管理職昇進も現実的になってくる30代は、女性にとってライフステージの転換期。管理職になりたい人ってどれくらいいるの?なりたくないと感じる理由は? BAILA読者の現状&意識を調査するべく、アンケート調査を実施しました。
(回答者117名 2024年9月27日〜9月30日に実施)
そもそも管理職の定義とは?
部や課のトップとして組織の目標達成に向けて決定権と責任を持ち、売上&予算管理、部下の育成&指導を担う職位。一般的には、課長、次長、部長などの肩書を持つ。
Q 現在の役職は?
人材と組織についての調査を行うパーソル総合研究所の調査によると、管理職のファーストキャリアである課長への平均登用年齢は38.5歳。回答したBAILA読者(29〜42歳)の管理職比率は平均的なものといえそう。ちなみに2022年度の課長相当職における女性の割合は11.6%(参照:厚生労働省HP)。
Q 将来、管理職になりたいと思いますか?
「わからない」の理由は、「メリットが見えないから。ただ、管理職にならないと評価が下がるので悩む」(メディア関係・30歳)、「今の会社ではなりたくないが、今後転職や起業などする場合は興味が出るかも」(メーカー・30歳)など。ネガティブな意見も多かった。
Q 管理職になりたくない理由は?
1 責任が重くなる
2 仕事量が増える
3 給料が仕事に見合わない
4 煩わしい人間関係が増える
5 残業代がつかなくなる
(複数回答可)
1位の「責任が重くなる」を選択した人が約半数。チームの目標達成や部下の育成など、管理職が担うマネジメントの重要性にプレッシャーを感じているよう。次いで業務量増加を懸念する声が2位に。ちなみに6位は「現場の仕事がしたい」というポジティブな理由。
Q 現在所属する会社では、管理職になるために必要な条件はありますか?
会社員をしている読者に質問。「面談で希望を聞かれ、自分のキャリアプランを伝えます。社内規定研修を受講し、評価ポイント獲得の上、上司の推薦をもらって試験を受験」(商社・36歳)や「キャリア・実績・所属年数を踏まえた上層部の意向と面談時の意思」(メーカー・30歳)など、企業によって管理職になる方法は様々。
Q キャリアを考える上で、いちばん大事にしていることは?
1 ワークライフバランス
2 収入の多さ
3 仕事のやりがいが大きいこと
4 人として成長できること
5 興味のある仕事ができること
(複数回答可)
1位の「ワークライフバランス」は、2位の倍の票を獲得。理由は、「人生でいちばん大切な軸は家庭。仕事のために家庭を蔑ろにはしたくないので、バランスのよさが重要」(金融・31歳)、「自分の時間がなければ、何のための収入なのかわからない」(鍼灸師・34歳)など。6位以降は順に、「安定していて不安がないこと」「職場での人間関係が良好であること」「自分が評価されること」
Q 現在所属する部署に、女性の管理職はいますか?
規模を会社全体に広げると、「いる」の割合は89%。また、「身近にロールモデルとなる女性管理職がいる」と回答した人は26.9%だった。そのロールモデルを尊敬している理由としては、「子育てをしながら仕事もしっかりとこなし、周囲との関係も良好」(営業事務・36歳)といった、育児との両立を挙げる回答が目立った。
Q 入社したばかりのときと今で、管理職に対する考え方は変わりましたか?
社会人として経験を重ねた結果、管理職に対する意識が変わった人が35.5%。そのうち、「『管理職になりたくない』とより強く思うようになった」人が「『管理職になりたい』とより強く思うようになった」人より圧倒的に多かった。
Q 「管理職になりたくない」とより強く思うようになった理由は?
「家庭を大事にしたい気持ちが強くなったから」(経理事務・33歳)
「上司の働き方が異常すぎる。今より大幅に忙しくなるわりに給料が見合っていないと思う」(IT・29歳)
「これ以上、精神的ストレスを増やしたくない」(看護師・37歳)
「職種的に新規事業が多いので、現場の仕事をしながら中間管理職としての動きを求められることになり、プライベートとの調整が難しそう」(SNSマーケティング・39歳)
多くの人が挙げていたのは、結婚や出産を経てワークライフバランスを重視するようになったことによる意識の変化。次に多かったのが、身近な管理職の働き方を見て「あんなに働きたくないと感じた」という拒否反応。「管理職に興味がある」派よりも、プライベートやメンタルヘルスを重視する傾向が。
Q 「管理職になりたい」とより強く思うようになった理由は?
「チームの方針を決めることに関われるし、自分の職域の地位向上を目指せる」(医療・40歳)
「同じ仕事をしているなら、給料が上がるほうがいい」(建設・36歳)
「会社員たる者、管理職を目指すのが当然という考えを持っているから」(金融・37歳)
「違う視点で部署を見てみたいから」(メーカー・39歳)
「実際に働いて仕事をますます好きになり、成長したい!」と感じている“キャリアアップ”派と、「たくさん稼ぎたい」といった“収入重視”派で意見が二分。「なんとなく」で回答している人はおらず、自分の適性や将来像を意識して冷静に判断している人がほとんど。
Q 管理職になるかどうか、という問題に関して不安に思っていることは?
「現在33歳でまだ子どもがいません。これから出産、育児を考える上で、業務負担も増えるであろう管理職を目指すべきなのか……タイミングも含めて悩んでいます」(人材・33歳)
「キャリアと家庭とのバランス。管理職になれば仕事の責任も増え、家庭を優先できるとは限らない。職場の人に迷惑をかけないか心配」(コンサル・31歳)
「女性管理職を対外的にアピールしたいがために、管理職を希望しない=チャレンジ精神がない、と考える男性役員・管理職が多すぎる。管理職を希望しなくても、やる気がある人はたくさんいることをわかってもらいたい」(卸売・33歳)
「会社は女性の管理職を増やす取り組みをしているけれど、出産後に復職するだけでも精一杯なのに、それでも管理職を目指さないといけないのかと思うと憂鬱です……」(メーカー・33歳)
管理職になることに対するいちばんの不安は、やはり育児と仕事の両立。「昇進を断るのは気が引けるけど、管理職業務をこなせる自信もない」という迷いが、多くの読者の悩みに共通していた。また、なかなか改善されない管理職のジェンダーギャップを指摘する声も。
撮影/花村克彦〈Ajoite〉 イラスト/3rdeye 取材・原文/中西彩乃 ※BAILA2025年1月号掲載