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『ブリジット・ジョーンズの日記』第4弾ほか新作映画4選 “出会いと別れの春”に沁みる人生ドラマ【今祥枝の考える映画vol.37】

長年にわたり映画・海外ドラマの最先端を取材&執筆している今祥枝(いま・さちえ)さん。ハリウッドの大作から最新のドラマシリーズまで、劇場公開・配信を問わず、おすすめの作品を月1回ご紹介します。第37回は、新たな出会いや別れも多い年度の変わり目にちなんだ4月公開の4作品をセレクト!

映画 ブリジット・ジョーンズの日記 サイテー最高な私の今 子供たちの学校に招かれたブリジットとウォーラカー先生の写真

9年ぶりのシリーズ新作にして第4弾『ブリジット・ジョーンズの日記 サイテー最高な私の今』。シングルマザーとして幼い二人の子どもを育てるブリジット(レネー・ゼルウィガー)は、新たに赴任してきた子どもたちの担任のウォーラカー先生(キウェテル・イジョフォー)とぶつかり合いながらも交流を深めていく。

読者の皆さま、こんにちは。

最新のエンターテインメント作品を、その時々のテーマに合わせてゆるりと読み解いていく、この連載。第37回は、「新たな出会いがあれば別れもある」ことを様々な形で描いた『ブリジット・ジョーンズの日記 サイテー最高な私の今』『終わりの鳥』『HERE 時を越えて』『片思い世界』の4本を通して、人と人との出会いと別れについて考えてみたいと思います。

目次

  1. 映画『ブリジット・ジョーンズの日記 サイテー最高な私の今』4月11日公開
  2. 映画『終わりの鳥』4月4日公開
  3. 映画『HERE 時を越えて』4月4日公開
  4. 映画『片思い世界』4月4日公開

映画『ブリジット・ジョーンズの日記 サイテー最高な私の今』4月11日公開

最愛の夫を亡くしたシングルマザーのブリジットに訪れる、新たなロマンスの兆し

お酒が大好きでヘビースモーカー、オーバぎみな体重で何をやってもドジだけれど、いつも元気いっぱい。ポジティブなエネルギーしかない、あの「ブリジット・ジョーンズ」がスクリーンに帰ってきました!

映画 ブリジット・ジョーンズの日記 サイテー最高な私の今 公園で遊んでいるブリジットと子供たちの写真

50代で二人の幼い子どもたちに振り回されながらも、一生懸命に日々の生活を明るくにぎやかに過ごすブリジット。古巣の職場に復帰し、人生を再スタートするべく奮闘する。

2001年に第1作『ブリジット・ジューンズの日記』が世界的に大ヒットを記録して以来、レネー・ゼルウィガーが演じるブリジットのポジティブオーラ全開のキャラクターは、いつでも観る人を明るい気持ちにさせてくれます。

そんなブリジットも、シリーズ4作目となる『ブリジット・ジョーンズの日記 サイテー最高な私の今』では50代。運命の人、マーク・ダーシー(コリン・ファース)と結婚し、二人の子どもにも恵まれましたが、数年前に突然夫を亡くしてシングルマザーとして日々、奮闘しています。

映画は、まだ幼い子どもたちとのにぎやかな日常から始まります。ブリジットの明るくて、ちょっとドジで愛情深いキャラクターは健在ですが、最愛の夫マークの不在によって、ブリジットは母親として、一人の女性として人生の困難に直面しています。友人たちは口々に「そろそろ新しい恋が必要」と言いますが、どうにもそんな気にはなれないブリジット。

しかし、仕事に復帰し、ひょんなことからつきあうことになった29歳の好青年ロクスター(レオ・ウッドール)とのロマンスが予想外に楽しくて、再び輝き出した”新たな人生”に夢中になるのでした。

映画 ブリジット・ジョーンズの日記 サイテー最高な私の今 ブリジットと彼女の年下の新たな恋人ロックスターの写真

ブリジットと年下の新たなロマンスの相手ロクスターの恋のゆくえは……? 見たところ完璧な好青年ロクスターを演じるのは、ドラマ『One Day/ワン・デイ』で人気のレオ・ウッドール。

”別れを乗り越える”ことに焦らなくていい

明るい日差しのもとで、はじけた笑顔を見せるブリジットは、本当に魅力的。でも、あることをきっかけに、ブリジットはふと心の中にわだかまっているある思い、「マークがいない人生の喪失感と真正面から向き合っていなかった」ことに気づくのでした。

