少し我慢すれば過ぎていくし、体の痛みや心の不調があっても「生理だから」とあきらめている人へ。仕事が忙しくて後回しにしがち&自分の体と向き合うことはちょっと勇気が必要だからこそ、今あらためて、BAILAと一緒に“つきあい方”を考えませんか?
BAILA FEMCARE NOTEBOOK
イメージガール
BAM(バム)ちゃん
1.バイラ読者に生理のお悩みをアンケート
【2021年8月13日~8月18日、BAILAメルマガ会員にアンケート。29〜41歳の244人が回答】
Q PMSやPMDDに悩んでいますか?
とても悩んでいる 29%
どちらかといえば悩んでいる 32%
とても悩んでいない 26%
まったく悩んでいない 13%
Q 生理や婦人科まわりのことに関して、20代前半の頃に比べて気になる変化はありますか?
とてもある 35%
どちらかといえばある 38%
どちらかといえばない 18%
ない 9%
Q 具体的にどんな変化ですか?
「生理の血の量が減った気がするし、期間も短くなった」(34歳・コールセンター)
「PMSがひどくなった」(30歳・人事)
「体がむくみやすくなった。生理前は特にひどい」(38歳・事務)
Q 現在、生理や婦人科まわりのことでどんなことに悩んでいますか?
PMS 28%
生理痛 24%
婦人科系の病気 20%
生理不順 14%
不妊・不妊治療 8%
その他 6%
Q 生理や婦人科系の病気などで悩みはありますか?
とてもある 50%
どちらかといえばある 38%
どちらかといえばない 9%
ない 3%
Q 生理痛に悩んでいますか?
とても悩んでいる 17%
どちらかといえば悩んでいる 43%
とても悩んでいない 27%
まったく悩んでいない 13%
Q 生理や婦人科まわりのことで、今深刻には悩んでいないけれど、将来的に不安を感じていることはありますか?
とてもある 30%
どちらかといえばある 52%
どちらかといえばない 11%
ない 7%
Q 具体的にどんな不安ですか?
「閉経による体の変化が不安です」(36歳・会社員)
「生理不順があるため妊娠できるか不安」(31歳・学校事務)
「体がむくみやすくなった。生理前は特にひどい」(34歳・接客業)
バイラ世代、生理のお悩みは色々とあるようです。みなさんはどうですか? まずは自分の悩みに向き合ってみませんか?
2.働く世代の生理・婦人科系悩みに医師がアンサー
生理など女性の体や心の悩みへのアドバイスが的確でわかりやすいと評判の産婦人科医の高尾美穂先生。BAILA読者のお悩みにもお答えいただきました!
イーク表参道副院長
高尾美穂先生
産婦人科医。婦人科の診療を通して女性の健康をサポート。アプリstand.fmの番組「高尾美穂からのリアルボイス」でも情報を発信。著書は『いちばん親切な更年期の教科書【閉経完全マニュアル】』(世界文化社)など。
Q 生理周期が平均ギリギリで。いろんなサイトで「正常な生理周期は25日で、24日以下は頻発月経にあたり卵巣機能低下」など書かれているので、不妊につながるのか心配になっています。婦人科で相談したり、ホルモン値などを調べてもらって数値は大丈夫、と言われているのですが、本当に大丈夫なのでしょうか。(33歳・自営業)
A 黄体機能不全の可能性も。基礎体温をつけた上で再度婦人科に相談して
「周期が短いのは黄体機能不全の可能性が。通常、排卵後にプロゲステロン(黄体ホルモン)が分泌されている期間が12日間はあるのが正常ですが、10日を切る場合を黄体機能不全と言い、不妊の原因にも。基礎体温をつけてみて高温期が12日以下ならその可能性大。プロゲステロンを補う方法で治療できるので、妊娠を望むなら婦人科で治療を」
Q 生理痛が重く、何時間も嘔吐し続けたりするときがあるほど。婦人科に相談しても何人もの医師から「あっそうですか。まあそういう人もいるんじゃないですか?」と軽くあしらわれ、まともに取り合ってもらえない経験をしています。ちゃんと対応してくれる婦人科医、そして相性のいいお医者さんはどうやったら見つかるのでしょう。(30歳・事務)
A 生理痛も立派な病気。きちんと対応してくれる医師を探しましょう
