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目指せ! 令和の理想の上司!「感じがいい」と「ナメられない」って両立できますか?

30代、サンドイッチ世代のお悩み。自分の新人時代は厳しく育てられ、それが当たり前だった。しかし上司や先輩の立場となった現在、同じ育て方は通用しないし、するのも嫌。かといって寄り添いすぎればナメられることもあり…一体どうすればいいの!? 「親しみやすいけれど尊敬される」、そんな理想の上司になるための答え、ここにあります!

目次

  1. 悩めるバイラ世代。読者からの後輩・部下の困ったエピソード
  2. 目指せ!令和の理想の上司!「感じがよく」て「ナメられない」人の10カ条

悩めるバイラ世代。読者からの後輩・部下の困ったエピソード

Q 職場の後輩や部下との距離感が難しいと感じたことはありますか?

難しいと感じている人が63% ある 37% どちらかと いえばある 26%

ある 37%
どちらかと いえばある 26%

難しいと感じている人が63%
上司や先輩としての立場から、後輩に接することに難しさを感じている読者が6割以上。厳しさと優しさの塩梅が特に難しいと感じているよう。ちなみに、実際の関係性は約8割が「プライベートも含めて仲がよい」「職場だけの関係ではあるが良好」との答えで、仲よしレベルは高め

Q 職場の後輩にナメられているかもしれないと思ったことはありますか?

あると 答えた人が約45% ある 23.6% どちらかと いえばある 20.5%

ある 23.6%
どちらかと いえばある 20.5%

あると 答えた人が約45%
なんと半数近くの読者が「ナメられているかも」と感じていた! 感じがよく頼りやすい先輩になろうと優しくした結果、ナメられてしまったパターンが多そう。逆に「怖がられているかも」と思ったことのある人の割合は、ある6%・どちらかといえばある23%と、比較的少なめの結果に

(バイラ読者129人にアンケート)

読者から困ったエピソード続々「ナメられても、ビビられても仕事がうまくいきません」

「上から目線で教える先輩になりたくなくて一緒に考えたり、逆にアドバイスをもらってみたりしていたら、敬語を使ってもらえなくなりました…」(35歳・会社員)

「上から目線で教える先輩になりたくなくて一緒に考えたり、逆にアドバイスをもらってみたりしていたら、敬語を使ってもらえなくなりました…」(35歳・会社員)

わからないところを質問せず空白にしておけば記入してもらえると思い、そのまま提出してきます」(33歳・学校事務)

後輩が指摘されることを過度に恐れており、慎重すぎて進捗をうまく把握できません。アドバイスするのも難しいです(42歳・介護)

「ずっとニコニコして『なんでも聞いてね』と伝えていたら、いつの間にか雑用を頼まれるようになっていた(31歳・医療系)

叱るのが苦手。やんわり注意するのですが、 相手に届いていないと感じることが 多いです。軽い感じで謝られたり、 顔が笑っていたり… (35歳・医療事務)

「叱るのが苦手。やんわり注意するのですが、相手に届いていないと感じることが多いです。軽い感じで謝られたり、顔が笑っていたり…」(35歳・医療事務)

「管理職という怖がられるポジションのため、接しやすくフランクにしようとして、ズケズケとプライベートなことまで踏み込んでしまったかもしれないと反省。威厳もありつつ、親しげな関係は難しいのでしょうか?」(40歳・デザイン)

「年上だけど後輩で立場的にも部下にあたる女性。仕事の話をしても『…はい』というだけで、私に対して何か不満があるようなのですが、原因がわからずモヤモヤしています。態度に出すくらいならハッキリ言ってよ!と言いたいですが、ますます関係が悪くなったらと思うと言えずにいます(36歳・福祉関係)

忙しそうに見えて話しかけづらいのか 困っていたことを相談してもらえず、 一人で悩ませてしまったことがあります (33歳・研究職)

「忙しそうに見えて話しかけづらいのか困っていたことを相談してもらえず、一人で悩ませてしまったことがあります」(33歳・研究職)

「優しくしすぎるとなめられたり、タメ口になるので怖さをどこかで出しておきたいけど、どうすればいいかわかりません(30歳・広報)

5歳違うだけだけど、なぜか年の差を感じて雑談がうまくできないのが悩みです。どう思われるかなぁとか色々考えちゃう。先輩と話すほうが楽です(30歳・医療事務)

「叱られ慣れていない世代の子が多いため、伝え方や注意の仕方にとても気をつかいます。後輩にもプライドはあって、そのプライドが傷つかないよう伝えたいのですが、なかなか難しい(32歳・販売)

目指せ!令和の理想の上司!「感じがよく」て「ナメられない」人の10カ条

有識者3名に取材したところ、親しみやすく尊敬される上司になるためのルールを発見。明日から試せるワザも多数!

