4月も始まって2週間。春は新しいことがはじまるワクワク感がありつつ、新しい環境や人に適応するために気力や体力を大きく使いますよね。新生活の人も、3月から地続きの4月を迎えた人も、少しひと休みしませんか。
ちょうど「疲れてきたな〜」と思っていた私に優しく寄り添い、気持ちを少し上向きにしてくれた漫画を紹介させてください。
『イエスタデイをうたって』の冬目景さん最新作は、等身大の三姉妹が主人公
『イエスタデイをうたって』の冬目景さん最新作『百木田(からきだ)家の古書暮らし』の1巻が4月19日(火)に発売。
世界一の古書店街といわれる神保町を舞台に、祖父が遺した古本屋の跡を継ぐと決めた長女・イチカ、次女・ツグミ、三女・ミノルの三姉妹が支え合いながら生活していく群像劇です。
本好きのツグミが脱サラをしてお店を継ぐと決めたものの、経営の知識があるわけでも古本の売買に詳しいわけでもないため、閑古鳥が鳴いています。
まず、この状況に不安を抱えながらも、ひとつひとつ改善を試みるツグミの姿がいいんですよね。
経営難の古本屋・魁星書房
常連客に「店がつまらなくなった」と言われたあとのツグミ
そうそう、どうすればいいか分からなくても、たとえ成果が出るかわからなくても、こうやって少しずつ改善を図ればいい。毎日はこうやって積み重ねていくんだよなと、自分の日々を振り返るきっかけになりました。
すでに冒頭から感情移入しまくりなのは、ヒロインの魅力によるところが大きいです。三姉妹の素でちょっとLowなテンションが押しつけがましくなく、それでいて奥にはそれぞれの芯がしっかりあるのが等身大。3人が支え合っている姿に勇気づけられ、明日あとちょっと頑張る元気が出てきます。
イチカのかっこいいところもダメなところも好きですね。
酔っ払って帰宅したイチカを介抱するツグミとミノル
ツグミの弱音を受け止めるイチカ
いいなぁ、百木田家。私も一緒に暮らしたいな。なんだか作中のゆったり時が流れる街を感じたくなってきたので、神保町散歩に繰り出して来たいと思います。
神保町に実在する、雰囲気のある書店や粋なカフェが登場
作中には、実際の神保町の街並みが多く描かれています。パラパラと単行本をめくりながら散歩をしていると「このコマはここから見た景色だ!」と宝探しのような気持ちに。
まずは1ページめの書泉グランデ前。物語のはじまりのシーンは、やっぱり気分があがります。
続いて、矢口書店前でパシャリ。
昭和3年築の木造の店舗は、ファッション誌の撮影でもたびたび登場する古書店街を代表する存在。
過去の映画のポスターやパンフレットも多く取り扱っている、映画好きにはたまらない書店です。
最後に訪れたのはカフェ・トロワバグ。
丁寧に淹れた味わい深い珈琲が楽しめる小さな喫茶店です。
ゆっくり時が流れる店内は珈琲の香りが楽しめて、気持ちが休まります。考えごとをするのにもよさそうだなと思ったり。リキュール入りの珈琲ドリンクメニューも充実していて気になる!
ここで『百木田家の古書暮らし』を読んだら、自分が作品の中にいるような気分になれそうです。
次巻はどこが登場するんだろうと今から楽しみになってきました。単行本を片手に神保町をブラブラする休日、リフレッシュにおすすめです。
新生活に疲れてきた人もそうでない人も、『百木田家の古書暮らし』をぜひお手にとって、三姉妹の生活を一緒に見守りましょう!
※コミックス内を写した写真はグランドジャンプ編集部の許可を得て掲載しております。