「生理痛がそこまで重い場合は月経困難症という診断がつき、超音波検査をするのが一般的です。ほかの病院を当たりましょう。相性のいいお医者さんは、悩みが複雑化してくる更年期までに見つけておくといいですが、月経困難症に関しては医師との相性はあまり関係なく、ピルや漢方、対症療法などで改善が見込めます」
Q 生理周期管理アプリを使っているのですが、毎月といっていいほどアプリが示す生理予定日から遅れます(4~7日ほど)。現在妊娠は希望していないので「予定日から〇日経過しています!」と言われるたびに焦ってしまい、この自分の生理不順では将来妊娠しにくいのではと心配です。(29歳・マスコミ関係)
A 妊娠を望まないうちはピルを飲む!生理不順は妊娠を望む際のデメリットに
「生理が遅れているとアプリに言われていつも焦ってしまうくらいなら、妊娠を望まないうちはピルを飲んで避妊をすることです。そうすればアプリもいりません。生理不順だと排卵日が予想しづらい点が、妊娠を望むときにデメリットになります。妊娠を望む少し前から、排卵日を予測するためにも毎日基礎体温をつけましょう」
Q 友人にPMSがひどい人がいて、とにかく生理前は情緒不安定になり泣いたり怒ったりがひどく、仕事が長続きしていません。本人は有資格者で仕事の能力が高いのにかわいそうに思ってしまいます。周りはどんなことをフォローすればいいでしょうか。(33歳・商社 営業補佐)
A ピルをすすめるのはどうでしょう?働く30代で知らないのはもったいない
「この友人の方はPMSによって周りの人に迷惑や心配をかけていると思います。PMSはピルや漢方薬で治療できるので、フォローするというより、婦人科に行くことをすすめてください。ピルを嫌がる人もいますが、ヨーロッパでは半数程度の女性が服用していますし、コンディションをよく保つために利用しないともったいないよと伝えてみて」
Q 加齢に伴い性交痛がひどくなったのですが、原因として考えられることは何かありますか。(38歳・事務)
A 頻度が少ないことが理由のひとつに。痛む場所によっては病気の可能性も
「閉経が近づくと腟がぬれにくくなって性交痛が出ることはありますが、38歳ならまだその可能性はありません。性交の頻度が少ないと挿入時に痛むことがありますし、前戯が足りず充分にぬれていないことも痛みの原因に。パートナーとどうすると気持ちよくなるか話し合ってみて。また、奥が痛むなら子宮内膜症の疑いもあるので婦人科へ」
Q 生理痛もなんとか我慢できます。生理前の落ち込みも、生理が始まれば忘れます。でも本当はピルとか興味があります。それでも婦人科へ行く勇気がありません。もうすぐ40なのに性行為をしたことがないと医師に言うのが恥ずかしいし、他人に触られることに抵抗があるんです。(36歳・メーカー事務)
A まったく気にしなくて大丈夫。内診の不安を医師に伝えてみて
「36歳で性交渉の経験がないのはあり得ることで、恥ずかしいことではありませんし、婦人科医にとっての女性の性器は、銀行員にとってのお札と同じくらい見慣れているものなので安心してください。また、ピルの処方には必ずしも内診は必要でなく、問診と身長・体重・血圧の検査だけでも処方できるので、抵抗があるなら医師にそう伝えて」
Q 子宮内膜症が見つかりました。こういう病は治療という考え方より、つきあっていくものだという内容の話を病院の先生から聞くけど、イマイチつきあっていくという感覚がよくわからなくて、毎回モヤモヤします。(34歳・小売事務)
A 今すぐは治療が必要でないけれど、「ほうっておくのはNG」という状態
「子宮内膜症は、症状がひどいと手術が必要ですが、生理痛がひどくない場合や、卵巣のはりが大きくないケースなら、特に治療をしないか、ピルなどで治療をしながら、定期的に婦人科を受診して状態をチェックして経過を観察します。これが“つきあっていく”ということで、ほうっておいちゃダメだよという意味です。医師に言われたとおりに定期的に受診することが大切」
Q 更年期がくるのが怖い。メンタルが安定しなかったりイライラして周りに優しくなれなかったりするんじゃないかと、今後の自分の内面の変化について不安があります。(36歳・製造業事務)
A 必ずくるものだから怖がりすぎず。今のうちから運動習慣を持つこと
