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『 #イカゲーム2 』を見て考える「多数決は公平なのか?」【今祥枝の考える映画・番外編 vol.33】

20年以上にわたり映画・海外ドラマの最先端を取材&執筆している今 祥枝(いま・さちえ)さん。ハリウッドの大作からミニシアター系まで、劇場公開・配信を問わず、“気づき”につながる作品を月1回ご紹介します。第33回は「考える映画」の番外編。話題のドラマ『イカゲーム』シーズン2のテーマを読み解きます!

ドラマ イカゲーム シーズン2 主演のイ・ジョンジェが演じるソン・ジフンの写真

再び残酷なデスゲームに身を投じる覚悟を決めたギフン(イ・ジョンジェ)。シーズン1ではタイトルであるイカゲームやだるまさんがころんだ、綱引きやメンコなど、日本でもおなじみの子どもの遊びから韓国独自の文化を取り入れたゲームも楽しかったが、シーズン2ではさらにスケールアップした新ゲームが登場する。

Netflixシリーズ『イカゲーム』シーズン2

巨額の賞金を賭けたデスゲームが再び幕を開ける!

読者の皆さま、こんにちは。


最新のエンターテインメント作品を紹介しつつ、そこから読み取れる女性に関する問題意識や社会問題に焦点を当て、ゆるりと語っていくこの連載。第33回は番外編として、待望のドラマ『イカゲーム』シーズン2のテーマを深掘りしてみたいと思います。

*以下の記事内にはシーズン1の内容に関する記述があります。


2021年9月にNetflixで世界同時配信されて大ヒットを記録した『イカゲーム』。シーズン1はバツイチで借金のある父親ソン・ギフン(イ・ジョンジェ)が、地下鉄でスーツ姿の“セールスマン”(コン・ユ)から大金を獲得できるゲームに招待されるところから始まりました。

場所がどこかもわからないゲームの会場には、それぞれにワケありの456人の参加者(プレイヤー)が集められ、456億ウォンを手にするため6つのゲームに挑みます。しかし、奇妙なゲームの脱落は死を意味するものでした。その背後にはゲームの支配人・フロントマン(イ・ビョンホン)の存在があり、大金欲しさに人が命を落としていく様子を富裕層が眺めて楽しむために開催されていたのです。

シーズン2の舞台は、ギフンが優勝してから3年後。人の弱みにつけ込む残酷なゲームの犠牲者をこれ以上出さないためにも、ギフンは再びゲームに参加し、運営組織の闇を暴いて叩きのめすために“セールスマン”を探し出します。

今回は充分にゲームに関する知識があるギフンは、シーズン1でゲーム会場に潜入していた警察官ファン・ジュノ(ウィ・ハジュン)とも手を組み、綿密な計画を立てて、いざ敵陣へ。しかし、実際にゲームに身を投じたギフンは、すぐに自分の目論見が甘かったことに気付かされるのでした……。

シーズン1に続き、シーズン2もひとクセもふたクセもある強烈なキャラクターが勢ぞろい。前作からは主演のイ・ジョンジェのほかコン・ユ、ウィ・ハジュン、そしてイ・ビョンホンが再び重要な役で登場します。さらに新キャラクターには、元IZ*ONEのチョ・ユリ、イム・シワン、カン・ハヌル、パク・ソンフン、パク・ギュヨンら人気俳優たちが集結しています。

カラフルで大掛かりなセットや韓国特有の子どもの遊びを模したゲームなど映像作品として楽しみの一方で、核となるのは、やはりゲーム参加者同士のスリリングな心理戦を含む人間模様とパワーバランスでしょう。

ドラマ イカゲーム シーズン2 謎のスーツ姿の男性を演じるコン・ユの写真

シーズン2の第1話から先陣を切って独特の世界観を盛り上げてくれるのが、スーツ姿の謎の男"セールスマン"を怪演するコン・ユ。知られざる過去も明らかに……。

ドラマ イカゲーム シーズン2 ジェニ役のチョ・ユリの写真 

参加者の一人で妊婦のジュニを演じるアイドルグループ IZ*ONEの元メンバー、チョ・ユリ。元彼のミョンギの助言が原因で投資詐欺に遭い、生活のために金が必要になりゲームに参加した。

ドラマ イカゲーム 元海軍兵士の参加者デホ役のカン・ハヌルの写真

元海軍兵士の参加者デホを演じるのは、映画『ミッドナイト・ランナー』や『椿の花咲く頃』のカン・ハヌル。親しみやすい魅力の持ち主だが、生存戦術にも長けている。

ドラマ イカゲーム シーズン2 トランスジェンダーの女性ヒョンジュを演じるパク・ソンフンの写真

参加番号120番の特殊部隊出身のトランスジェンダーの女性ヒョンジュ。性別適合手術の費用捻出のためにゲームに参加した。トランスジェンダー当事者ではないパク・ソンフンが演じることには否定的な意見もある。

