旅行先としても人気の台湾を、より深く身近に感じられるような読書をしてみませんか? 文芸評論家・三宅香帆さんと、誠品生活日本橋 書店員・村田朋美さんが、おすすめの台湾ブックスをピックアップ。この秋は、ノスタルジーと食欲を誘う美しき台湾ブックスの世界を堪能して!

文芸評論家
三宅香帆さん
1994年生まれ。文芸評論、社会批評などの分野で幅広く活動している。近著『「話が面白い人」は何をどう読んでいるのか』(新潮社)がある。

誠品生活日本橋 書店員
村田朋美さん
2022年〜2023年まで台湾在住。誠品書店では、中文書を中心に、台湾関連書籍、雑誌、コミックを担当。本を通じて台湾の魅力を広める活動を行う。
文芸評論家&書店員が厳選! おすすめ台湾ブックス11選
1.『台湾漫遊鉄道のふたり』

楊双子著 三浦裕子訳
中央公論新社 ¥2530
美食×鉄道×百合。日台女性二人の物語
1938年、日本統治下の台湾。日本人作家・千鶴子と台湾人通訳・千鶴は、それぞれ底知れぬ食欲と秘めた傷を抱えながら、台湾縦貫鉄道の旅へと出発する。
2.『四維街一号に暮らす五人』

楊双子著 三浦裕子訳
中央公論新社 ¥2090
レトロ建築×グルメ! ワケあり5人の共同生活
古い日式建築のシェアハウス『四維街一号』に暮らす5人。100年前の台湾料理レシピの発見をきっかけに、ある家族の歴史と5人の孤独が響き合う。
3.『綺譚花物語』

星期一回収日著 楊双子原作 黒木夏兒訳
サウザンブックス社 ¥1760
あなたの存在が希望。台中が舞台の百合マンガ
自由に未来を選ぶことが難しかった時代にひっそりと咲く恋があった。日本時代と現代の二つの時代を舞台に、四つの物語とその想いを繊細に紡ぐ。
4.『隙間 1』

高妍著
KADOKAWA ¥902
台湾と沖縄に刻まれた歴史と私が交差するとき
大学生の楊洋(ヤンヤン)は祖母の死と愛する人との関係に傷つき、逃れるように交換留学で沖縄へ。異国の出会いと歴史に触れ、少しずつ“私”を取り戻していく。
5.『守娘 上』

シャオナオナオ著
KADOKAWA ¥748
清朝時代から伝わる台湾怪奇物語を漫画化
兄に愛されて育った娘は、結婚の勧めにうんざりしていた。ある日、女性霊媒師との出会いをきっかけに、差別や迷信にまつわる怪奇事件の真相に迫る。
6.『台湾文学コレクション1 近未来短篇集』

伊格言・他著 三須祐介訳
早川書房 ¥3190
人間らしさを問い直す現代作家8名のSF短編
先端技術を巡る母娘の衝突を描く「2042」や、人間の負の感情を取り除くことが生業の青年が主人公の「雲を運ぶ」など全8編。
7.『ピアノを尋ねて』

クオ・チャンシェン著 倉本知明訳
新潮社 ¥2145
人生が響き出す音楽が聴こえる小説
ピアニストの夢破れた調律師と妻を亡くした実業家が、中古ピアノ販売の起業のためNYへ。物語の随所で有名作曲家の話も。
8.『歩道橋の魔術師』

呉明益著 天野健太郎訳
河出書房新社 ¥1210
ノスタルジーが漂う中華商場の人々の物語
1979年、台北の中華商場。棟と棟の間の歩道橋には子どもを魅了する魔術師がいた。現実と幻想、過去と未来が静かに交わる。
9.『オールド台湾食卓記 ―祖母、母、私の行きつけの店』

洪愛珠著 新井一二三訳
筑摩書房 ¥2420
母娘3世代の食を巡る エッセイの大傑作!
台北・迪化街(てきかがい)、蘆州(ろしゅう)、東南アジア、ロンドンなど、各地の食べ物や買い物を巡る母娘3世代の生き生きとした暮らしの記憶。
10.『味の台湾』

焦桐著 川浩二訳
みすず書房 ¥3300
台湾中を食べ歩く詩人が食の中に見た台湾の軌跡
台湾飲食文学の名著『味道福爾摩莎』から60篇を厳選。小吃や小籠包といった庶民の味から、台湾の歴史を浮かび上がらせる。
11.『台湾レトロ氷菓店 あの頃の甘味と人びとをめぐる旅』

ハリー・チェン著 中村加代子訳
グラフィック社 絶版
美しい写真とともに残す台湾の食文化の記録
著者が台湾各地の氷菓店を巡り、そこで提供されるかき氷やアイス、軽食などを堪能。多様な台湾の食文化を記録した一冊。
台湾の作品をもっと身近に!もっと深く感じるための3TIPS
TIPS1.作家のトークショーに参加しよう!
来日した楊双子さんのトークイベントに潜入! @本屋B&B(下北沢)
楊双子さんの『台湾漫遊鉄道のふたり』の全米図書賞 翻訳文学部門&日本翻訳大賞受賞を記念したトークイベントが「本屋B&B」(下北沢)で8月に開催されました。楊双子さんと英語版翻訳家のリン・キンさん、日本語版翻訳を手がけた三浦裕子さんが登壇し、執筆のきっかけやこだわり、翻訳の難しさ、日米における台湾文学の現在地などについてトーク。会場は幅広い層の参加者で満員となり、終演後は、参加者同士が楊さんの作品の好きな点や台湾のおすすめスポットについて語り合う場面もありました。今後のイベントにも期待!

左から英語版翻訳家リン・キンさん、楊双子さん、この日通訳を務めた「太台本屋 tai-tai books」代表の金森エリーさん、日本語版翻訳者の三浦裕子さん。

サイン会も実施。

原書、日本版、英語版。装丁の違いを比べると面白い。
TIPS2.「太台本屋 tai-tai books」のSNSをフォローして台湾本の情報をGET
繁体中文作品(台湾・香港作品)専門の版権エージェント「太台本屋 tai-tai books」。台湾の本や書店の情報を、日本の出版社や読者に向けて発信しており、携わった本のイベントもよく主催しているのでSNS(X/@taitaibooks)を要チェック!

出版に関わった最新刊!
『海風クラブ』呉明益著 三浦裕子訳 KADOKAWA ¥3080
TIPS3.台湾文化センター×SENT台湾が毎年発行。ブックガイドをチェック!
台湾を知るきっかけになる本を紹介する、無料のブックガイド『臺灣書旅』。昨年は食文化、今年はジェンダーをテーマに選書。識者のインタビューも充実している。紀伊國屋書店をはじめとした書店で配布しているほか、台湾文化センターのサイトからPDFをダウンロード可能。

編集:SNET台湾、デザイン:100KG Design Office
撮影/坂田幸一(物)、wacci 取材・原文/海渡理恵 編集/久保田梓美 ※BAILA2022年12月号掲載

BAILA編集部
30代の働く女性のためのメディア「BAILA」。ファッションを中心にメイク、ライフスタイルなど素敵な情報をWEBサイトで日々発信。プリント版は毎月28日頃発売。































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