「更年期は閉経を挟んだ前後10年の時期のことで、誰にでも訪れます。ただ、更年期の不調は、出る人もいれば、出ない人も。もし今、生理前にメンタルが乱れやすいなら、更年期にもそういう症状が出る可能性は高めです。ただし、更年期の不調の治療法はいろいろ用意されてますし、運動習慣を持つことで症状が軽くなるとされており、おすすめです。過度に不安になる必要はありませんよ」
Q 子宮筋腫があり、そのせいか経血量が多くつらいです。手術すべきか、医師の診断だけでは不安で、夜な夜なネットで検索したりしてしまいます。5㎝以上は手術と書いてありますが、本当にしないといけないのでしょうか。(37歳・メーカー)
A 大きさによる手術の基準はないので自分の症状によって医師の判断を
「子宮筋腫は何cm以上なら手術が必要という決まりはなく、手術をするかどうかは本人が困っている度合いによります。医師の診断だけでは不安とのことですが、かかりつけの産婦人科医以上に詳しい人はいません。ネットより医師を信用しましょう。経過観察と言われたならそれでいいと思いますし、経血量が多くてつらいならピルを含むホルモン治療でも改善可能なので医師とよく相談を」
Q 漠然とした不安ですが、まだ結婚もしておらず、仕事にいっぱいいっぱいで相手もいないので、高齢出産になるのが不安です。子どもは欲しいと思っているのですが、今から準備しておくべきことはありますか?(29歳・自営業)
A 若いうちのほうが妊娠しやすいのは事実。不安に思うよりもまずは行動してみては
「今はもう“35歳以上で高齢出産”という時代でもないですが、妊娠できる能力はどうしても36〜37歳以降から下がってしまいます。なので高齢出産が本当に不安なら、早いうちに将来のことを考えられるいいパートナーと出会うために行動しましょう。自分の人生の全体像を考えながら、計画を立ててみてください」
Q 今は妊娠したくないけれど、いざ妊娠したいときに、実は不妊症だったとわかるのではないか、という不安が常にあります。妊娠したいときできる体づくりは何から始めたらいいのでしょうか。(30歳・メーカー販売)
A 生理周期を知り、生活習慣を整えましょう
「不妊症は妊娠にトライしてから1年たっても妊娠しない場合を言います。また、不妊は自分だけの問題ではなく、相手が無精子症などで妊娠できない場合も。今からしておくべきなのは、まず生理周期を知っておくこと。BMI(体格指数)は21〜22くらいが最も妊娠しやすいとされているのでそのような体に整えること。ストレスをためず充分な睡眠時間を確保するなど生活も整えて」
3.働く女性のための生理基礎知識
生理の起こる仕組みや、排卵のこと、実は正しくわかっていないという人も多いのでは? 正しい知識をもっておくと、自分の不調とつきあいやすくなるから、まずは知っておこう。
(1)生理の基本と30代、40代から起きること
生理に関係しているのが、エストロゲンとプロゲステロンという二つの女性ホルモン。「生理後はエストロゲンが増え、その影響で子宮内膜が厚くなります。そしてその分泌がピークになると排卵が起き、すると今度はプロゲステロンが増え、子宮内膜はさらに厚くなり妊娠成立に適した状態に。妊娠が成立しなかった場合は、両方のホルモンが減り、子宮内膜がはがれ落ちて血液とともに排出されます。これが生理です」
【30代から起こる変化】
・基本的には生理は安定する年代
「エストロゲンの分泌がピークになり、生理は安定する年代。一方で、子宮頸がんが見つかりやすい年代でもあるので、2年に1回は子宮頸がん検査を受けて。また、子宮内膜症も増える年代なので生理痛がひどい場合も受診を」
【40代から起こる変化】
・経血量は減少傾向に
「エストロゲンの分泌量が減り始めることで子宮内膜も減るため、経血量が少なくなったり、生理期間や周期が短くなったりします。逆に経血量が増えたら子宮内膜症や子宮筋腫、子宮腺筋症の可能性があるので婦人科へ」
(2)排卵の基本と知っておきたい不妊・排卵障害
排卵は妊娠成立に必要なもの。「生理後にエストロゲンが分泌されてピークに達すると排卵が起こり、その後、妊娠が成立しないと14日後くらいに生理が起きます。生理が毎月きているなら、排卵も起きていると考えられます。排卵日は確実には特定できませんが、排卵後にプロゲステロンの分泌が増えると体温が上がるので、 基礎体温を測って低温期と高温期の2相に分かれたら排卵がちゃんと起きているということです」
Q 生理がきていても 排卵できていないことはある?
