バイラ世代が抱える、結婚やパートナーシップへのモヤモヤや焦り。イタリアを始め世界各地で暮らし、様々な結婚観に触れてきたヤマザキマリさんのお答えから、新たな視点が拓けてくるはず! 今回は「親友の結婚相手が気に入らない」という質問へのアンサー。
【読者の「結婚」に関するお悩み】
親友の結婚相手が気に入らない(30歳・マスコミ)
「親友が結婚しました。お相手には結婚前に何度か会ったことがあるのですが、待ち合わせに遅刻する、店員さんに横柄な態度をとる。正直“彼女がこの人を選ぶなんて”と思わずにはいられませんでした。彼の話を聞くのも嫌になってしまい……。その結果、彼女とは疎遠状態に。大切な親友を失ってつらいです。私はどうしたらよかったのでしょうか」
ヤマザキマリさんのAnswer.
己の物差しで他者を測るな。もっと「人間図鑑」を広げて!
厳しい意見かもしれませんが、余計なお世話というやつでしょう。かつて、私が飼っていた猫にお見合いをさせたことがあるんです。極上のお相手でしたけど、うちの猫は見向きもせず。結局はどこかで知り合ったワイルド系のきたない野良猫と相思相愛になって、子猫もいっぱい生まれちゃった(笑)。あ~あとは思いましたよ。でも人の嗜好に自分が口出しするのは野暮です。親友でも、夫でも、子どもでも、もちろん猫でさえ、自分の思いどおりになるわけがありません。つまり、あなたの物差しは万国共通じゃないということ。ミリだかセンチだかわからないけど、あなた基準で親友とその結婚相手を測って、自分の基準からはみ出せば交友関係をしぼり込んで……って、そんなことじゃ寂しくなって当たり前ですよ。自分から世界を狭くしてるのですから。人間は多種多様、人の嗜好も多種多様。そういう社会に暮らしているのだという自覚を持ってください。
ヤマザキマリ
漫画家・文筆家・画家。1967年生まれ。’97年に漫画家デビュー。’10年『テルマエ・ロマエ』で第3回マンガ大賞受賞。第14回手塚治虫文化賞短編賞受賞。同作品は、現在も世界各地で翻訳出版中。エッセイなどの著書も多数。
撮影/ノザワヒロミチ 取材・原文/石井絵里 ※BAILA2024年8・9月合併号掲載