一緒に過ごす人を気づかったり、忙しく働いたり。頑張り屋な人ほど、「自分が我慢すればいい」と思ってしまいがちな生理の症状。夫婦や仕事のパートナーに、“話して、理解してもらうこと”でちょっと気持ちがラクになるかも!バイラ読者のアンケートや男性の本音、企業の取り組み…「生理」について改め知ってもらおう!
- 1.話すって誰とどう話すの?×パートナー《バービーさん&つーたんさんの場合》
- 2.話すって誰とどう話すの?×子ども《益若つばささん&息子さんの場合》
- 3.話すって誰とどう話すの?×仕事のパートナー《IMALUさん&マネージャー前原さんの場合》
- 4.生理について実際みんなは周りに話してる? バイラ読者のリアルな声をリサーチ!
- 5.生理について話し合い、ラクになりました!〈30代夫婦の場合〉
- 6.「体・心・性」のウェルネスメディア yoi に 生理との向き合い方の実情を聞きました
- 7.男性は生理をどう思ってる? 「みんなの生理研修」を行うユニ・チャームの担当者に聞きました
- 8.生理について、30代男性で語りました
- 9.生理について知って変わった企業
1.話すって誰とどう話すの?×パートナー《バービーさん&つーたんさんの場合》
バービーさん
1984年1月26日生まれ、北海道出身。2021年4月、SNSを通じで出会った一般人男性・つーたんと結婚。現在、「ひるおび」(TBS系)の火曜レギュラー、TBSラジオ「バービーとおしんり研究所」(火曜21時30分)のパーソナリティを務めるほか、「ピーチ・ジョン」とのコラボ商品も手がける。
“生理の負担は自分だけで背負わなくていい。とことん話し合ったおかげで、すべて「ふたりごと」として取り組めるように”
Q.初めて生理について話したのはいつ?また、きっかけは?
バービー 初めてつーたんと会った日に、夜中まで飲んで、“今日は婦人科で治療を受けたから、セックスできないんだ。ごめんね”って宣言したのを覚えてる。
つーたん 誘ってないのにね(笑)。
バービー その流れで子宮の疾患があることも伝えたから、初対面である程度は話したんだね。
つーたん それまでパートナーとすら話したことがなかったから、びっくりした。でも、嬉しかったな。体のことを話してくれるのは、心を開いてくれている証拠だと感じたから。
バービー 話したことなかったの!? 生理の仕組みについても詳しくて、感心したんですよ。
つーたん 人体に興味があって、保健体育だけは熱心に勉強したからね。
“聞かない=話したくないわけじゃない! 体や精神の不調をリアルタイムで伝えて”
Q.普段の生活でどうやって生理を共有してる?
バービー 生理は人によって症状が違うから、知識と同じくらい現場経験が大切。生理のサイクルから、使用ずみの生理用品まで、すべてを包み隠さずに共有しています。
つーたん 頼まれて、生まれて初めて生理用品を買いに行った日のことは、忘れられません。銘柄からサイズまで事細かに聞いたのに、なかなか見つけられなくて。売り場には女性しかいないし、すごく恥ずかしかった。
バービー そんな彼も、今では袋に入れず、そのまま手に持って帰ってくるようになりました(笑)。
つーたん 血のついた下着の洗い方も、覚えましたし。
バービー 私が吸水ショーツを手洗いせずに洗濯機に入れてしまい、洗濯物すべてに血の匂いがついたことがあって。それ以降、つーたんも欠かさずチェックしてくれているんだよね。
つーたん どれくらい血が出ているのか気になっていたから、知れてよかった。あれだけの量が出ていれば、当然、体はしんどいよね。
バービー つーたんがそう言ってくれるから、見せがいがあるよ。
つーたん かーたん(バービー)の体に関することを気持ち悪いと思ったことは一度もないし、むしろ、より力になりたいと思うようになった。
バービー 女性ホルモンに効くハーブティーを毎朝煮出してくれたり、生理の日数に合わせてとるべきサプリやはくべきショーツをアドバイスしてくれたり。主治医が家にいるようで、とても安心感があります。
Q.パートナーと生理を共有するメリットとは?