A「あります。生理がすごく早くきたり、すごく間があいたり、少量の生理が長期間ダラダラと続く場合は、無排卵月経の可能性が。これはストレスなどによって脳の視床下部に負担がかかり、エストロゲンが充分に分泌されていないことが原因。不妊を招くので婦人科で治療を」
Q 多囊胞性卵巣症候群とは?
A「若い女性に多くみられる排卵障害が多囊胞性卵巣症候群。卵胞の成⻑が途中で止まり、多くの⼩さな卵胞(囊胞)が排卵されず卵巣にとどまってしまう病気。エストロゲンは充分に分泌されているのですが、排卵が起こりにくくなるため不妊の原因にも。プロゲステロンを足すことにより出血を起こす治療法やピルなどで治療可能」
(3)生理のリズムをおさらい
生理周期に伴うエストロゲンとプロゲステロンの変動のリズムは、自分の体調変化と関連づけて考えるのに役立つので要チェック!
(4)生月経困難症とは?病気が隠れていることも
生理痛がひどい状態は月経困難症という病気。「生理前に子宮内膜からプロスタグランジンという物質が産生され、子宮が収縮して経血が排出されます。この物質の作用が強い人は収縮する力が強くなり、痛みが強くなる傾向が。また、子宮内膜症や子宮筋腫などの病気が原因の器質性月経困難症の場合もあり、生理痛がつらい人は生理痛がない人と比べ子宮内膜症に2.6倍もなりやすくなるというデータも。我慢せず治療を」
病気が隠れている「器質性月経困難症」の場合も
【子宮内膜症】
子宮内膜と似た組織が卵巣や腹膜など子宮以外にでき増殖する病気。進行すると腹腔内などに癒着が起き、不妊の原因にも。症状はひどい生理痛や性交痛など。
【子宮筋腫】
子宮の壁にできる良性のこぶのこと。40歳以上の女性の約半数に子宮筋腫があるといわれている。症状は、ひどい生理痛、経血量の増加やそれによる貧血など。
【子宮腺筋症】
子宮の筋肉内に子宮内膜に似た組織ができ増殖する病気。 30代後半~40代の女性に多い。主な症状は、ひどい生理痛や経血量の増加、それによる貧血など。
(5)PMSの主な症状とPMDDチェックリスト
生理前に心身に不調が起きるのがPMS(月経前症候群)で、特にメンタル症状が強い場合がPMDD(月経前不快気分障害)。「どちらも生理前にエストロゲンとプロゲステロンが増減することが原因で、むくみや便秘、頭痛、過剰な食欲が出たりすることも。プロゲステロンが増加する時期には交感神経が優位になったり、精神を安定させる脳内物質が減ったりするため、メンタル症状も出やすいのです。以下のような症状が出るならPMSやPMDDと考えられます」
【PMSの主な症状】
《体の症状》 | 《精神的な症状》 |
■ 乳房の痛み | ■ 抑うつ気分 |
■ お腹の張り、腹痛 | ■ 怒りっぽくなる |
■ 頭痛 | ■ イライラ |
■ 手足のむくみ | ■ 不安 |
