より自分らしく輝くために、働き方を選択できる時代。連載第1回は、本社から離れた地に生活拠点を置く化粧品PRの亘理さんをクローズアップ。
名古屋に拠点を移し、仕事と育児を軽やかに両立
花王株式会社 化粧品事業部門
亘理美由貴さん
神奈川県出身。38歳。2023年4月〜「遠隔地勤務制度」を利用。場がパッと華やぐ明るさとコミュニケーション力、細やかな気づかいは、美容ライターや編集部からの信頼も厚い。
「人と関わることが大好きな私にとって、美容家さんやメディアの方々に商品の魅力をお伝えできるPRの仕事はとても楽しく、やりがいがあります。
ひとつのブランドにつきPRは一名。外部の方に直接情報を発信する責任のある役目なので、その分真剣に向き合いますし自分がお伝えした情報が雑誌などで紹介され、評価をいただけたときは本当に嬉しいんです。
何よりも、人の役に立ちたい、頼れるPRでありたいという思いが強いので、誰よりも商品の魅力を理解するよう心がけ、発信できるチャンスを逃さないようにしています。
今年の春からは名古屋へ引っ越してリモートで働いていますが、私を必要としてもらえるときはすぐに東京へ駆けつけています。おかげで“名古屋に行った感がない”とありがたいお言葉をいただいています(笑)」
HISTORY
2009年 花王株式会社入社 宣伝部門に配属
2011年 化粧品マーケティング部門に異動「エスト」「オーブ」を担当
2018年 化粧品PR部門に異動 2009「キュレル」「ソフィーナ iP」などを担当
2021年 産休・育休から2023年1月に復帰し、現在は「キュレル」「アリィー」を担当
2023年 夫の転勤に伴い「遠隔地勤務制度」を使って4月に名古屋へ転居
東京を離れたことで、よりパフォーマンスが上がった
夫の転勤をきっかけに東京から名古屋へ
「キュレル」と「アリィー」のPRとして、新製品発表会の開催や広告撮影の進行、メディアからの取材対応など多忙な毎日を送る亘理さん。彼女の働き方に転機が訪れたのは、第1子を出産し、産休から復帰した直後のことだった。
「夫の突然の辞令で名古屋への転勤が決まったんです。息子はまだ1歳。成長著しいタイミングで家族が離れて過ごすことは避けたいと思う一方で、私もまだまだ仕事を頑張りたくて。すぐに上司や人事に相談したところ、『遠隔地勤務制度』の存在を知りました。育児で申請したケースは私が初めてだそう。制度利用を応援してくれた上司や同僚のおかげもあり、家族との生活と仕事の両立をすることができました」
フレックスタイム制度も活用し、勤務時間は7時〜15時半に設定している。
「PR業界ではリモートが進んでいたこともあり、名古屋へ転居してからも問題なく働けています。家にいる日はリモートでできる打ち合わせを詰め込み、残業する日もありますが、終業時間と子どものお迎えまでにちょっと時間があることで、心の余裕も生まれました。東京への出張は週1回程度。新幹線での移動中もしっかり仕事はできますし、生活圏が変わったことで話題の幅も広がりました。平日に集中して仕事をしているので、オフは完全に家族との時間にあてています。夫と息子とカフェのモーニングを楽しんだり、名古屋での生活を満喫中。オンとオフがはっきりしたことで時間の使い方が効率的になりました」
距離を感じさせない軽やかな働き方は、亘理さんが努力して築いたもの。
「名古屋にいるからといって遠慮されたり、パフォーマンスを下げたくなかったので、必要とされればフットワーク軽く東京へ。雑誌編集部を訪問したり、美容家さんたちと会う予定を入れています。たまに出社をしたときも同僚とのコミュニケーションを優先。オンラインでも会話はできるけど、実際に会ってお互いの表情を見ながらおしゃべりすることで得られる発見もあるし、何より仲を深めることができますから」
家族のサポートはもちろん先輩たちにも感謝
もちろん、その働き方の裏にはご家族のサポートも必要不可欠だった。
「朝は夫、夜は私が子どもの世話をするなど役割を分担し、出張もなるべく日帰りにして家族との時間をつくるようにしています。名古屋に住む夫の母や、東京に住む私の母が手伝いに来てくれることも。息子はまだ出張中に熱を出したことがないので、子どもにも助けられてます!」
場所にしばられず自分らしく働く亘理さんの姿は、同じ状況になる可能性のある同僚の安心材料にもなっているはず。
「新しい制度を申請するときって、少し勇気がいると思うんです。フレックスが始まったとき、先輩たちは率先して制度を活用し、子育てをしながら働く道を切り開いてくれました。だからこそ、私もライフスタイルに合った時間と場所で働くことができていると思います。無理をしたりあきらめたりすることなく、笑顔でいられる今に感謝ですし、仕事でも家庭でも、しっかり恩を返していきたいです」
「担当する商品のいちばんのファンだと思います(笑)」
名古屋で働く日のスケジュール
7:00 | 始業 メールチェック |
9:00 | 社内会議、取材対応、 リリースの原稿確認、 出版社との打ち合わせなどの在宅業務 |
15:30 | 終業 |
16:30 | 子どものお迎えへ |
22:00 | 就寝 |
6時に起床し朝の支度。子どもが起床後は夫に世話を託して仕事スタート。前日夜に来たメールに返信しつつ、リモートでできる打ち合わせなどを1時間単位で入れていく。15時半以降の打ち合わせはお迎えの時間を調整して参加したり、後日録画を確認
東京で働く日のスケジュール
8:20 | 子どもを送り名古屋発の新幹線に乗車 |
10:00 | 東京駅に到着 |
10:30 | 複数の編集部を訪問 |
13:00 | 撮影立ち会い |
16:00 | 発表会会場を下見 |
17:00 | 東京発の新幹線に乗車 |
19:00 | 帰宅 |
PRとして新製品発表会の準備やタイアップ撮影など、リアルでしかできない仕事を組み込む。子どものお迎えが間に合わない日は夫に任せ、遅くとも19時には帰宅できるように心がけている
ON
新幹線での移動はだいぶ慣れてきたようで、事前にネット予約したコーヒーを駅構内で受け取り、気兼ねなくリモートワークができる東海道新幹線「のぞみ」の「S Work車両」へ。移動時間も集中して作業!
OFF
もともと食べることと旅行が大好きだった亘理さんご夫婦。京都や岐阜など、東京にいた頃とは違うエリアへの旅行を楽しんでいるそう。今年の秋には約3年ぶりに海外旅行を解禁し、家族3人でハワイへ
仕事のマストアイテム
1 東京の撮影現場には手土産を持参。美味しいものを常にチェック
2・3 アリィーのチークUVとキュレルのカラーリップをポーチにIN。人と会う前はサッとメイクを直してお仕事モードに
花王株式会社の「遠隔地勤務制度」とは?
育児や介護、本人の傷病など、事情を抱えながら働く社員が活躍できる環境づくりを推進することを目的とし、2022年1月から正式にスタートした制度。個人の事情と業務との両立の実現を目指している。在籍組織の所在地から離れた場所に居住しながら、原則として出社をせずに、自宅または自宅に準ずる場所で勤務することを認めている。
撮影/花村克彦 ヘア&メイク/山口春菜 取材・原文/松山 梢 ※BAILA2024年1月号掲載