ライフプランとお金のスペシャリストであるファイナンシャルプランナーの井戸美枝さんと風呂内亜矢さんに、気になるけれど聞きづらいお金の話を伺いました。
「絶対安心」とは言い切れないのが人生というもの。今回は、ケガや病気のときに必要なお金、入院費用などを知っておこう!
ファイナンシャルプランナー
井戸美枝さん
社会保険労務士、産業カウンセラー。お金の話を簡単に読み解く経済エッセイストとしても活躍。『フリーランス大全』(エクスナレッジ)など著書多数。
ファイナンシャルプランナー
風呂内亜矢さん
TVや新聞、雑誌、YouTubeなど多数のメディアでお金に関する情報を精力的に発信中。著書に『コツコツ続けてしっかり増やす!誰でもできるNISAの教科書』(ナツメ社)など。
Q.離婚することになったとき、二人の貯金や財産はどうなりますか?
A.夫名義の共有口座や厚生年金も、結婚後に築いた財産は半分ずつが原則
「基本的には、たとえどちらかが働いていなかったとしても結婚以降に築いてきた財産は、夫婦で折半するという考え方をします。また、将来もらえる予定の退職金や厚生年金も、婚姻していた年数分は半分受け取る権利があります。ただし、厚生年金の権利は離婚して2年以内に手続きしなければいけないなどの時効設定も。これらはあくまで基本の考えであり、どこまで求めるか、譲歩するかはそれぞれの判断となります」(風呂内さん)
Q.ケガや病気で休職する場合、もらえるお金はありますか?
A.4日以上の病欠なら「傷病手当金」の支給対象です
「仕事とは関係ないケガや病気でも、働けない間の収入をカバーするために健康保険から『傷病手当金』が支給されます。支給額は1日あたりの給料(標準報酬日額)の3分の2で、期間は休業4日目から最高1年6カ月分です。パート勤務でも健康保険に加入すれば給付の対象となります。また、通勤途中や仕事中のケガや病気が原因で休養する場合は、『休業補償給付』の対象となり、通算4日目の休業から無期限で日給の8割が支給されます」(井戸さん)
[傷病手当金の日額の計算方法]
たとえば月収30万円の人が60日休業した場合、30万円÷30日=1万円が標準報酬日額となる。その3分の2が支給されるので、1万円×3分の2×60日=約40万円という計算に。所得税はかからない。
Q.保険に入っていません。もし入院するなら備えはどのくらい必要?
A.30万~50万円は確保。半年分の生活費もあると安心
「1回あたりの入院にかかる自己負担額は平均で約30万円。保険に入っていなくても30万〜50万円を備えておくと、再発しない病気やケガであればほぼまかなえます。さらに万が一のために半年分の生活費を貯めておけるとより安心ですね。1カ月の医療費の自己負担分が一定額を超えた場合は『高額療養費制度』によって、超過分が健康保険から給付されます。若いときは過度に心配するよりも、早く資産をつくることに集中しましょう。資産ができれば、保険や投資などの選択肢も広がりますから」(井戸さん)
[たとえば…がんで入院した場合]
医療費 100万円
▼
自己負担(3割) 30万円
▼
高額療養費制度を利用 約9万円
※標準報酬月額28万円~50万円の場合
イラスト/蔵元あかり 取材・原文/国分美由紀 ※BAILA2024年2・3月合併号掲載