■ 便秘 | ■ 引きこもり |
【PMDDのチェックリスト】
以下のうち1つ以上が当てはまる
A | □ 突然悲しくなる、涙が出る、誰かに拒絶されるとひどく傷つく |
□ 激しい怒りが延々と続く、すぐに怒る、人間関係のトラブルが増える | |
□ 激しいうつ状態、絶望感、自分を卑下する気持ちが生じる | |
□ 不安、緊張感、イライラ感が高まってるという感じ |
さらに以下の症状のうち1つ以上が当てはまり、Aと合わせると5つ以上の症状がある
B | □ 仕事や友人、趣味などに対する興味がなくなる |
□ 物事に集中できない | |
□ すぐに疲れる、倦怠感がある、気力がわかない | |
□ 食欲の著しい変化。過食、あるいは特定の食べ物が欲しくて我慢できなくなる | |
□ 何かに圧倒される、または制御不能という感じ | |
□ 乳房が張る、関節痛や筋肉痛、体重増加などの身体症状がある |
(6)婦人科でできること
生理痛や生理不順、PMS、PMDDなどの生理のトラブルには、様々な治療法が用意されているから、我慢せずに取り入れて。
Painkiller【鎮痛剤】
「月経困難症やPMSには、プロスタグランジンの産生を抑える薬(プロスタグランジン合成阻止剤)などが鎮痛剤として用いられます。重要な仕事と生理が重なるときなどは前もって鎮痛剤を飲んでおきましょう。また、急な痛みをすぐに抑えるなら座薬が効果的」
Herbal medicine【漢方】
「ピルに抵抗がある場合などには漢方薬も選択肢のひとつ。生理痛には当帰芍薬散や芍薬甘草湯などを、PMSやPMDDにも当帰芍薬散のほか、桂枝茯苓丸、加味逍遥散、抑肝散などを用います。月経困難症、PMSに保険適用。医師の診察を受けて処方してもらいましょう」
Low dose Estrogen Progestin【低用量ピル】
「エストロゲンとプロゲステロンが配合された薬。排卵を抑制して子宮内膜が厚くなるのを抑え、生理痛、過多月経、生理不順、PMS、PMDDに有効。月経困難症や子宮内膜症には保険適用。血栓症のリスクが高まる40歳以降は飲み始められないので飲むなら30代のうちに」
Mirena【ミレーナ (子宮内黄体ホルモン放出システム 〈IUS〉)】
「ミレーナはT字形の小さなリングで、子宮内に装着するとプロゲステロンが継続的に放出されて子宮内膜が厚くなるのを抑え、避妊、生理痛緩和や、経血量を減らす効果が。1回の装着で5年間有効で血栓症のリスクもありません。月経困難症や過多月経に保険適用」
4.生理をもっとラクにするために自分でできる10のこと
生理にまつわる不調は、実は生活習慣で改善できる可能性が。おすすめの方法を予防医療・栄養コンサルタントの細川モモさんがアドバイス。こんな習慣を取り入れれば、生理はもっとラクになること間違いなし!
