従来の婚姻スタイルにとらわれず、ライフスタイルに合った結婚生活を送る夫婦にインタビュー。それぞれが導き出したふたりらしい“結婚の形”とは!? 今回は、東京⇔愛媛を行き来する“二拠点婚”を選んだふたりにフォーカス。
《二拠点婚》東京⇔愛媛を行き来しながら「食」を追求するふたり
DATA
□出会い 浅野さんの弟の友人
□交際期間 1年
□結婚 2023年
「美菜屋」代表、モデル
浅野美奈弥さん(33歳)
みかん農家、「Tangerine」運営
若松優一朗さん(31歳)
“食”という共通点でつながったふたり。夢もビジネスも広がり続けるデュアルライフのあふれる可能性
二拠点生活をかなえた仕事の仕組みづくり
東京でケータリングサービス会社「美菜屋」を経営する浅野さん。パートナーの若松さんは、愛媛県・宇和島市で祖父母のみかん農家を継ぎながら、みかんジュースブランドを手がけている。
浅野 弟の友人だった彼とは、お互いに食をなりわいにしていることもあり、すぐに意気投合。将来のビジョンが似ている上に、友達感覚で何でも話せるので、ふたりとも自然に「一緒になりたい」と強く想うようになって。出会って半年後には結婚を決めました。事実婚も検討しましたが、親戚が少ない私は、「いつか家族を築きたい」と漠然と考えていたのもあり、また、物理的な距離があるので法的にも夫婦になっておいたほうが困難を乗り越えやすいのではないかと思い、法律婚を決めました。
ともに経営者。二拠点生活を決心する際、そこはネックにならなかったのか。
浅野 お互いにフットワークが軽いので、距離を結婚のハードルとして捉えていなかったし、何か不都合があれば、そのときに対策を考えればいいと思っていました。あとは、創業時から“私が現場にいなくても回る”組織づくりを目標にしていたので、それが二拠点婚をかなえてくれたと思います。
若松 今、二拠点生活をする上で、その部分にはすごく助けられています。
都会と地方のいいとこどりでワークライフバランスが整う
現在の生活スタイルは、基本的に浅野さんが1週間おきに愛媛に通い、若松さんは、農業というフィジカルな仕事柄、月1回2〜3日ほど、仕事に合わせて上京している。
浅野 一カ月のうち半分は愛媛で過ごし、彼の実家の農作業やジュースの事業を手伝っています。周りからは、「ハードな生活だね」と言われることもありますが、どちらの場所にも自分のやりたいことがあるから、移動もまったく苦じゃなくて。それに、スピーディな東京での生活だけだと疲弊しますが、海も山もある自然豊かな愛媛での生活も楽しめるほうが、私にとってはバランスがとれてすごくいいんですよ。
若松 僕もそう。彼女が東京にいるおかげで最先端のカルチャーに触れられたり、面白い人と出会えたり。地元では得られない刺激があるので、仕事へのモチベーションも上がります。東京も自分のもうひとつのホームだ、と思えることが嬉しいんです。
ふたりにとって、いいことずくめの二拠点生活。今後のライフスタイルや働き方の展望は?
浅野 もし妊活を始めるとなった場合、どう暮らしていくかは悩み中。夫婦で話し合い、自分たちなりの答えを見つけたいです。仕事面では愛媛にお弁当屋さんを出店するのも素敵だなと思っているところ。地元でとれる新鮮な食材の美味しさを生かしたいです。
愛媛での生活はこんな感じ
若松さんの実家であるみかん農園で畑作業に勤しむ。9〜3月が収穫シーズンで、浅野さんも繁忙期は愛媛に長期滞在。
リノベーションした愛媛の自宅。同じ敷地内に3世帯が暮らしている。
撮影/森川英里 取材・原文/海渡理恵 ※BAILA2024年8・9月合併号掲載