バイラ世代が抱える、結婚やパートナーシップへのモヤモヤや焦り。イタリアを始め世界各地で暮らし、様々な結婚観に触れてきたヤマザキマリさんのお答えから、新たな視点が拓けてくるはず! 今回は「既婚は転職に不利?」という質問へのアンサー。
【読者の「結婚」に関するお悩み】
既婚は転職に不利? 古い価値観の上司にギャップを感じる(31歳・医師)
「上司(50代男性・妻は専業主婦)が、『女性は結婚して子どもができたら時短勤務になるし、退職される可能性もあるから雇いたくない』と言っていました。私は既婚でいずれ転職を考えていますが、採用担当はこの年代の人だと思うので、自分のステータスは転職に不利なの?と不安に。そもそも、こうした“おじさん”価値観の上司にどう対応すべきなのでしょうか」
ヤマザキマリさんのAnswer.
“おじさん”はじきに滅びます。雑音は気にせず能力を磨こう
安心してください。あなたの上司のような“おじさん”的な価値観は、そのうち滅びていきますから(笑)。労働者人口が減り続ける日本社会の中、既婚だからと女性のパワーを排除していったらどうなるでしょう? 世の中は衰退の一途をたどるばかりでしょう。あとは、こういう発言の裏側に、どういう心理があるのかを読み解くのも手ですよね。これは先進国に共通して言えることなんですが、だいたいの“おじさん”は、家庭で奥様に強~い圧をかけられて生活しているもの。せめて職場では“俺様の持論”をふかしたい(しかし実際にはそれを行使する権力もない)というパターンが多かったりします。滅びゆくおじさんの“ふかし”を真に受けて、働き盛りのあなたが心を痛める必要はありません。ただし、こういう残念なおじさんは必ずどこの企業の中にもいるものだという想定は必要かもしれません。とにかくおじさんの存在に囚われず飄々と仕事をこなし、結果を出していけば、そんな瑣末なおじさんたちの雑音も気にならなくなると思いますよ。
ヤマザキマリ
漫画家・文筆家・画家。1967年生まれ。’97年に漫画家デビュー。’10年『テルマエ・ロマエ』で第3回マンガ大賞受賞。第14回手塚治虫文化賞短編賞受賞。同作品は、現在も世界各地で翻訳出版中。エッセイなどの著書も多数。
撮影/ノザワヒロミチ 取材・原文/石井絵里 ※BAILA2024年8・9月合併号掲載