生理への社会的サポートはまだまだ少ないから、自分の体は自分で守って
予防医療・栄養コンサルタント
細川モモさん
「ラブテリ トーキョー&ニューヨーク」主宰。米国で栄養学の資格を取得。生理に関するデータをメディアや企業などに提供し、女性の健康をサポート。
約2万人の日本女性の生理を調査したという予防医療・栄養コンサルタントの細川モモさんによると、生理痛がある人は全体の約72%、PMSがある人は95.6%にも上り、無月経経験者も5人に1人という結果が出たそう。
「これは、女性の社会進出が進んだことからくる生活習慣の悪化や、ストレスの影響が大きいと思います。こういった不調を放置して不妊になる人も。それにもかかわらず女性の生理への社会的なサポートがまだ確立されていないのが現状なので、自分の体は自分で守ることが大切。最近の研究で、生理の不調を改善するというエビデンスがある食事や生活習慣はわかってきています。今から取り入れて生理の不調を改善して、不妊や病気の予防につなげて」
『生理で知っておくべきこと』
日経BP 1705円
細川さんの最新の著書。生理にまつわる様々な最新データや、生理を軽くする食事や生活習慣など、女性が知っておくべき情報が満載。
metshod01 毎日朝食をとる
豆乳やゆで卵だけでもいいからとって
細川さんの調査では、朝食をほぼ毎日食べている人のほうが生理痛が軽いことが判明。「その理由は、朝食を食べると体温が上がり、血液の流れがよくなることで痛みが和らぐためと考えられます。睡眠中は体温が起きているときより1℃下がっていますが、朝食をとると体温が上がり、血流がよくなるので痛みが軽減するのです。特にたんぱく質をしっかりとると体温が上がりやすいので、卵や納豆などたんぱく質食材をとって」
metshod02 口に入る油はしっかり選ぶ
「油の選び方も重要。生理痛の原因物質の悪玉プロスタグランジンは油でできていて、特に痛みを強くするのが、サラダ油や肉などに含まれるオメガ系の油。逆に痛みを軽くするのが、青魚に含まれるDHAやEPA、亜麻仁油、えごま油などのオメガ系の油。オメガ系の油は揚げ物やファストフード、カップ麺などに多いのでこちらは控えめにし、オメガ系の油を積極的にとりましょう」
metshod03 食事でたんぱく質をとる
ホルモンの材料になるから必須!
「朝食に限らず毎日しっかりとるべきなのがたんぱく質。たんぱく質はホルモンをつくる材料になる上、筋肉の材料にもなって体温を上げるので生理痛やPMSの解消に不可欠。また、生理のたびに血液とともに失ってしまう鉄を体に吸収させる役割も。特に肉、魚、卵、乳製品などの動物性たんぱく質には体への吸収率の高いヘム鉄が豊富に含まれます。大豆などの植物性たんぱく質と併せてバランスよくとりましょう」
metshod04 ビタミンDを摂取する
女性の体にいいことだらけな成分。「ビタミンDは近年の研究で、ホルモンに類似した存在であることが明らかになっています。生理痛やPMSの軽減のほか、自然妊娠や不妊治療の成功率を上げたり、流産を防ぐ働きも。ビタミンDは、きのこ類や鮭、さんまなどの魚、卵、ツナなどに豊富。ただし食べ物からとれるのは2割のみで、残りの8割は紫外線を浴びることで体の中でつくられるので、適度な日光浴を」
metshod05 亜鉛と鉄を意識的に摂取
亜鉛と鉄も生理の不調緩和に効果が。「亜鉛は生理痛やPMSを緩和する働きが。カキ、アーモンド、牛肉、豚肉、卵、ごまなどに多いので意識してとりましょう。また、女性は生理で鉄を失うため貧血になりがち。鉄はセロトニンをつくるためにも必要で、不足するとPMSの原因に。牛肉やレバー、赤身の魚などに豊富です」
metshod06 湯船につかる
生理痛が緩和しやすいよ
湯船につかるのも心がけたい習慣。「私たちの調査で、生理痛がある人で毎日お風呂に入っている人は29%だったのに対し、生理痛がない人では42%という結果が出ました。つまり毎日お風呂に入っている人のほうが、生理痛がない割合が多いのです。これは、入浴で血液の巡りがよくなるためと考えられます。シャワーですませず、なるべく湯船につかりましょう」
metshod07 カロリーをちゃんととる
実は生理のトラブルと深い関係があるのが摂取カロリー。「最新の研究で、除脂肪体重(体重から体脂肪を除いた、筋肉・骨・内臓や血液など水分の総重量。体組成計で測定可能)1㎏当たり30〜45㎉を摂取していない女性には、月経異常が明らかに増えることがわかっています。ダイエットで摂取カロリーを減らしすぎている人は要注意。食事はしっかりとるようにしましょう」
metshod08 セロトニンを増やす
朝起きたらまず朝日を浴びよう!
