マンガと猫が好きなライター・上村祐子がバイラ女子におすすめのマンガをピックアップ! 今回は、懐かしくて優しいレトロ喫茶に集まる人たちの“弔い”の物語『木暮姉弟のとむらい喫茶』を紹介します。
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上村祐子
マンガを読んで、猫を愛でて暮らすライター。気づけば2024年も終わっていくので、マンガを整理中。
マンガ『木暮姉弟のとむらい喫茶』のここがオススメ
懐かしくて優しいレトロ喫茶に集まる人たちの“弔い”の物語
©うおやま/新潮社
小さな喫茶店“こかげ”を営む姉・千景と店員の弟・テル。このお店には大切なものを失くした人が不思議と集まる。最愛の家族、ペット、推し、自分自身の体……何を失ったのか、その経緯や相手に向ける感情もそれぞれで、簡単に“わかる”なんて言えない物語を抱えている。各エピソードのなかには、カレーライスや苺のショートケーキなど喫茶店ならではの懐かしさがある食事が登場。美味しいものと一緒に喪失感やこれまでの思い出もいただく姿に、自分も“こかげ”の常連として思わずその場にいるように見守ってしまうのだ。
本作を読めばきっと、今自分にある愛しいものすべてを大切にしたくなるし、懐かしいレトロな喫茶店に行ってみたくもなる。何より誰かを想いながらの食事は、こんなにも愛しさで満たされることを知るのだ。
『木暮姉弟のとむらい喫茶』
うおやま著
新潮社 2巻 770円
喫茶店を営む千景とテルは血のつながった姉弟ではない。過去にあった“ある人の死”が彼らをつなぐ大きなキッカケとなっていて……。過去を描く前後編も収録。
【これも気になる】マンガ『かいじゅうの花束』
『かいじゅうの花束』
雨花深衣著
集英社 1巻 572円
シェアハウス×自由人な年上男子。ときめき確約なラブストーリー開幕!
シェアハウスに入居した高1の誉(ほまれ)。住人で自由人な柳は、誉が別れた母を想っていることを見破ったり、シェアハウスになじみやすくしてくれたり……誉は次第に心を開いていく。
イラスト/chii yasui ※BAILA2024年12月号掲載