「出会いもあれば別れもある」とはよく言われることですが、大切な家族や愛する人を失ったとき、普通は新しい出会いのことなんて考えられないですよね。でも、後から振り返ってみれば、心が引き裂かれるようなつらい別れがあったからこそ、自分を支えてくれる友人たちや家族、そして新たな出会いがどれほど貴重で大切なものであるかということに気づけたのかもしれないという経験は、多くの人に思い当たるのではないでしょうか。

もし今あなたが愛する人との別れに苦しんでいたとして、他人からこんなことを言われても心は動かされないし、納得できないだろうと思います。なぜなら、ブリジットがそうだったように人生は"結論ありき"ではなく、その結論にたどりつくまでの過程そのものが重要だと思うから。

傷ついた心や喪失感を癒すために必要な時間は、人それぞれでしょう。比較的短期間で気持ちを切り替えられる人もいるかもしれないし、何年かかっても現実を受け入れることに痛みを覚える人もいると思います。大切な人を失ったのに、「楽しい」とか「幸せだ」と感じる自分を責めてしまう真面目な人も少なくないかもしれません。

それでも、ブリジットのように迷ったり立ち止まったりしながら等身大の自分を受け入れ、どんなときでも人生を楽しむことと、マークのことを心の中でいつも大切に思いながら彼の記憶とともに生きていくことは矛盾しないのです。

不器用だけれど、一作ごとに成長してきたブリジットの人生の物語は、いつだって「今が最高!」だと思わせてくれるハッピーなオーラにあふれています。

記事が続きます
映画 ブリジット・ジョーンズの日記 サイテー最高な私の今 ブリジットと数年前に他界した最愛の夫マークの写真

異国の地で仕事をしているときに亡くなった最愛の夫マークの不在に、ようやく真正面から向き合うことができたブリジット。『ブリジット・ジョーンズの日記』シリーズではおなじみのマーク役のコリン・ファースと、年齢を重ねても相変わらず恋多きダニエル役のヒュー・グラントが登場するのもファンにとっては嬉しい。

『ブリジット・ジョーンズの日記 サイテー最高な私の今』作品情報

映画 ブリジット・ジョーンズの日記 サイテー最高な私の今 日本版ポスターの写真

『ブリジット・ジョーンズの日記 サイテー最高な私の今』4月11日(金)全国ロードショー!

監督:マイケル・モリス
出演:レネー・ゼルウィガー、キウェテル・イジョフォー、レオ・ウッドール、コリン・ファース、ヒュー・グラントほか
配給:東宝東和
©2024 UNIVERSAL STUDIOS, STUDIOCANAL AND MIRAMAX

『ブリジット・ジョーンズの日記 サイテー最高な私の今』の公式サイトはこちら

映画『終わりの鳥』4月4日公開

誰しもあらがうことのできない肉親との"永遠の別れ"と、人はどう向き合うのか

誰にとっても、肉親との"別れ"は耐え難いものがあるでしょう。

A24の新作映画『終わりの鳥』は、余命がわずかな15歳のチューズデー(ローラ・ペティクルー)に「命の終わり」を告げにやってきた〈デス〉と向き合う、母娘の物語です。

映画 終わりの鳥 余命わずかなチューズデーと、彼女の前に現れた変幻自在な鳥、デスの写真

余命わずかな15歳のチューズデーと、死を具現化した変幻自在の鳥〈デス〉。両者の間には、不思議と穏やかな時間が流れているように感じられる。チューズデーを演じるのは、アイルランド出身で『SHE SAID/シー・セッド その名を暴け』などに出演するローラ・ペティクルー。

「死」を具現化して、変幻自在な鳥=デスとして描く本作は、深刻なテーマを描きながらもドライなタッチで、奇妙なユーモアもある独創的な作品です。

母親の留守中にデスと対面したチューズデーは、不思議なほど静かに、その存在を受け入れます。ところが、帰宅して奇想天外な状況に直面したシングルマザーの母ゾラ(ジュリア・ルイス=ドレイファス)は、死に物狂いでデスを追い払おうと奮闘します。思わず笑ってしまうような場面もあるのですが、デスに戦いを挑むゾラの気持ちは、痛いほどよくわかりますよね。

しかし、徹底して娘の死を否定するゾラを見つめるチューズデーの瞳には、憂いが見て取れます。往々にして重い病気を煩う幼い子どもが、ほかの子どもたちよりも早く精神的に老成するケースが見受けられると思うのですが、すでにチューズデーは自分が置かれている状況をよく理解し、過酷な現実と運命を受け入れているかのよう。