PMSの原因には、精神を安定させる神経伝達物質・セロトニンが減ることも関係しているとか。「実は、女性は男性に比べてセロトニンをつくる能力が高くありません。ですから意識的にセロトニンを増やすことが大事。セロトニンは朝日を浴びると増やせます。また、バナナやチーズ、ヨーグルト、ナッツなどに多く含まれるトリプトファンという成分はセロトニンの材料になるので積極的にとって。炭水化物がセロトニンの量を増やすため、女性に厳しい糖質制限はおすすめできません」
metshod09 運動習慣をつける
運動も生理のトラブルに有効。「運動をすると血流がよくなり、筋肉がついて体温も上がるので生理痛の改善につながる可能性が。また、ウォーキングなどのリズム運動はセロトニンを増やし、PMSの改善効果が。逆に激しい運動はセロトニンを低下させるのでNG。エスカレーターでなく階段を使ったり、早歩きをしたりと生活の中でこまめに体を動かすだけでもOKです」
metshod10 睡眠は6時間以上を目指す
6時間未満はNG!
睡眠不足はPMSを悪化させるので要注意。「睡眠不足だったり、睡眠の質が下がるとセロトニンが減ってPMSが悪化しやすいことがわかっています。理想的な睡眠時間は7時間とされています。睡眠時間が6時間を切ると風邪の発症リスクが4.2倍になり、疲れも残ります。働くバイラ世代の女性には睡眠不足の人が多いですが、最低でも6時間は眠りましょう」
5.働く私の生理グッズ6選
【Sofy】 ソフィ 月経カップ
柔らかなカップが膣内で経血をキャッチ
初心者でも使いやすい、柔らかなTPE樹脂素材を採用。リングの形をした取っ手がついているので取り出す際も安心。多い日の4〜8時間の経血量に当たる約25㎖入るサイズ。保管用の巾着つき。¥5478(編集部調べ)/ユニ・チャーム
【NaturaMoon】 オーガニックコットンサニタリーショーツ 昼用
締めつけず、冷やさないサニタリーショーツ
オーガニックコットンを使用。生理中のむくみやすい体を考え、生地にポリウレタン5%をかけ合わせて伸縮性を出し、体を締めつけず、適度なフィット感もありズレにくい。お腹を冷やさない深ばきタイプ。¥3058/ナチュラムーン
【UNIQLO】 吸水ショーツ
エアリズム生地の吸水サニタリーショーツ
3層構造で30〜40㎖の水分を吸収するサニタリーショーツ。身生地は通気性に優れたエアリズム。肌に触れる面の生地はドライ・抗菌防臭機能つきで、ニオイを抑える。足ぐりやマチ部分はボンディング仕様でもれにくい。¥1990/ユニクロ
【LAURIER】 ロリエ デオプラス
経血のモワッとしたニオイを消臭
活性炭消臭シートで、モワッとした経血のニオイをしっかり消臭。超快適ドライ技術の採用で、ドッと出ても瞬時に吸収し、表面はいつも気持ちいい状態で、多い日もモレを防ぐ。特に多い昼用羽つき 16個入り ¥328(編集部調べ)/花王
【LAURIER】 ロリエ 朝までブロック安心ショーツ
寝ているときも安心のショーツ型ナプキン
ショーツと一体化したはくナプキン。ロリエ夜用で最強の吸収量と腰まで全面ガードで後ろモレを防ぎ、お尻の谷間にもぴたっとフィット。寝返りの際の横モレも防いでくれるので、睡眠中も安心。5個入り ¥548(編集部調べ)/花王
【Sofy】 ソフィ シンクロフィット
ナプキンとの組み合わせで吸収力アップ
ナプキンにプラスするだけで約2時間分の吸収力が加わるので多い日に便利。指ポケットに中指を入れ、吸収体をデリケートゾーンに押し当てればOK。使用後はトイレに流せる。12ピース入り ¥328(編集部調べ)/ユニ・チャーム
イラスト/conix 取材・原文/和田美穂 ※BAILA2021年11月号掲載