バービー 一緒に暮らし始めた当初は、特に気分の浮き沈みが激しいPMSの期間、つーたんを不安にさせてしまうのが申し訳なくて。とはいえ自分の機嫌はコントロールできないし、苦しかったですね。
つーたん 僕、小心者なんですよ。冷たくされる理由が気になり、“なぜ機嫌が悪いの? 僕が何かした?”と詰め寄ってしまったんです。
バービー しんどいなかで質問攻めにあい、“理由もクソもあるか!”と怒り爆発(笑)。何回かもめたよね。
つーたん PMSを教えてもらってからは、もめることもなくなったね。かーたんの機嫌や体調が変化する理由を把握して安心できたことが、僕にとっていちばんのメリットです。
バービー つきあってから、あらためて、生理はセックスや妊活・妊娠にも関連することだから、ふたりの課題だよね、という話をしたじゃない? 今、妊活を“ふたりごと”として取り組めているのは、生理についてきちんと話し合ってきたおかげだと思うんだ。
つーたん 確かに、そのとおりだね。
Q.初めてパートナーと共有する人へのアドバイスは?
つーたん かつての僕もそうだったけど、自分からは話しにくいと感じている男性は多いはず。聞かないイコール話したくないわけではないから、気負わずに話してみるのがいちばんかと。
バービー 感情論ではなく、理論的に伝えるといいかも。私のつらさをわかって!と言いたい気持ちも理解できるけど、それは難しいので。
つーたん 体や精神の不調をリアルタイムで伝えつつ、アプリで生理のサイクルを共有するのがおすすめです。PMSや生理が始まるタイミングに通知が来るから、パートナーもサポートする準備ができるし、話すきっかけにもなる。
バービー リアルタイムは大事! ただし経血を見たい人は少ないと思うので、慎重に判断してください(笑)。
“かーたんの機嫌や体調の理由を知れたことが、最大のメリット!”
ラストに記念撮影!これがまた最高な一枚
撮影/柴田フミコ ヘア&メイク/原田なおみ スタイリスト/谷口夏生 取材・原文/中西彩乃 ※BAILA2022年10月号掲載
2.話すって誰とどう話すの?×子ども《益若つばささん&息子さんの場合》
益若つばさ
1985年10月13日生まれ、埼玉県出身。コスメブランド「CandyDoll」、つけまつげブランド「DOLLY WINK」を手がけるほか、季刊誌『TOKYODOT』の編集長を務めるなど、マルチに活躍。登録者数24万人以上を誇るYouTubeチャンネル(@tsubasamasuwaka1013)では、ファッション&メイクから、生理、避妊リングなど、様々なテーマを取り上げる。
“息子のためにも自分を大切に。セルフケアの延長線上に生理の会話がありました”
Q.息子さんに生理をどう説明した?
息子に生理を教えよう!と思ったことはなくて、日常的に話しているんですよ。私自身、生理は恥ずかしいもの、という意識がまったくないので……“今日ママお腹痛いんだ”“どうしたの?”“生理痛”という感じの会話は、5歳くらいからしていますね。生理の仕組みについては、理解できる年齢になってから話したかな。私はよく自宅に友人を招くので、私たちの会話から学んでいることも多いですね。その際にPMSなど、息子が知らない単語が出ると、簡単な説明を加えています。生理に限らず、何事も答えはひとつじゃないから、私以外の大人の意見を聞ける環境づくりを意識しています。
Q.子どもとの生理の会話を発信する理由は?
私は生理を一切教えられずに育ち、生理が来たとき、パニックになったんです。あまりの恥ずかしさから家族にも言えず、隠すために下着を捨てていて。学校でも、“小柄な子は初潮が遅い”などの偏った知識が広まっていたせいで、早く来た自分は異常だと感じていました。それらを振り返ったときに、子どものときに生理を学んでいたら経験せずにすんだのに、と気づいて。避妊や性病に関する動画同様、自分の発見が少しでも社会の役に立てばいいな、という気持ちで発信しています。中でも反響が大きかったのが、息子に生理用品を買ってきてもらったエピソード。賛否両論ありましたが、“そういう家庭もある”と知ってもらえただけで、意義があったと感じていています。
Q.生理を話すことでポジティブな変化はありましたか?