一方、最愛の娘を喪うかもしれないゾラの恐怖は、いかばかりかと思わずにはいられません。だからこそ、ゾラの反応は理解できるのですが、同時に「自分は十分すぎるほど闘った、もう苦しみから解放されたい」と願うチューズデーの心情に寄り添う観客も多いのではないでしょうか。もちろん、このチューズデーの願いは「母親を解放したい」と思う気持ちも大きいのだと思います。

映画 終わりの鳥 チューズデーと、最愛の娘との時間をいつくしむ母ゾラの写真

シングルマザーとして、経済的に追い詰められながらも歯を食いしばって生きてきた母親ゾラと、一心同体の娘チューズデー。ゾラ役を熱演するジュリア・ルイス=ドレイファスは、大ヒットシリーズ『Veep/ヴィープ』のコミカルな演技でも知られる演技派俳優だ。

ゾラもチューズデーも、ただひたすらお互いのことを思い合っている。しかし、二人の願いは正反対の結末なのです。そこで重要な役割を果たすのが、一見すると恐ろしいデスの存在です。

仕方なくデスと時間を共有しながら、ゾラは世界中の生き物たちが、いつかは迎える「命の終わり」について考えます。この世から、その生き物の存在が消えるということは、どういうことなのか。わが子のためなら命も惜しくないのに、なぜ自分は娘の運命を変えることができないのか? ゾラはデスとの対話を通して自問自答する中で、気持ちに変化が生じていくのでした。

クロアチア出身の新鋭、ダイナ・O・ブスィッチ監督は、こうした繊細な心の変遷を独創的な映像世界で伝えて、途中からはもう、涙をこらえきれないものがありました。しかし、映画を観終わると、この物語が決して悲劇的なだけでないことがわかります。

旅立つ人にとっても、遺される人にとっても、双方に"癒し”をもたらしてくれるように感じられる。この世でお互いがかけがえのない存在であった母娘とデスの物語は、私たちの誰もがいつかは訪れるであろう瞬間への恐れや不安について、これまでとは異なる視点をもたらしてくれるかもしれません。

映画 終わりの鳥 娘の本心と現実を受け入れていく母ゾラの写真

命の終わりを告げにきた、恐ろしいはずのデスの存在によって、ゾラはあえて考えないようにしていたチューズデーの本心に目を向ける。

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『終わりの鳥』作品情報

映画 終わりの鳥 日本版ポスターの写真

『終わりの鳥』4月4日(金)ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国公開!

監督・脚本:ダイナ・O・プスィッチ
出演:ジュリア・ルイス=ドレイファス、ローラ・ペティクルーほか
配給:ハピネットファントム・スタジオ
©DEATH ON A TUESDAYLLC/THE BRITISH FILM INSTITUTE/BRITISH BROADCASTING CORPORATION 2024

『終わりの鳥』の公式サイトはこちら

映画『HERE 時を越えて』4月4日公開

時代とともに家族のあり方は変わっても、その中心にあるのは愛であり続ける

今、自分が住んでいる場所=家には、何世紀前、何百年前、あるいは未来には、一体どんな人々が暮らしていた(いる)のでしょうか?

傑作グラフィック・ノベルを映画化した本作は、地球上のある地点にカメラを固定し、恐竜がいる時代から現代に至るまで、その場所に生きる人々の日々の暮らしを映し出すという実験的な要素のある人間ドラマです。

映画 HERE 時を越えて の写真

アカデミー賞に輝く『フォレスト・ガンプ/一期一会』のロバート・ゼメキス監督と、トム・ハンクス、ロビン・ライトが再集結! ハンクスとライトは、最新のVFXを駆使しながら10代から70代までを演じ切った。

同じ場所、あるいは同じ家なのに、時代や住む人によって、見える景色はまったく違ったものになる。定点カメラという視点で描かれる本作を観ると、極めて局地的な空間で展開するにもかかわらず、何世紀にもわたる家族のあり様は、これほどまでに壮大なものなのかと驚かずにはいられません。

軸となるのは、1945年、戦地から帰還したアル(ポール・ベタニー)と妻ローズ(ケリー・ライリー)の間に生まれ、成長してアーティストを夢見るようになったリチャード(トム・ハンクス)と、彼と恋に落ちる弁護士志望のマーガレット(ロビン・ライト)です。

出会って、恋をして、家族になり、そこから様々なことを経験し、出会いと別れを繰り返しながら年齢を重ねていく。どこにでもあるような夫婦や親子、家族の関係性を描きながら、時代とともに変わる価値観を反映して家族内でのジェネレーションギャップや、とりわけ女性の生き方が大きく変わる過程がわかります。

