【私と仕事と生理】産婦人科専門医 尾西芳子さんの「生理の日のマイルール」

生理との向き合い方を、各界で活躍する女性にインタビューする連載企画。今回話を伺ったのは、様々なメディアで精力的に生理の悩みについて発信する、産婦人科専門医の尾西芳子さん。

レディースクリニックの院長として診療を行う傍ら、雑誌やTVへの出演、医療ドラマの監修など、幅広く活躍する尾西芳子さん。小学生の頃、胎児が成長する過程に興味を持ったことが、産婦人科医を目指すキッカケだという。

「父が医療関係の仕事をしていたため、自宅に専門誌がたくさんあったんです。その中に胎児が育つ過程の写真を発見し、“人間はもともと卵だったの!?”と衝撃を受けたことを、今でも鮮明に覚えています」

学生時代から生理不順で、生理は数カ月に一度のペース。「おかしいな」とは思いつつも、恥ずかしさから家族や友人にも相談できずにいたそう。

「初潮を迎えた当初から同じ状況が続いていたので、“今月も来ないな〜”と軽くとらえていて。医学部に通い始めた頃、女性医師が常駐するクリニックを発見して診察を受けたところ、多嚢胞性卵巣症候群（通称：PCOS）だと診断されました。単に排卵がスムーズに起こらないだけでなく、妊娠しにくい体質でもあると知り、排卵を促す漢方薬を飲むほか、体を温めたり、大豆製品で女性ホルモンを摂取するように。自分で学べば、他人に聞かなくても自分の体をケアできる！という発見が、医師になる原動力につながりました」

地道なケアを続けた結果、以前は年に6回未満だった生理が、8回ほどまで増加。二人の子どもにも恵まれた。

「妊活を始めてすぐに、排卵検査薬を取り入れたり、排卵誘発剤を飲んだり、対策したおかげで予想よりも早く妊娠できました。そんな経験から、生理についての知識を精力的に発信し、私生活では子どもたちにも生理教育を行っています。お風呂で初めて私の経血を見たときは驚いていましたが、いい機会だととらえ、湯船につかりながら生理の仕組みを話しています」

近年、生理やPMSに関する知識が急速に広まっていると感じる一方で、実際に産婦人科を受診するハードルは、まだまだ高い印象があるという。

「不妊を理由に来院される患者さんには、理由がわからないまま悩み続けていたという方が多く、それが原因で、妊娠がますます困難になってしまうことも。生理痛やPMSがつらい方は、終わると忘れてしまい放置していた、という声も多いですね。でも、毎月、苦しい思いをしながら生き続けるのはもったいない！ 仕事のパフォーマンスが落ちる、人間関係がギクシャクするなど、悩みを取り除いて生活の改善にもつながります。こんなこと聞いてもいいのかな？とは思わずに、どんな小さなことでも相談してほしいです」

  6:00　起床、朝食

  8:00　子どもを保育園へ送る

  8:30　夕食の準備、デスクワーク

10:00　出勤

15:00　昼食

18:00　退勤、子どものお迎えへ

19:00　夕食

21:00　子どもの就寝後、自分の時間

23:00　就寝

1. 本能が求めるものを食べる
2. 水分をしっかり摂取する
3. たっぷり寝る

「生理中は必ずといえるほど、体がお肉を欲するので、自分へのご褒美としてステーキを食べています。実は、経血量が多い日は、脱水症状を起こしやすくなるんですよ！ 私は普段あまり水分をとらないため、意識的に水を摂取。眠気を感じたら、早めに仕事を切り上げて寝ます」

撮影／井手野下貴弘　取材・原文／中西彩乃　イラスト／kaho iwaya〈opnner〉　※BAILA2023年4月号掲載