出産後、数年は、完璧な母親にならなきゃ!と思い込んでいて。シングルマザーとして父親と母親の両方の役割や、仕事、家事、育児を完璧にこなそうとしては、体を壊して、“自分はダメな母親だ”と落ち込み……。息子のために頑張っているはずなのに、子育てとはこうだ!と勝手に決めつけて、自分で自分を追い込んでいる状態にハッとし、無理をやめて自分を大切にしようと思い直したんです。体調が悪いときは、素直に息子に伝えて家事を休む。セルフケアを徹底していった延長線上に、自然と生理の話題がありました。不調を共有できる関係性は精神的にも支えになったし、心に余裕ができて、より優しくなれた。結果、生理を話すことが自己愛につながりました。
“子どもに生理を教えるリスクってなんだろう? 恥ずかしくて 下着を捨てていた自分のためにも正しい生理の知識を伝えたい”
息子もYouTubeに出演中
とっても優しくて自慢の息子♡中学2年生です!
「全寮制の中学へ進学し、普段は離れ離れ。私が中学の頃と比べると、驚くほどピュアです。好きな子ができたら、避妊や妊娠について話そうと思っています」
3.話すって誰とどう話すの?×仕事のパートナー《IMALUさん&マネージャー前原さんの場合》
IMALU
1989年9月19日生まれ、東京都出身。2009年に『Zipper』専属モデルとしてデビュー。語学を学ぶためにカナダの高校へと留学。現在はタレントとしてテレビやラジオで活躍中。今年、飲み友達二人とともにPodcast番組「ハダカベヤ」(毎週水曜・土曜、18時更新)をスタート。体や性の悩みを主なテーマに、赤裸々なトークを繰り広げる。月に一度、stand.fm限定で生配信も行っている。
仕事は一人じゃ成り立たないからこそ 信頼関係が大切。体調も気分も、言葉できちんと伝えます
Q.生理を伝える理由とその方法は?
IMALU 芸能の仕事は、共演者やスタッフの方などたくさんの人と接しますが、中でも大切なのがマネージャーとの関係。ビジネスパートナーのような存在なので、信頼関係がくずれぬよう、コミュニケーションは念入りにとっています。特に、仕事に支障をきたす可能性がある生理の不調は、必ず報告。同じ女性だからわかるでしょ、とたかをくくらずに、きちんと言葉で伝えることを心がけています。
前原 担当するタレントの体調を把握するのは、マネージャーの大事な仕事のひとつ。“今日生理だから、イライラしやすいわ!”と事前に伝えてくださるので、とても助かっています。
IMALU 私は公私ともに、どんな関係でも、サポートし合うことを大事にしていて。私が(前原)美奈都ちゃんのためにできることは、確認作業や不安材料を減らすこと。仕事がスムーズに進んで、現場の雰囲気もよくなるんです!
Q.男性とはどうやって共有してる?
IMALU 2年ほど前に美奈都ちゃんが担当になるまでは、男性のマネージャーさんだった時期も。20代は、自分史上最も生理のサイクルが荒れていて。ロケ先で急に生理が来てしまい、男性のマネージャーさんに頼んで生理用品を買ってきてもらうことが何度もありました。
前原 地方ロケだと特に、自分で買いに行けないですもんね。
IMALU 女子校ではナプキンを投げ合っていた私ですが(笑)、男性に頼むのは初めてのことで、かなり緊張したな。すぐに慣れたけど、美奈都ちゃんに代わって、生理がある女性ならではの配慮に感動。生理用品を常備し、収録スタジオ内のトイレの位置まで確認してくれるんですよ!