教えてくれたのは
坊垣佳奈さん

株式会社マクアケ 共同創業者/取締役

坊垣佳奈さん


同志社大学卒業後、2006年にサイバーエージェントに入社。子会社3社の創業や経営参画を経て、2013年マクアケの立ち上げに共同創業者/取締役として参画。
「素を出して対話を深めて部下をしっかり肯定し、信頼関係を築けていれば注意しても関係は良好!」

山浦一保さん

立命館大学・大学院教授

山浦一保さん


スポーツ健康科学部スポーツ健康科学科教授。研究分野は産業・組織心理学、社会心理学。『武器としての組織心理学』(ダイヤモンド社)など、組織の人間関係に関する著書多数。
「雰囲気がよくなるなら、ナメられたって全然いい! 業務がやりやすいことが最優先だと考えています」

中村果代さん

リクルートエージェント 首都圏カスタマーサービス部 部長

中村果代さん


転職エージェント、カスタマーサービス部門の部長として約75人もの部下をマネジメントしている。「話しやすく、尊敬できる」(部下の方談)と信頼されているそう。
「部下と上司という立場の差も多様性のひとつ。ともに課題を解決するパートナーとして伴走するイメージで」

1. 言いづらいことでも、言うべきことはハッキリと伝える

「言いにくいことは期待と信頼を込めながら伝える」坊垣さん
「どんなに言いにくいことも、“言うべきことは言う”と決めています。黙っているのは、本人のためになりません。はっきりと、でも期待と信頼を込めながら、言葉を選んで伝えています」

「ゆるい雰囲気のままわかりやすくサラッと伝えるのがコツ」山浦さん
「たとえナメられてしまうとしても、雰囲気よく仕事をし、楽しい関係だからこそ注意しやすい……というのが私の理想です。注意はねちっこく言うと怒りを買うので、サラリと。“同じことを後輩にされたらどう思う?”と想像させるのも◎」

「なあなあの状態は“ナメられ”を生むので言うときは言う!」中村さん
「部下本人も注意されるべきだとわかっているのに何も言われないと『適当で大丈夫そう!』と上司をナメてしまうかも。なあなあ感はナメられのもと。ダメなものはダメとはっきり示す!」

2. 仕事モードと仲よしモードのメリハリをつけるべし

「自分の仕事スイッチのオン・オフで友達すぎ回避」坊垣さん
「“近寄りやすさ”重視の私ですが、会議でまじめな話をするときなどには、仕事モードのスイッチが入り、少しピリッとします。“友達すぎる上司”にならないのはこのメリハリのおかげもあるのかも」

「『ステップアップ宣言』で適度な距離感を取り直す」山浦さん
「いつまでたっても仲よしモードのみの研究メンバーには『そろそろステップアップしようか』と声をかけて、仕事モードとのメリハリが必要だと教えています。この宣言は区切りとしてかなり有用ですよ」

3. とにかく相手を知る期間をつくる

「相手を知れば効くコミュニケーションもわかる!」坊垣さん
「部下と対話をし、思考性や歴史を知ることを大切にしています。何を尊重してほしいかや、その考えにいたった背景を理解できれば、効くコミュニケーション方法も探りやすいですよ」

「相手が何を目指しているかを把握し、理解を深めておくこと」中村さん
「相手が何を求めて仕事をしているかを知らなければ、寄り添うことも導くこともできません。相手の目標や課題をしっかりと聞く時間を取り、“どうなりたいのか”を知ることが大切です」

4. 相手の得意分野や自分が忙しいときなど、頼るところは頼る

「頼ることは相手を肯定することにもつながります」坊垣さん
「思い切って頼る! 頼られることって、人間の存在意義みたいなもの。相手の肯定感にもつながります。また、“この上司のために頑張る”という関係が構築されるため、そもそもナメられる・感じが悪いと思われるような状態にはならないでしょう」

