所/島根県隠岐郡海士町福井1375の1
電話/050-3198-9491
HP/https://ento-oki.jp/
料金/1泊2名1室利用時(NESTDXテラスつきの部屋タイプ)¥60900
2.和の趣が素晴らしい宿2選
静岡県「おちあいろう」
エディター・「uncrave WHITE」ディレクター
東原妙子さん推薦
登録有形文化財の温泉宿で“ととのい”体験
明治7年創業。伊豆の狩野川の畔にたたずむ「おちあいろう」は、島崎藤村や川端康成など、文化人に愛されてきた老舗旅館。「登録有形文化財に指定されている建物には、随所に美しい意匠が施されていて、それを見て回るだけでも楽しい。客室は、デザインがすべて異なるので、何度も訪れたくなります。温泉はもちろん、今どきのサウナが3種類もあり、そのうちふたつは“サウナシュラン”を獲得。いつも“ととのい”に忙しいです」(東原さん)。
金運、幸運を集めるという意味を持つ「投網」と、子孫、商売繁栄を表す「富士山」の組子細工が特徴の縁起のよい客室「露草」。客室は、全14室。
狩野川の畔に立つテントサウナ。体が温まったら、清流の中へ。
INFO
住所/静岡県伊豆市湯ケ島1887の1
電話/0558-85-0014
HP/https://www.ochiairo.co.jp/
料金/1泊2名1室利用時(2食つき)平日¥152000~、土日祝・休前日¥172000~
長野県「BYAKU Narai」
「Gajess」ディレクター
三條場夏海さん推薦
宿場町がたどってきた歴史を体感
江戸時代には多くの旅人で栄えていた、日本最長の宿場町・奈良井宿。そこにある古民家4棟を、歴史を物語る部分は残しつつもモダンにリノベーション。客室は16種類も。宿のレストランでは、郷土の文化に根ざした和食を楽しめ、バーでは、隣接する酒蔵で醸造した日本酒「narai」を堪能できる。「昔の雰囲気がそのまま残る街並みが素晴らしい。日常と切り離された時間を過ごせます」(三條場さん)。
©NOSIGNER
人気の客室は「百四」。広々とした日本庭園を眺めながら、縁側でまどろむ時間は格別。
©NOSIGNER
本館は築200年の酒造だった建物を改装。フロントを兼ねたラウンジにはその歴史を感じる品々を展示。
©ONESTORY
奈良井宿の趣ある街並み。
INFO
住所/長野県塩尻市奈良井551
電話/0264-34-3001
HP/https://byaku.site
料金/1泊2名1室利用時¥40000〜
3.ごはんが絶品!な宿3選
広島県「LOG」
おひとりさまプロデューサー
まろさん
自然と風土を感じる空間で、五感を研ぎ澄ます
尾道の丘の上にある「LOG」は、世界的建築集団「スタジオ・ムンバイ」がリノベーションを担当。日本とインド、両国の技とセンスを融合させた空間は、コージーな雰囲気が漂う。食事は、料理家・細川亜衣氏が監修。「施設全体のカラーリング、質感が素敵。時間を追うごとに移ろう自然の美しさに心が洗われます。地元食材を使った料理も美味しい。近年は誕生日に一人で訪れ、一年を振り返りながら自分を労い、英気を養っています」(まろさん)。
人気の朝食。発酵バターのパンケーキ、グリーンサラダ、野菜のスープ、リコッタチーズと季節の果物、LOGオリジナルのコーヒーやフレッシュハーブティーなどがいただける。
セージグリーンの壁が印象的なライブラリーの家具は、インドの職人がすべて手作り。
INFO
住所/広島県尾道市東土堂町11の12
電話/0848-24-6669
HP/https://l-og.jp/
料金/1泊2名1室利用時(2食つき)¥57200〜
山梨県「カントリーイン ザ クラシック」
「Demi-Luxe BEAMS」ディレクター
目黒越子さん
高原ステイで本格フレンチと地場ワインに舌鼓
八ヶ岳南麓、清里高原。標高1200mに位置するホテルは、南仏プロヴァンスを彷彿とさせる外観が魅力。客室の窓をあけると、牧歌的な風景が広がる。「山の景観と澄んだ空気……開放感を味わえます。また、有名レストラン出身のシェフが作る夕食のフレンチコースと、山梨ワインも最高」(目黒さん)。朝食は、天然酵母のパンやサラダ、北杜市産の卵などを使ったアメリカンスタイルで、これまた絶品。
八ヶ岳湧水マスや地場野菜、甲州ワインビーフなど八ヶ岳をはじめとした山梨の恵みを惜しみなく。
ホテルは牧草地と果樹畑に囲まれている。客室は4タイプ、全7部屋。
INFO
住所/山梨県北杜市高根町清里3545の273
電話/0551-48-2595
HP/https://kiyosato-classic.com
料金/1泊2名1室利用時(2食つき)¥44000〜(※季節により料金の変動あり)
名店が手がけるオーベルジュ「THE HIRAMATSU 軽井沢 御代田」@長野県
料理家
長谷川あかりさん
名店が手がけるオーベルジュ
食通たちに愛されるレストランの「ひらまつ」が、近年センスのある人が集う街として話題の長野県・御代田で営むオーベルジュ。落ち着いたトーンの客室には、大塩温泉の湯を楽しめる半露天風呂つき。
「上品さと格を感じるお部屋に心躍るだけでなく、眼前に広がる豊かな自然に癒されます。そして食事がすべて美味!特に朝食でいただいた、野菜そのものの味を生かしたサラダの美味しさは忘れられません」(長谷川さん)。
朝食のメインは、畑から直送された高原野菜のサラダやスープ。また、りんごのジュースやジャムなど、信州の味を存分に楽しめる。
広々とした客室は、森林浴ができる「フォレストビュー」と、遠く八ヶ岳連峰を望む「スカイビュー」がある。
INFO
住所/長野県北佐久郡御代田町大字塩野375の723
電話/0267-31-5680
HP/https://www.hiramatsuhotels.com/miyota/
料金/1泊2名1室利用時(2食つき)¥136800~
4.極上スパに感激する宿1選
京都府「HOTEL THE MITSUI KYOTO」
美容エディター
渡辺敦子さん
伝統美あふれるホテルで自分を労う
世界遺産の二条城の眼前、三井家のゆかりの地に2020年に誕生。300年を超える歴史を持つエントランスの「梶井宮門」に一歩足を踏み入れると、京都の伝統と現代アートが融合した空間が広がる。注目は、地下1000mから湧き上がる天然温泉を用いたスパエリア。
「水着着用の温泉プール『サーマルスプリング』が至高。石を基調とした静謐な空間で、水と一体化すると心が静まります。朝早い時間帯に行くのがおすすめ」(渡辺さん)。
スパの中でも人気の「サーマルスプリング」。
二条城を拝める「ニジョウルーム」。
三井家時代から受け継がれてきた庭を現代に再生。風流な中庭では、季節の花々の香り、風や水の音を感じられる。
INFO
住所/京都府京都市中京区油小路通二条下る二条油小路町284
電話/075-468-3100(ホテル代表)
HP/https://www.hotelthemitsui.com
料金/一泊2名1室利用時¥177100〜
取材・原文/海渡理恵 ※BAILA2024年6月号掲載