前原 私自身が生理不順ということも大きいですね。収録途中の休憩は10分ほどしかないのに、スタジオによっては、トイレがすごく遠くて。迷わぬよう、事前に調べて伝えています。
“話すことを学んだ世代がみんなで知識を広めれば、きっと社会を変えられる”
Q.生理に理解がない上司や職場を変えるためには?
IMALU 友達と開催しているPodcast番組「ハダカベヤ」に寄せられる声からも、職場で生理について話せずに悩むリスナーさんは少なくない。これは友達の話なんですけど、生理痛を理由に休みたいと連絡したら、上司に“うちの奥さんは昨日、生理が終わったから、お前は仮病だろ”と言われたそう。なんと彼は、全女性、同時期に生理が来ていると思っていたんです(笑)。そういった話を聞いて感じるのは、上司世代の圧倒的な知識の乏しさ。私も最初は男性に生理の話をするのは抵抗がありましたが、伝えないことには理解は生まれないので。ようやく話すことが普通になった今、私たち世代が団結して話すことで、職場も社会も変えられると信じています。
撮影/NAE. ヘア&メイク/mayu スタイリスト/TAKA 取材・原文/中西彩乃 ※BAILA2022年10月号掲載
4.生理について実際みんなは周りに話してる? バイラ読者のリアルな声をリサーチ!
生理についてパートナーや異性の家族、職場の人に対して話したことがある? 133人に協力してもらい、働く女性たちのリアルな声をリサーチ!
Q.パートナー、異性の家族、職場で。 生理について話したことはありますか?
Q.どんな内容について話しましたか?
《1位》生理痛の症状…31%
《2位》生理周期、日程について…25%
《3位》PMSの症状…22%
《4位》女性の体の仕組み…8%
《5位》生理の仕組み・生理用品の種類、使い方など…各6%
《6位》その他…8%
「しんどかったら言ってねと気づかってくれるようになった」
「色々我慢するストレスがなくなり気持ちがラクになった」
「機嫌が悪くても、相手を勘違いさせることがなくなった」
Q.話したことがない理由は?
《1位》話のきっかけがない…36%
《2位》説明の仕方がわからない…19%
《3位》恥ずかしい…17%
《4位》必要性を感じない…13%
《5位》気持ち悪がられたり引かれないか心配…11%
《6位》その他…6%
「体のことを話すのはやっぱりどうしても恥ずかしい」
「異性にはわからないんじゃないかと思ってしまう」
「何からどうやって伝えたらいいのかわからない」
Q.生理や自分の体のことをパートナーに 話す必要があると感じますか?
どちらかといえばそう思う
「お互い理解していたほうがケンカも減ると思う」
「妊活をするなかで、必要なことだと感じるようになった」
Q.生理や体のことを 話すことにハードルを 感じますか?
Q.男性に生理用品の購入を頼んだ経験は?
Q.職場は生理の症状を打ち明けやすい環境だと感じますか?
Q.職場でもっと生理についてオープンに話せたらいいなと感じますか?
【2022年7月15日〜7月20日、BAILAメルマガ会員にアンケート。30〜42歳の133人が回答】
5.生理について話し合い、ラクになりました!〈30代夫婦の場合〉
生理のことをパートナーには何を機に、どんなタイミングで話した? それに対してパートナーは、どう感じている? 30代夫婦に、生理について話し合うことで得たことや、現在の関係などを聞きました。
話し合ったのはこのカップル
妻 Mさん(39歳)
フリーライター。35歳のときに子宮内膜ポリープを摘出。その際に子宮奇形と診断され、平均よりも子宮が大きく月経過多になりやすいことを知る。手術の翌年に妊娠し、女児を出産。
夫 Rさん(35歳)
イベントを運営する会社に勤務。深夜の業務や出張が多く、イベントが多い夏や年末年始は、家をあけることがしばしば。生理について自ら積極的に話した経験はないが、抵抗はない。
☑話したきっかけは?
●症状がとにかく重かったため
☑話した内容は?