「相手のスキルや経験を尊重することでいい関係に」山浦さん
「人は自分が積み上げてきたものをないがしろにされたくないもの。なので、年齢・スキル・経験等が上の部下には特に、“今までのご経験からどう思います?”と頼るほうがいい関係を築きやすいと思います」

5. 単刀直入に、本人にどんな上司が理想かを聞いてしまう

「超シンプルな解決法!想像するより本人に答えを聞くほうが早い!」坊垣さん
「意外とみんなやらないけれど、これがいちばん早いです(笑)。思いやりから細かく進捗の確認をしたら、口うるさいと思われた!なんてミスマッチが起きないよう、私は本人に聞いてしまいますね。転職者が相手なら“今まででいちばん尊敬していた上司はどんな人?”という聞き方も◎

6. 自分の仕事ぶりを、見せておく

自分の仕事ぶりを、見せておく

「“優しい”“許してくれる”という理由だけでナメられることはない」坊垣さん
「部下は上司をよく見ています。ナメられる根本の理由は、『この上司大丈夫?』と思わせる部分があるせいかも。上司としてやるべきことをしっかりやっていれば、尊敬は生まれるはず」

「優しく接していても専門性があればナメられませんよ」山浦さん
「優しさに付加するべきものは“専門性”。専門性を持ってしっかり働いていれば、部下は“いざというときは頼りになる上司だ”と思ってくれるはず。自分の働きぶりを振り返ってみて」

「自分のことを話すなかで失敗談とともに成功体験を伝えてる」中村さん
「自分の仕事ぶりを言葉で伝えるのは、自慢のように聞こえる可能性もあり、なかなか難しいですよね。私は部下に自己開示をする際に、失敗談と成功体験をセットで話しています。部下にとって有益な情報なので自慢話にならず◎」

7. 新人に仕事を教えるときは「それ、やりたい!」と思わせるべし

「仕事の『型』を教えるときはやるメリットを提示」中村さん
「新人に仕事の型を教えて実践させるときは、“この方法が早く終わるよ”“お客さまに喜ばれそう”など、やるメリットを伝えています。本人の納得感を得られれば“嫌な上司に、形式張ったよくわからない仕事をやらされている”とは思わないはず」

8. アドバイスは、「これはどう思う?」と相談の形式でする

アドバイスは、「これはどう思う?」と相談の形式でする

「部下が自分自身で考えるよう促す」坊垣さん
「部下の考えを聞き、明らかに違うと感じても、“私はこう思うけど、どう思う?”という言い方をします。一方的な指示と受け取られにくいし、部下も考えることで自分ごと化しやすくなる。一石二鳥!」

「『私には合いません』と断る選択肢を与える」山浦さん
「『こうしたらどうかな?』と問いかけるかたちなら、NGも出しやすく、上から目線にはなりません。アドバイスではなく『二人で話し合って解決策を見つける』というイメージで、部下と話をしてみては」

「内省を促しつつすり合わせながら着地する」中村さん
「本人に考えてもらえるよう、断定口調でのアドバイスは避けています。疑問を投げかけ、内省してもらいながら会話を続け、すり合わせながら着地していけば、相手の考えも尊重しやすいです」

9. 注意するときは、相手のパーソナリティによって伝える順序を変えること!

「繊細なタイプには先にフォローをしてから注意して心を守る!」坊垣さん
「繊細タイプの部下には、注意の前にフォローします。“私はこの事柄のことだけを話している。あなたを否定したいわけでも、嫌いになったわけでもない”という説明をしてから注意に入ると、ショックを受けすぎずに聞いてもらえます」

「はっきり言わないとわからないタイプにはビシッと指摘→フォロー」中村さん
「“注意する”ということは、非常によくないことをした状況かと思います。それを自覚してもらうため、まずは明確に悪い点を指摘。その上で、“あなた自身のことを否定しているわけではない”とフォローするようにしていますね」

10. 仕事を振るという感覚ではなく、仕事を一緒にやるという感覚で

「部下が主担当という認識で目をかけておくことが大切」山浦さん
「振って手放すのではなく“主担当は部下”という認識で、目をかけることはやめない。普段から進捗をラフに聞き、順調なら褒め、悩んでいるようなら相談に乗ります。いつでも頼れる空気をつくれるので感じがよいし、ナメられることもありませんよ」

イラスト/大窪史乃 取材・原文/東 美希 ※BAILA2023年12月号掲載

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