確固たる個性と審美眼を持つ、大人のおしゃれプロが手に入れた“真の一生もの”とは? 出合ったストーリーやお気に入りのポイント、今も愛用している理由とともに、“マイ・一生名品”を紹介。スタイリスト加藤かすみさんの一生名品は?
1 カルティエのタンク ソロ、手に入れたのはいつ?
「今から約10年前、35歳の誕生日に自分へのプレゼントとしてハワイで購入しました。ずっと狙っていたモデルだったし、ショップを覗いたらちょうど在庫もあるし、これはまたとない良いきっかけだなと思って。ハワイは家族旅行だったので勢いがついたのは確かなのですが、とはいえ別にハワイじゃなくて日本だったとしても、家族旅行じゃなくて1人の時だったとしても、何かと理由をつけて結局手に入れたんじゃないか、という気もしています(笑)」
「上品でシックな佇まいが魅力。なぜか昔からラウンドフェイスはピンとこず、実際に着けてみてもなんとなくしっくりこなくて。これはスクエアフェイスでイエローゴールド、さらに少しだけ大きめなフェイスも、ケースの厚さも、すべてがお気に入りです」時計/カルティエ
2 この時計を購入した理由とは?
「30歳くらいから、時計は必ず毎日つけるようになりました。ジュエリーはあまりしないのですが、時計は毎日。このタンク ソロは、30代に入りブランドのきちんとした時計が欲しいな、と思った時からずっと狙っていたモデル。カルティエのタンクシリーズの中でも、表面がフラットで、厚さもほどよく、手首にピタッとフィットする感じが心地いいんです。時計のベルトはレザータイプが好きで、購入した時にはブラウンのベルトが付いていたのですが、その後はずっと黒のベルトに。比較的かっちりとしていて正統派のムードがあるので、デイリーに使うならあえてフェミニンな服に合わせることも。それから改まった席や子供の行事など、きちんと感が求められるシーンでもこの時計を頼りにすることが多いですね」
「このタンク ソロというモデルは残念ながら廃盤になってしまったのですが、今買えるモデルの中でも、やはりタンク ルイ カルティエなどのスクエアフェイスに惹かれます」時計/カルティエ
3 この時計が“一生名品”になった理由
「やはりなんといってもこの普遍的で、無駄なものが削ぎ落とされたシンプルなデザインが究極だなと。いつ見ても美しいと思いますし、飽きることなく使えますね。年齢を重ねて、おばあちゃんになってもこの軽やかでオーセンティックなデザインは使い続けているだろうな、とイメージできます。なんというか、いつの時代も、“トレンドっぽすぎる”ことがないのがいいんです」
「ニットとパンツをさらりと合わせた、こんな究極のシンプルスタイルの日にも。時計の少しクラシックでオーセンティックな雰囲気が、さりげなく効いてきます」ニット・パンツ/ドゥーズィエム クラス 靴/アキラ ナカ
「このカルティエのほか、エルメスモデルのアップルウォッチ(右)と、エルメスのケープコッド(中)の3本を、シーンや着こなしに応じて使い分けています。中でもカルティエは、やはり少し気合いを入れる時や、気持ちを新たにしたい時に手に取ることが多いですね」
取材・文/発田美穂