●生理痛の症状
●使っている生理用品
●生理の仕組み
Mさん「昔から月経過多で、生理の2〜3日目は、多い日の昼用ナプキンでも1時間もたないくらいの出血量。デートの予定と重なり、リスケしてもらうことが何度もありました。当時は“生理が重いんだ”という程度に、ライトにしか話していなくて。結婚を控えていた30代半ば、生理中に貧血を起こすようになってしまい、子宮内膜ポリープが見つかる。摘出すれば妊娠率も上がると言われ、手術を決めた際、彼にもきちんと説明しました。話したおかげで生理用品も家事も頼みやすく、子育てと仕事を両立する上で、とても助かっています。」
Rさん「Mさんとつきあうまで、生理の知識は学校で学ぶ程度のものでした。“生理が重い”と聞いても具体的な痛みや出血量はわからず。結婚後に経血で汚れた寝具や衣服を洗っている姿を見て、初めて、生理の大変さを理解しました。生理用品や家事を頼まれるのは、正直ありがたいですね。無理をして体調が悪化したら大変ですから。察するのが苦手な僕としては、“これをして”と具体的に指示をしてもらえるほうが気持ちもラク。遠慮なく頼ってほしいし、自分にできることを行ううちに、より生理の理解が高まっていると感じます。」
6.「体・心・性」のウェルネスメディア yoi に 生理との向き合い方の実情を聞きました
2021年9月にローンチした「体・心・性」のウェルネスメディア「yoi」の担当者に、生理の共有&理解の実情について聞きました。
yoi事業部 種谷さん、バイラ編集部 兼 yoi事業部 田畑さん
What's yoi?
生理やセックスなど体、心、性の情報を楽しみながら知るためのウェブサイト
2021年9月にローンチした集英社発のウェルネスメディア「yoi」。生理をはじめとした体の仕組み・悩みやヘルス情報、フェムテック、メンタルヘルス、妊娠、セックスなどのコンテンツを発信し、正しい知識を楽しく学べるコンテンツを届ける。
事実として共有していても理解までは進んでいないかも
田畑 “どちらかといえば”という人を含めれば、生理について話している人が7割にも達するんですね。
種谷 集英社女性誌で実施した「体・心・性の1万人アンケート」によると、“生理のタイミングや症状をパートナーと共有していますか?”という質問に対して、たとえば『MORE』では約76%が“YES”と回答した一方で、「生理の不調やPMSは寝るか根性で治ると思われている」「イライラはもともとの性格からだと思われていた」など、そのつらさが理解されないことに余計にストレスを感じているという声もあり、単純に情報を共有するだけがゴールじゃないのかも?と思いました。田畑さんは、パートナーと話してる?
田畑 実はつい先日、彼と生理に関するドラマを見ていたら、「ナプキンって一日に何回も取り替えなきゃいけないの?」と聞かれて驚きました。自分の症状は伝えていたけど、基礎的なことは話したことがなかったな、と気づいて。生理用品の種類と使い方を、現物を見せながら説明しました。
種谷 私も以前、パートナーに生理用品の説明をしたら、月経カップの使い方を聞いて怖がってた(笑)。男性は生理を体感できない分、なんとなくは知っていても、細部まで理解するのには時間がかかるんだろうなと感じました。
田畑 バービーさんは、「知識と同じくらい、現場をリアルタイムで伝えることが大切」とおっしゃっていて。確かにリアルな状況を知れば、より理解が深まりそうですよね。
生理の記事やサービスを活用して伝えるのも◎
種谷 BAILAのアンケートでは、「話したことがない」と答えた人の中には、「必要性を感じない」という理由を選んだ人もいますね。
田畑 特に生理が軽い方は、そう感じるかもしれませんね。個人的には、生理をまったく知らないパートナーと妊娠や出産、子育てをともにするのは、少し心配です……。
種谷 yoiでは「生理のしくみ」についてイラストで説明したショート動画をTikTokにもあげているのですが、男性からもたくさんコメントをいただきます。「関心はあるけど詳しく聞けずにいた」という方も多くて。
田畑 今回取材した男性たちも、そう言っていました!
