もっと豊かにしたい夏のお茶時間。お茶の伝道師「テテリア」大西進さんによるティーレッスンへようこそ。基本の美味しいアイスティーの作り方や夏におすすめなアイスティーのレシピ、紅茶とおやつの美味しいペアリングなど、盛りだくさんでお届けします。
1.基本の美味しいアイスティーの作り方&初夏におすすめのアイスティーレシピ
肩ひじ張らず、気分に合わせて。お茶の時間で夏を豊かに
キッチンで、テーブルで⏤⏤
生活のなかで、自分の好きな飲み物が生まれるのは、楽しい。そして美しい。まどろみにふっと寄り添う朝茶、のどを鳴らすようにごくごく飲める爽快感あふれる夏向きの紅茶、心がキュンと跳ねる夕暮れ色のお茶……、気分やシーンに合わせてお茶をペアリングすると、日常に素敵なリズムが生まれます。
とはいっても、よそゆきではない、自分のためのお茶。堅苦しいルールも作法もいりません。今回、美味しくいれるための近道になるレシピはお伝えするけれど、茶葉の量、抽出時間やミルクの量、+αのハーブやスパイスの加減は、どうぞご自由に。色々試して、自分の好きな味をとらえてみてください。
夏ののどに泳いでいく二つのアイスティー
(右)ヌワラエリア
疲れた心と体にガツンとしみる、疾走感のあるキリリ系
のどの渇きと暑さを一刀両断にしてくれるのは、ほろ苦さとパワフル感を内包するキレ感のある味。夏のアイスティーはこれで決まり!
●材料
茶葉……3〜4g
熱湯……150㎖
氷……150g
しっかりとしたコクと爽快な渋味が特徴。
NU WARA ELIYA BOP 70g ¥1080/テテリア
(左)ファーストフラッシュダージリン
恒久のエレガンス。とめどないロマンチック
冬を超えて最初に芽吹く茶葉を摘んで仕立てるファーストフラッシュ。澄んだ淡色、芳しい香気……一度は味わいたい紅茶の女王。
●材料
茶葉……3〜4g
熱湯……150㎖
氷……150g
特別な存在でもある。
FIRST FLUSH DARJEE LING 202 CASTLET ON TE 60g ¥2160/テテリア
基本の美味しいアイスティーの作り方
1.器具を用意する
ティーポット、ビーカーなど耐熱グラス、茶こし、スプーンを
2.茶葉をスケールで計量
1杯分につき3〜4gの茶葉を計量し、ティーポットに入れる
3.熱湯を注ぐ
150㎖の熱湯をティーポットに注ぎ、ふたをして2分待つ
4.氷に紅茶を注ぐ
耐熱グラスに150gの氷を入れたら、茶こしでこして注ぐ
5.さっと混ぜる
マドラーで混ぜ、氷がほどよく溶けたらでき上がり!
2.時間軸で巡るティータイムテーブル「一日の時間と with TEA」
朝のホワイトティー
萌える白茶は、まろやかですがすがしい
起き抜けはホットで体を温めて。お白湯の代わりに、やわらかい新芽で仕立てる最も繊細かつ高貴な白茶で一日をスタート。
●材料
茶葉(ホワイトティー)……1〜2g(ひとつまみ)
熱湯……200㎖
●作り方
①耐熱グラスに茶葉を入れ、熱湯を注ぐ。
②茶葉が開いていくのを2〜3分待つ。
③少なくなったら熱湯を継ぎ足し、2杯目、3杯目のやわらかな味を楽しんでも。
細心の注意を払って手摘み。シャンパンゴールド色。NILGIRI WHITE TEA 20g ¥1512/テテリア
午後のティーソーダ
シナモンと炭酸の幸せな刺激が口中で、体内ではじける
茶葉とシナモンで濃いめに作り、炭酸水を注いで。エキゾチックな香り、シュワッとした口当たりが相まって夏のほてりをクールダウン。
●材料
茶葉(ダージリン)……2g
シナモンスティック……1g
熱湯……100㎖
氷……適量
炭酸水……適量
●作り方
①スケールにティーポットをのせ、紅茶と砕いたシナモン(シナモンパウダーの場合は少々。仕上げにふりかける程度)を量る。
②熱湯を注ぎ、ふたをして2分待つ。
③氷を満たしたグラスの半量まで②の紅茶を注いでアイスティーを作り、炭酸水を注ぐ。
夕暮れのティーカクテル
ピンクのグラデーションは可愛いのにどこか蠱惑的
夕暮れ色のハイビスカスを主役にしたハーブティーには、炭酸水を加えて好みのピンク色に。好みでラベンダーの蒸留酒を少量加えても。
●材料
ハイビスカス、ローズ、ラベンダーの茶葉……計2〜3g
熱湯……50㎖
氷……50g
炭酸水……適量
●作り方
①ティーポットに熱湯(分量外)を入れて温めておく。湯を捨てたらスケールの上にポットをのせ、茶葉を量る。
②熱湯を注ぎ、ふたをして2分待ち、氷を入れたグラスに注いでアイスティーを作る。
③グラスに炭酸水を注ぎ、好みの色になるまで②のアイスティーを加える。
夜の安眠ハーブティー
夢の世界へと誘う、グッドナイトティー
“千の用途を持つ木”として親しまれるリンデン(西洋菩提樹)。凪の心にしてくれるまろやかな口当たりで、安眠作用も期待できる。
●材料
リンデンフラワー……3〜4枚
熱湯……180㎖
●作り方
①耐熱グラスに葉を入れ、熱湯を注ぐ。
②葉が開いていくのを2〜3分待つ。