昔の家族はこんな感じだったのかな、うちにもこんな時代があったなあと、驚いたり懐かしく思ったりしながら観ているうちに、ふと胸に熱いものが込み上げてくる瞬間が訪れるのでした。なぜなら、大抵の人にとって子どもの頃は当たり前のように思っていた両親や家族が、あらためてかけがえのない存在であることに気づかされるから。

「失って初めてわかるその価値」とは、最も近しい人に当てはまる言葉なのかもしれません。一緒に暮らしていても、離れていていも、あらためて大切な人に愛や感謝の気持ちを伝えたくなる映画です。

『HERE 時を越えて』作品情報

映画 HERE 時を越えて 日本版ポスターの写真

『HERE 時を越えて』4月4日(金)TOHOシネマズ日比谷ほか全国公開

監督:ロバート・ゼメキス
原作:リチャード・マグワイア
脚本:エリック・ロス、ロバート・ゼメキス
出演:トム・ハンクス、ロビン・ライト、ポール・ベタニー、ケリー・ライリー、ミシェル・ドッカリーほか
配給:キノフィルムズ
©2024 Miramax Distribution Services, LLC. All Rights Reserved.

『HERE 時を越えて』の公式サイトはこちら

映画『片思い世界』4月4日公開

愛する人に、自分の声が届かないことの痛みが教えてくれるもの

記事が続きます

東京の片隅の古い一軒家で暮らす、美咲(広瀬すず)、優花(杉咲花)、さくら(清原果耶)の何気ない日常から始まる『片思い世界』は、内容を書いてしまうと映画を観る楽しみが損なわれてしまう、いわゆる"ネタバレ厳禁"映画。だからほとんど書けることがないのですが、タイトルにある通り、心の底から愛しいと思っている相手のことを思う気持ちと、それを直接伝えることができない切なさ、胸の痛みがリアルに感じられる展開が秀逸です。

もとより、『花束みたいな恋をした』の脚本家・坂元裕二と監督・土井裕泰が再タッグを組み、メインキャストがこの3人となれば観ないという選択肢はないですよね!

映画 片思い世界 古い一軒家で3人暮らしている美咲、優花、さくらの写真

どこか懐かしい感じのする古い民家で、まるで本当の姉妹のように仲よく暮らす、美咲(広瀬すず)、優花(杉咲花)、さくら(清原果耶)の3人。彼女たちには、一体どんな事情があるのか? レトロな雰囲気がある家の内装やインテリアから、「3人の世界を赤と青で表現したいと考えた」と語る立花文乃が手がける衣装も見どころだ。

10歳の相楽美咲、9歳の片石優花、8歳の阿澄さくらは児童合唱団のメンバーで、合唱のコンクールを前日に控えてメンバーと一緒に写真を撮っていました。

それから12年後。美咲と優花は、さくらの20歳の誕生日をサプライズで祝おうとするも失敗してしまいます。それでも、とてつもない強い絆で結ばれていることが、一目でわかる仲のよさ。そんな3人の暮らしはにぎやかで明るい光にあふれていますが、ふとした日常のひとこまに違和感を覚えるものがあるのです。

たとえば、通勤バスの中でいつも見かける寝癖頭の男性が気になって仕方がない美咲。そんな美咲に優花とさくらは告白するようけしかけ、さらにさくらは美咲を連れて男性を尾行し、デートの現場までついて行きます。まさに”片思い”の始まりかと思ってドキドキするのですが、どうにも様子が変なのですよね。

やがて、彼女たちが3人だけで長年、暮らしている理由がわかり、詳細が明かされるに連れて、「片思い」の意味が重く心にのしかかってくる。春らしい、やわらかい陽気を感じさせる映像世界とは裏腹に、本作が描く人生の残酷さは観る人に衝撃を与えるものでしょう。

いくら過去を後悔しても、あるいは未来のあらゆる困難を憂えたとしても運命は変えられないのだとするならば、今この瞬間を大切にいつくしみ、精いっぱい生きることしか、きっと人間にはできないのかもしれないと思うのです。

『片思い世界』作品情報

映画 片思い世界 ポスターの写真

『片思い世界』4月4日(金)TOHOシネマズ日比谷ほか全国公開

監督:土井裕泰
脚本:坂元裕二
出演:広瀬すず、好咲花、清原果耶、横浜流星、小野花梨、伊島空、moonriders、田口トモロヲ、西田尚美ほか
配給:東京テアトル、リトルモア
©2025『片思い世界』製作委員会

『片思い世界』の公式サイトはこちら
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