種谷 前述のアンケートでは、女性が生理中、パートナーに求めることを調査したところ、「症状を気づかっていたわってほしい」という回答が上位に挙がりました。どんなサポートをしてほしいかなどについて共有できていると、心の負担は少しラクになる気がします。
田畑 確かに。症状についても共有できたら、関係はより改善されそう。
種谷 言葉にして伝えるのが難しい場合は、生理についてわかりやすく解説してくれているコンテンツをシェアするのもアリ。田畑さんのようにドラマを一緒に見たり、アプリで生理周期を共有したりするのもいいですし。生理にまつわる情報やサービスが増えた今だからこそ、膝を突き合わせて話すだけでなく、様々な伝え方の選択肢がありますよね。
田畑 私は生理に関するテーマを担当するようになり、初めて生理休暇の存在を知りまして。初めは抵抗があったけど、得られた情報や、それによるポジティブな変化を通じて、話すことの意義を実感しました。
種谷 悩みを共有するだけで気持ちがラクになるように、生理について話してみることも、人生を少し生きやすくしてくれるかもしれないですね。
yoiが読めるのはこちら
※『Seventeen』『non-no』『MORE』『BAILA』『MAQUIA』『SPUR』『LEE』『Marisol』『éclat』『MyAge/OurAge』の10媒体において、2021年2月にインターネットによるアンケートを実施。
“事実の共有までは、できている人も多い印象。その先の“理解”まで進むと関係性にも変化が起こるはず”
体・心・性について考えるきっかけをくれるyoiのおすすめコンテンツ
シオリーヌの SAY(性) HELLO
友達とも少し話しづらい“性やセックスにまつわる悩み”について、助産師兼性教育YouTuberのシオリーヌさんをナビゲーターに、みんなでだべりながら考える連載
生理・妊娠・出産のしくみ動画
理解しようとすると難しい「生理のしくみ」「妊娠・出産のしくみ」について、わかりやすくまとめた動画はTikTokでも話題に。前田豆コさんのコミカルかつ可愛いイラストで楽しく学べる
【YOU&MEGUMI スペシャル対談】私たちの「体・心・性」現在進行形
友達として長くおつきあいのあるYOUさんとMEGUMIさんによるスペシャル対談動画。ご自身の“体・心・性”についてのお話や読者&視聴者の皆さんからのお悩みにもこたえてくれた
Stories of A to Z
人生でそれぞれに向き合う「妊娠・出産」、「家族」や「パートナーシップ」にまつわる答えのない選択を、産婦人科医など専門家の的確なアドバイスによって応援するウェブ記事連載
7.男性は生理をどう思ってる? 「みんなの生理研修」を行うユニ・チャームの担当者に聞きました
性別・年齢問わず生理の知識を伝えるユニ・チャームの担当者に、「みんなの生理研修」で男性にどんなことを教えているのか聞いてみました。
ユニ・チャーム広報 藤巻尚子さん
まずは正しい知識から。男性や管理職にまで生理の理解を深めることで、働きやすい環境に
「生理のある方/ない方も、生理の重い方/軽い方も、正しい知識を得ることで職場はもっと働きやすい環境に改善できるはず、という思いで行う『みんなの生理研修』。性別や職種を限定せず、これまで様々な企業、自治体、教育団体で実施してきました。応募の理由として多いのは『社員同士の理解を深めたい』『社内のコミュニケーションをよりよく改善したい』というもの。男性社員や管理側の上司が生理の知識を持つことで、男女ともに心理的安全性は高まります。よって社内における相談しやすい環境作りはもちろん、個々のパフォーマンスもアップし、結果的に企業価値の向上にまでつながると考えています。受講後に生理休暇を人事制度に取り入れたり、トイレに生理用品を常備するようになったりと制度や環境そのものに変化があった事例も。仕組みからケア方法、そして『生理の症状にも、生理のとらえ方にも個人差がある』ということを理解してもらうことは、環境の改善の第一歩だと実感しています」
