作家、イラストエッセイスト、情報番組でも活躍している犬山紙子さんに、幸せな結婚の条件を伺いました。犬山さんが、さまざまな夫婦を取材したきた結果、絶対に必要だとわかった幸せな結婚をするための最低条件とは!?
犬山紙子さん
作家、イラストエッセイスト。情報バラエティ番組「スッキリ」などテレビやラジオでコメンテー ターとしても活躍中。近年は児童虐待をなくすための取り組みも行っている。
“人の話を聞けること”──これだけはすべての女性に大切にしてほしい幸せな結婚をするための最低条件
意見の相違への対応は必ず確認すべき
「私の夫は最高だ!」と断言する犬山さん。漫画家の劔樹人さんと結婚5年目、お子さんも生まれ、家庭生活は幸せそのもの。そんな犬山さんに幸せな結婚の条件を聞いてみた。「幸せの定義は人それぞれですからね。趣味の合う人といるのが幸せな人も、お金のある生活が幸せな人も、いろんな人がいると思います。でも、最低限これだけは必要だという条件があります。それは“人の話を聞ける相手であること”。結婚生活において、最も必要な条件だと思います“。俺の意見を聞け”という相手だと、自分の権利がなくなってしまいますから」
さまざまな夫婦を取材した結果、この条件が絶対に必要だとわかったそう。
「持っている連載でいろいろな夫婦の話を聞くというものがあって。そのなかでどういうふうに修羅場を乗り越えたかをたくさん聞きました。すべての夫婦に共通しているのは“コミュニケーションを密にする”という手段をとっていること。結婚生活に話し合いはマストなんです。なので、結婚する前に意見の相違が出たときの態度を見ておいたほうがいいですね。話し合えるか。もし話し合えなかったとしても、注意したら直してくれるか。話し合いができる家と、できない家だとやはり前者のほうが二人にとっての正解に近づけるんです。報・連・相ができている企業とできてない企業を想像してもらえればわかりやすいと思います。絶対に業績の伸びは違いますよね」
また、おつきあい期間に話し合いをしておくことは、SOSを出す練習にもなり、結婚生活に役立つ。
「特に自分の気持ちや不満を話すのが苦手な人は、おつきあい中にSOSを出す練習をしておいたほうがいいですよ。もし子どもができたとき、話せなかったら大変です。妊娠期間という孤独でつらい時期に“助けて”と言えるようになるためにも、結婚する前から話し合いをしてみてください“。どこ行こうか?”というような、小さな話し合いでいい。そこで自分の主張を尊重してくれるかを見極めつつ、訓練して」
自分が助けられたぶん相手も助ける条件設定を
「“人の話を聞ける”に追加する条件は、人それぞれ。幸せな結婚をするために必要なものは、人によって違うから。なので、自分が幸せになるには、どういう条件が必要かを自分でしっかり考えることが大事です」
結婚は夫とのチーム戦。自分のパラメータとの強み弱みを見極めて総合力が上がるパートナーを探そう
考え方のヒントは、自分と相手のトータルを考えること。
「結婚の条件を考えるとき、相手に持っていてほしいものを挙げますよね。でも、本当は自分のスペックありきなはず“。相手の年収はどれくらいがいいか”ということを考えるときは、自分の年収と足した数値で考えるべき。家族というひとつのチームのパラメータが大事です。相手にばかり上げさせようとするのは、よくないですよ」
そしてトータルを考えるには、まず自分の持っているもの、持っていないものをしっかり把握することが必要。
「まず自分ができることとできないこと、好きなことと嫌いなことを書き出してみてください。仕事は好き、家事はできない、しゃべるのは好き……というふうに、結婚に必要そうな項目の自分のスペックを考えてみる。そうすれば“、彼にはそれほど仕事を求めなくてもいいな”とか“、家事が苦にならない人か、家事代行に賛成してくれる人じゃないとダメだな”とか、わかってくるんです。夫はドラえもんではありません。自分ができないことをカバーしてくれるだけの存在ではなく、助け合う仲間です。なので、自分の能力と相手の能力を足して、トータルのパラメータを考えながら決めましょう。二人合わせて一人前だったらいいんですよ。自分がカバーしてもらったぶん、相手のこともカバーするという気持ちが大切ですね。自分を幸せにしてくれる誰かを探すのではなく、一緒に幸せになっていける相手です」
夫選びで評価されたいという気持ちは捨てる
「あと、細かい話だといくら稼いでいるかよりも仕事が好きかを見たほうがいいですね。好きな仕事をしていると“あれもやってみたい”と広がっていくし、辞めにくい。安定につながるんじゃないかなと。好きを仕事にするのは大変だけど、楽しそうに仕事の話をしてくれるかは重要な要素です」
そして、結婚の条件を考えるときには、夫選びを評価されたいという気持ちをなくすべきだとも。
「顔や身長、高収入は条件に挙がりがち。ですが、自分が本当にそれを求めているかをしっかり考えてみてほしいです“。私は脚の長い人じゃないと発情できん!”というならいいと思います。でも、周りの人がそういう人をつかまえているから、私も……という気持ちなら、考え直してみて。夫選びで周りから評価されようとすると、本当に自分に合っているかが置き去りになってしまう。それは“幸せになるための条件”ではないです。私は、私の夫を最高だと思っているけれど、周りから見たら“えぇー!?”っていう部分もあると思うんです。それでいいんですよ。自分を見つめて、何を欲しているか冷静に見極めて、条件を探してくださいね
『私、子ども欲しいかもしれない。』平凡社1300円
子どものいない人や、育児経験者の話を聞き犬山さんが考えたこと。そして、妊娠中の本音を書いた日記。出産について深く考えるきっかけになる一冊。
撮影/フルフォード海 取材・文/東美希構成/菅井麻衣子〈BAILA〉 ※BAILA2019年10月号掲載