30代・40代の生理のお悩みや疑問に、人気産婦人科専門医がお答え! 今回は、「膣からのにおい」について聞きました。トイレのビデで洗って対策するのはアリ? VIO脱毛は?
膣からのにおい、原因は?
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30代・40代女性の、膣からのにおいに関する「リアルな悩み&疑問」!
・「30代になって、膣から魚臭いようなにおいが上がってくるように。膣ケアにはかなり力を入れていて、VIO脱毛や洗浄はしっかりしているのになぜ!?とつらいです。病院に行くのも場所が場所だけに恥ずかしく……何かよい対処法はありますか?」
・「最近、膣のにおいが気になるように。以前はお湯で流すくらいだったのですが、シャワーではボディソープを使って洗浄。トイレのビデ洗浄を習慣にしたりと気をつけるようにしているのですが、ますますにおいが気になるようになってきました……」
医師がお答え!
産婦人科医。日本赤十字社医療センター、済生会中津病院、都内クリニックで副院長を経て、2023年春、神谷町WGレディースクリニックを開業。すべての女性のかかりつけ医でありたいとの思いで日々診察を行う。わかりやすい解説で雑誌、テレビのコメンテーター、ドラマの医療監修などとしても活躍中。
菌が原因で膣ににおいが。洗いすぎると余計においは悪化!
「健康的な膣は無臭ではなく、少し酸っぱいようなにおい。乳酸菌が出すにおいが酸っぱいにおいなんです。においの種類によっても診断が変わってきますが、魚が腐ったようなにおい、生臭いにおいがする場合は、細菌性膣炎である可能性があります。膣の中に入った雑菌が繁殖してにおいを出しています。性病を心配される方も多いのですが、性病の場合もありますし、そうではない場合も。膣は肛門との距離が近く、便を拭く際に便に含まれる雑菌が入りやすいのです。膣自体ももともと菌が多い場所ですし、女性の誰もがかかりやすい病気といえます。
免疫力が強く、膣内にいい乳酸菌がいて雑菌を退治してくれれば細菌性膣炎にはなりません。ですが免疫力が落ちていて乳酸菌が減った状態の膣に雑菌が入ってしまうと、悪い雑菌が繁殖してにおいが出るのです。
膣内の乳酸菌が元気になれば雑菌の繁殖を抑えることができるのですが、この乳酸菌を増やすのがなかなか難しいんです。海外では膣用の乳酸菌錠剤も人気がありますが、日本では発売されていません。普通の石けんやボディソープは洗浄力が強すぎていい乳酸菌を減らしてしまうので、デリケートゾーン専用ソープを選ぶのも手です。
においがするからと膣を洗い過ぎると、いい乳酸菌が減って細菌性膣炎が悪化します。洗い過ぎには注意しましょう」
使い捨てビデや温水洗浄便座のビデ機能で膣炎を繰り返す可能性も
「市販の使い捨てビデや、温水洗浄便座のビデ機能を使った膣内洗浄も、におい対策には逆効果。その瞬間は膣がスッキリすると思いますが、逆に雑菌が増えて症状を繰り返してしまうおそれがあります。
ご自身で洗浄を行うのではなく婦人科でおりものの状態をみてもらい、適切な治療を受けることをオススメします。
においが気になる場合のお手入れは、1日1回、お湯かデリケートゾーン専用のソープを使ってデリケートゾーンを洗い流す程度に留めましょう」
オススメアイテム:尾西先生が監修したデリケートゾーン用ソープは、乳酸菌のほか、エストラジオール(女性ホルモン)、グルコシルヘスペリジン(美白成分)等を配合。潤いを残しながら、汚れを洗い落とす弱酸性ソープ。VAGIソープ(本体価格税込3300円・150mL)
におい対策のVIO脱毛は一長一短
「VIO脱毛を行うと、蒸れが軽減して膣のにおいが減るのでは?と期待する方も多いですね。確かに蒸れは減りますし、キレイに拭けるというメリットはあります。
ですが、毛のワンクッションがあると、性交渉で雑菌が入りにくくなるというメリットも。性病ももらいにくくなるので、性病が原因のにおいは防ぎやすいです。
また、年齢を重ねるとデリケートゾーンが乾燥しやすくなるのですが、毛があると湿度を保てるという長所もあります。
におい対策では、VIO脱毛は一長一短といえますね」
におい対策に過剰な膣洗浄を行うのはNG、と心得て。
取材・文/櫻木えみ