「みんなの生理研修」で伝えていること1.講義
ユニ・チャーム マーケティング部担当者を講師に迎え、生理の仕組みから最新の生理用品まで、図や実際の商品を使って説明を行う
生理や女性の健康に関する知識について
・ 生理の仕組み
・ 生理にまつわる不調とそのケア
・ 女性特有の健康的課題
生理ケアの選択肢について
・ 生理用品の種類
・ 生理用品の正しい使用方法
「みんなの生理研修」で伝えていること2.参加者によるディスカッション
担当者もしくは産婦人科医を講師に、講義を経て浮かんだ疑問点や感じたことについてグループで実際に話し、理解を深める時間に
参加者からはこんな声が
「正しく学ぶことで、生理をタブー視することなく話せる環境が整うと感じました」
「知らない生理用品があり、自分自身も生理の知識がアップデートされました」
「生理について知ることは、一緒に働く社員に寄り添う第一歩だと感じました」
「社員と会社全体の働きやすさにつながる、よいきっかけになったと思います」
8.生理について、30代男性で語りました
バイラ読者と同世代の30代男性3人に、生理について実際にどう思っているのか本音を聞きました。
OEM
Kさん(36歳)
既婚・子ども一人、東京都在住。転職して自宅作業が増え、妻に任せきりだった家事を手伝うように。週末は家族で銭湯へ。
建設会社
Sさん(32歳)
既婚・子ども一人、埼玉県在住。両親から生理について教えられたことはなく、授業で学んだ以上の知識はないと感じる。
芸能関係
Aさん(31歳)
未婚・交際中。パートナーが生理中、不機嫌になることにストレスを感じている。生理について話したい気持ちは強い。
Q.生理用品を買ったことはある?
Kさん ないですね。転職をきっかけに、家事を分担しているんですけど。僕が食材や日用品の買い物を担当することになって以来、妻はネットで生理用品をオーダーしています。頼まれれば買いに行きますし、恥ずかしさはありません!
Sさん 妻と一緒のときのみで、一人で買った経験はありません。買うことへの抵抗はないけど、膨大な種類が並ぶ棚の中から、指定のものを見つけられる自信がない……。
Aさん ありません。もし頼まれたら買いますが、けっこう緊張する気がします。
Q.生理についてパートナーと話したことはある?
Kさん 妻から職場に生理が重くて大変そうな人がいると聞いたり、世間話程度ですね。あとは、家族旅行の日程を決めるときに、生理の時期を外そうと相談するくらいです。自分は軽いと言っていたので、特に話す必要もなさそう。
Sさん ないです。妻の生理についても、軽いほうだ、ということ以外は知りません。これを聞いたのも、かなり前のことですが……。
Aさん ありません。今のパートナーは生理中、機嫌が悪くなるタイプ。大丈夫?と聞いても、痛いとしか言わないし、逆ギレされたりするので、それ以上なかなか話が進みません。
Q.生理について調べたこと、 男性同士で話したことはある?
Kさん どちらもありません。
Sさん 男友達の「妻が生理中で機嫌が悪い」というようなボヤきは、何度か聞いたことがあります。
Aさん 昔、セックスの最中にコンドームが破れてしまって。安全日だから大丈夫と言われ、安全日の定義を調べた際に、生理のサイクルや、仕組みについても読みました。男同士の会話に生理が上がるときは、正直下ネタがらみが多いかも。
Q.生理について疑問に感じることは?
Kさん トイレに、生理用品専用のゴミ箱があるじゃないですか? 公共の場ならまだしも、自宅でも分ける理由がイマイチわからなくて。自分的には気にならないので、普段のゴミ箱に捨てちゃえば、まとめる手間が省けて楽チンなのに……と。
Sさん 一日に、どれくらいの量を出血しているのか。出血量が人によって異なる理由や、痛みの強弱と出血量の関連性なども気になります。
Aさん 生理の痛みや出血量、周期に個人差がありすぎる。生理が重い人は具体的な原因があるのか、また、改善する方法はあるのか。
Q.生理について男性からは聞きにくい?