③クセがないので、お好みでブラックペッパーやナツメグパウダーを加えて味と香りの重なりを楽しんでも。
3.魅惑の組み合わせ=最高の化学反応「あの飲み物と with TEA」
オーツミルク with ティー
香ばしいのに後味すっきり。次世代アイスミルクティー
ヴィーガンタイプの“第三のミルク”でチャレンジ。使用する茶葉は、ミルクティー用に作られたものだと、より味わい深く。
●材料
ミルクティー用の茶葉……6g
水……60㎖
オーツミルク……200㎖
氷……100g
●作り方
①小鍋に茶葉と水を入れて中火にかけ、ふつふつしてから数十秒煮出す。茶こしでこしながらピッチャーに注ぎ、約30㎖のティーベースを作る。
②グラスにオーツミルクと氷を入れ、①をゆっくり注ぐ。お好みでメープルシロップやはちみつを加えても。
ミント with ティー
ひとつまみの紅茶がミントの輪郭をくっきり際立たせて
ミントティーだけだとぼやけた味になることも。そんなときにひとつまみの紅茶を加えると、味にほんの少し厚みが生まれて飲みやすく。
●材料
ミントの茶葉……2g
茶葉(ヌワラエリア)……2g
熱湯……360㎖
●作り方
①ティーポットに熱湯(分量外)を入れ、温めておく。熱湯を捨てたらスケールの上にポットをのせ、茶葉を量る。
②熱湯を注ぎ、ふたをして3分待つ。
③スプーンでひと混ぜし、茶こしでこしてカップに注ぐ。
フルーツジュース with ティー
カクテルみたいな美しさ、華やかな味わい
ポピュラーなハーブティーとフルーツジュースを合わせて2層のドリンクに。フルーティなのに癒される、目からウロコの美しい味。
●材料
(アップルハイビスカスクーラー)
ハイビスカスの茶葉……2〜3g
熱湯……50㎖
氷……50g
アップルジュース……30㎖
(柑橘カモミールクーラー)
カモミールの茶葉……2g
熱湯……50㎖
氷……50g
柑橘ジュース……30㎖(または柑橘フルーツの搾り汁20㎖+はちみつ小さじ2)
●作り方
①ティーポットに熱湯(分量外)を入れ、温めておく。熱湯を捨てたらスケールの上にポットをのせ、茶葉を量る。熱湯を注ぎ、ふたをして1分待つ。
②別の容器に氷を入れ、茶こしでこしながら①を注ぎ、手早く混ぜて氷を溶かす。
③グラスに氷(分量外)を入れてジュースを注ぎ、②を注ぐ。
4.そのペアリング、スペシャルにつき「あの店のおやつと with TEA」
ブノワ・ニアンのカカオ40%チョコレート×アイスキームンティー
チョコレートの余韻と紅茶を重ねて
「チョコレートは口の温度で溶かして味わうもの。熱い飲み物で溶かすのはのもったいないので、アイスティーで最後に味をさらうイメージで。茶葉はキームンなど渋みが少ない中国系のもの、チョコレートは紅茶とカカオの中和剤になるミルク感が強めのほうがいい」(大西さん)。
NOIR AU LAIT SAN FRAN CISCO DE MACORIS 40% 1枚(60g)¥ 2376/ブノワ・ニアン
御菓子処 さゝまの松葉最中×ホットアッサムティー
あんこ×紅茶=はっとするほど好相性
「同系色の食材って相性がいいもの。茶色系の最中と紅茶も例外ではありません。数多くの作家が愛した老舗の最中は、小ぶりながらもややしっとりめの皮と、こし餡の余韻が強い。紅茶の中でもモルティで落ち着いた香りといわれるアッサムティーとの相性ぴったりです」(大西さん)。
松葉最中 12個化粧箱入り ¥1910/御菓子処 さゝま
レモンノキのレモンノミ×ラベンダーミルクティー
レモンの魅力をラベンダーたちが包み込む
「レモンの魅力が詰まったレモンケーキに合わせるのは、それが持つ酸味やほろ苦さを、優しく受け止めるようなミルクティーが理想。ミルクともレモンとも相性がいいラベンダーが加わることで、すべての橋渡しに」(大西さん)。
レモンノミ 6個セット ¥2860/レモンノキ ※夏季期間の7〜9月は販売休止
ミルクティー用の茶葉にラベンダーを加えた便利なアイテム。LAVENDER MILK 60g ¥1080/テテリア
ピエトロ・ロマネンゴのフルッタカンディータ×アイスアッサムティー
高貴な香り、味、余韻にドキドキが止まらない
新鮮な果物に銅の棒で穴をあけ、6時間ごとに濃度の異なる砂糖水に1週間漬け込む逸品。「フルーティで華やかな砂糖菓子の最高傑作を、力強いアッサムのアイスティーでゆっくり迎えに行って」(大西さん)。
フルッタカンディータ 3個入り ¥2160/ノンナアンドシディショップ
鮮やかな赤色、しっかりめの渋み、甘い余韻。ASSAMORTHODOX 70g ¥1080/テテリア
静岡県富士市を拠点に、茶葉の卸売やティーレッスンも行うお茶の伝道師。肩ひじ張らないお作法と考えで、日常をほんの少し上向きに、豊かにするようなお茶の選び方・いれ方・味わい方を教えてくれる。ウェブショップは、http://teteria.shop-pro.jp/。
撮影/吉田 歩 スタイリスト/西崎弥沙 調理/大西 進 取材・原文/広沢幸乃 ※BAILA2022年7月号掲載