働くBAILA読者に推したい3冊を厳選! 書店「蟹ブックス」店主の花田菜々子さんは“読書は難しい”と感じる人にこそおすすめな本を紹介してくれました。
書店「蟹ブックス」店主
花田菜々子さん
1979年生まれ、東京都出身。書店の店長などを経て、実体験を基にした小説がベストセラーに。ドラマ化もされた。’22年に「蟹ブックス」をオープン。
“読書は難しい”と感じる人に推す本
『あかるい花束』
岡本真帆著
ナナロク社 1870円
人気歌人による、第二歌集。「最近、長い文章が読めない、という読書スランプに陥っている人におすすめ。明るさの中に切なさがある岡本さんの言葉は、短歌初心者の方にもぴったりです」
『あなたのことが知りたくて』
チョ・ナムジュほか著
河出文庫 990円
韓国・フェミニズム・日本をお題に12名の作家が筆を振るう。「ノーベル文学賞受賞が話題のハン・ガンさんの作品も収録。短編小説のアンソロジーは、新たな作家を知るきっかけにもなります」
『ベスト・エッセイ2024』
日本文藝家協会編
光村図書 2200円
2023年に雑誌や新聞媒体に掲載されたエッセイのベスト・アンソロジー。「作家の角田光代さん、俳優の松重豊さんなど、書き手の幅が広くて読みごたえあり。面白い文章と出会いたい方はぜひ!」
SNSや動画に疲れたら、活字をゆっくり追ってください
書店を経営していることもあり、私にとって読書はプライベートと仕事の両方に直結しているもの。私自身は日々を“読書ありき”で過ごしていますが、今回の3冊は本を読むことから少し離れていて、動画やSNS三昧でお疲れぎみのバイラ世代に向けて選んでみました。
長い文章を読む行為に心のハードルが高くなっている人は、まずは短歌から。『あかるい花束』のような優れた歌集は、短い言葉に触れるだけで作者の世界に惹き込まれていく魅力があると思います。『あなたのことが知りたくて』は日本人と韓国人の作家たちの短編小説集。フェミニズム作品に触れることで、目の前の世界が少し違って見えてくるかもしれません。『ベスト・エッセイ2024』はどの人のお話も本当に面白い! 難しいことは考えずに、でも誰かが書いた文章に触れたいときにはぴったりです。
読書って、実はリラックスして楽しめる趣味のひとつ。それでいて、何かをゆっくり考えたり、自分と向き合う時間がつくれるのがいいところだと思います。
撮影/田村伊吹 取材・原文/石井絵里 撮影協力/UTUWA ※BAILA2025年2・3月合併号掲載