Kさん 感じますね。なんとなく、触れちゃいけないもの、という意識があります。保健体育の授業も、男女で分かれて受けましたし。
Sさん 妻に対しては感じませんが、友達には聞けないですね。性にまつわることだから、話したくない人もいるでしょうし。相手に不快な思いをさせてしまわないか、不安です。
Aさん パートナー、友人ともに、聞きにくさは感じないです。ただ、何から聞くべきか、どこまで聞いていいのかがわかりません。
9.生理について知って変わった企業
正しい知識を深めた結果、必要なことに気づき、行動を起こした3社を取材しました。
大塚製薬
社員とその家族にも、生理や女性の健康について“知る機会”を提供。社内には婦人科と連携した相談窓口も
取り入れていること
・ “知る機会”の提供
女性のみならず男性社員やその家族も対象とした講義や、社員を対象に「男性にも知っておいてほしい」と題したセミナー、eラーニングなどを実施。管理職研修でも行う
女性の健康セミナーの実施/管理職研修において女性の健康講義の実施/ 女性の健康に関するWEB講演会の実施/女性の健康に関するeラーニングの実施
「セミナーの内容から、妻や母が怒っている理由について理解でき、安心した」
「幅広くセミナーが行われることが会社全体の意識改革につながっていると感じます」
・ 婦人科産業医と契約し、相談窓口の設置
メールのフォームから入力するとビデオメッセージで婦人科医からの返答があり、女性特有の不調ついて気軽に相談できるシステム。男性社員が妻や家族のことを相談することも可能
・ ファミリースマイルサポート制度
妊娠判明~出産までの女性社員、小学1年生以下の子どもの育児中の社員、介護勤務者を対象とし、原則12カ月は在宅勤務・出社は月1回とする制度。おかげで退職せずにすんだという声も
大塚製薬にはこんな取り組みも!
女性の健康推進プロジェクト
www.otsuka.co.jp/woman_healthcare_project/
ホルモンの影響を受けやすい女性の心と体についてのヘルスリテラシーの向上のため、情報を発信。婦人科の専門医の解説など、正しい知識と役立つ情報が満載
オルビス
生理周期に関わる製品のリニューアルと併せて社内アンケート実施→生理休暇を見直し。「みんなの生理研修」には男性社員も参加
取り入れていること
・ ウェルネス休暇制度(2020年6月〜)
社内調査での女性社員の多くが休めていない事実から生理休暇を「ウェルネス休暇制度」に変更。生理だけでなく更年期の症状や不妊治療の通院にも適用
「名前が変わった上に無給から有給休暇になったことで、取得しやすくなりました」
・ ユニ・チャーム「みんなの生理研修」の実施(2021年3月)
会社として、社員が生き生きと働ける環境づくりを強化したいと考え実施。講義のあとには、自社の福利厚生や制度についてあらためて説明を行った
オルビスにはこんな製品も!
「クリアフル」シリーズ
社内制度の見直しのきっかけとなったアイテムがこちら。ニキビ・毛穴トラブルについて生理周期からアプローチする、ベストセラー商品
サイバーエージェント
女性社員が長く働ける環境を目指して独自の制度“macalonパッケージ”をリリース。生理休暇に代わる制度の利用率は67%に!
取り入れていること
・ macalonパッケージ
名前の由来は「ママ(mama)がサイバーエージェント(CA)で長く(long)働く」。特に「エフ休」は通常の有給休暇を含め、女性社員が取得するすべての休暇を「エフ休」という名称に統一することで、生理の不調時でも休みやすいように配慮
エフ休/妊活休暇/妊活コンシェル/卵子凍結補助/キッズ在宅/キッズデイ休暇/認可外保育園補助/おちか区ランチ/パパママ報
「社内に浸透している制度なので、生理で体調がすぐれないときも安心して休めます」
サイバーエージェントにはこんなサービスも!
LUNATOMO
自身もホルモンバランスの乱れに悩んだ社員が立ち上げた、ピルのオンライン診療プラットフォーム。スマホで診療と薬の処方がかなう
イラスト/二階堂ちはる 取材・原文/中西彩乃 ※BAILA2022年10月号掲載