働くBAILA読者に推したい3冊を厳選! お笑い芸人のラランド ニシダさんさんは“読書の喜びが詰まった本”を紹介してくれました。
お笑い芸人
ラランド ニシダさん
1994年生まれ、山口県出身。’14年に、サーヤさんとともにお笑いコンビ「ラランド」を結成。’23年には『不器用で』(KADOKAWA)という作品で小説家デビューも。
読書の喜びが詰まった本
『思い出トランプ』
向田邦子著
新潮文庫 649円
昭和を代表する脚本家の、初期の短編小説集。「どれも濃い感情が渦巻いている話ばかり。それでいて短い物語でしか摂取できない喜怒哀楽があり、二つ、三つと読み進めてしまいます」
『夜のくもざる』
村上春樹著 安西水丸絵
新潮文庫 990円
「掌編と言ったほうがいいほどの短い物語が詰まった一冊。不思議で不条理でユーモアにあふれた世界がいっぱい。他人の脳みそをのぞくような感覚を味わえるのは、まさに読書ならでは!」
『密やかな結晶〈新装版〉』
小川洋子著
講談社文庫 902円
海外でも評価が高い小説家の、代表作のひとつ。「鳥、香水、フェリーなど身の回りのものが記憶から消えていく世界で生きる小説家の物語。一文一文が精緻で、美しさとはかなさを味わえます」
学びや教養を求めず、純粋に“読む”ことを楽しんでいます
自分にとって読書は娯楽。勉強のためとか、教養を高める、そういった目的ありきで本を読むことは一切していません。映画やゲームと並列するレクリエーションのひとつで、生活を犠牲にしてまで本を読む必要もないと思います。
そんな自分が推したい3冊は、娯楽としての読書の喜びが詰まったものたち。『思い出トランプ』は昭和に書かれた短編集ですが、この中に収められている話でしか摂取できない濃い感情があり、読み始めるとやめられません。『夜のくもざる』は、長編作家の印象が強い村上春樹さんのイメージから逸脱した短い文章が魅力。クスッと笑えるものからゾワッとした読後感のものまであります。『密やかな結晶』は、小川さんが紡ぐ美しい文体そのものを楽しんでいますね。
読書はあくまでも娯楽だけど、余暇を過ごす選択肢のひとつとしてとてもいいものだと感じています。そして自分自身も小説を書いているので(笑)、もっと多くの人に本を読む楽しさを知ってもらえたらな、なんて思っています。
撮影/田村伊吹 取材・原文/石井絵里 撮影協力/UTUWA ※BAILA2025年2・3月合併号掲載