ドラマ イカゲーム シーズン2 警察官ファン・ジュノを演じるウィ・ハジュンの写真

シーズン1で失踪した兄イノを探して、ゲーム会場に潜入した警察官ファン・ジュノ。シーズン2では再びゲームに参加するギフンをバックアップしようとする。

ゲーム続行か否かを決める〇×ルールが暴く倫理観と人間性

ドラマ イカゲーム シーズン2 デスゲームの続行か中止かを多数決で決めている写真

参加者の同意書の第3項に「プレイヤーの過半数の同意でゲームは中止できる」というルールが定められている。

記事が続きます

シーズン2では、より明確に個性的な登場人物たちの倫理観と人間性が問われる設定になっていると思います。

特に今回注目したいのが、「プレイヤーの過半数の同意でゲームは中止できる」というルールをギフンが活用する点です。これは同意書の第3項に書かれている参加者の権利です。シーズン1でもありましたが、シーズン2ではこのゲームの続行=○、中止=×を問う投票は何度も行われ、胸に自分が選択した方の印をつけます。

ゲームを主催する側は、次のように言います。
「我々は常に皆さまの自発的な参加の意志が、最も重要だと考えています」

残酷なゲームの続行は強いられたものではなく、参加者一人一人にゆだねられた自由意志によるものである。その事実が、シーズン2ではより強く打ち出されているのです。

各人が特別な事情を抱えているということは前提として、普通に考えればゲームの中止に票を投じる人がほとんどなはず。しかし、そう簡単にはいかないのは想定内ですが、毎回誰がマルに投票し、誰がバツに投票するのかにこそ意味があると思うのです。参加者はどれだけひどい経験をすれば考えを変えるのか、あるいは何が起きても考えを変えないのはなぜなのか。

そんなことを思いながらドラマを観ていると、ふと1票でも多い方の意志が選択される多数決の原理とは、民主的なのだろうかという疑問がわいてくるのでした。

仮に101人がマルで100人がバツならゲームは続行されます。そこから何人死者が出るかわかりませんが、バツを選んだ人の中から次の犠牲者が出るかもしれません。なぜバツを選択した人が、マルに票を投じた側の選択の結果に対する責任を取らなければならないのでしょうか。

ドラマ イカゲーム シーズン2 ゲーム会場で顔を合わせた親子の写真

愛する息子ヨンシクの借金を返すべくゲームに参加したクムジャ(カン・エシム)と、借金まみれのギャンブラーの息子ヨンシク(ヤン・ドングン)。実の親子でもゲームを続行するか否かの多数決では見解が分かれてしまうことも。

多数決の原理は公平で民主的なのか?

ドラマ イカゲーム シーズン2 元インフルエンサーのミョンギを演じるイム・シフンの写真

元YouTube配信者のインフルエンサー、ミョンギを演じるのは、ボーイズバンドZE:AとそのサブグループZE:A Fiveのメンバーで映画やドラマでも活躍するイム・シワン。暗号通貨詐欺に遭い、自身だけでなくフォロワーにも多額の損害を負わせたまま責任を取らずに逃亡中にゲームに参加し、元カノのジュニと再会する。

そこで私がシーズン2を観ながら引っかかったことを二つ挙げてみたいと思います。

一つ目は、マルを選んだ参加者には当事者意識が欠如しているのではないかということです。あと1ゲームでもサバイブできれば脱落者は増え、より多くの賞金を手にできると考えたくなるのは想像はできますが、なぜ漠然とでも「次に死ぬのは自分ではない」と考えてしまう人々が常に一定数いるのでしょうか。

もう一つは、大勢の意見を反映させた多数決による決定というのは、責任の所在が曖昧になりがちだということです。過半数の票を投じた人々の選択の結果、誰かが犠牲になったとしても「みんなも賛成したじゃないか」と、自分の選択に対する責任を回避するための言い訳になりやすいといいましょうか。

言うまでもなく「一票の重み」とは、選挙のときによく聞かれるフレーズですよね。日本でも多数決は広く使われている方法です。単純明快で誰もが容易に理解することができて時間もかからない。全員が平等に参加することができ、民主的に意思決定できるのがメリットだとされています。

一方で、数の力でアイディアを押し通す側面があり、少数意見が抑圧されたり、その場の空気に流されたりする人がいるかもしれないなどの問題点も少なくありません。『イカゲーム』でも、こうした駆け引きは目に見える形でも心理的な圧力としても常に投票結果を左右します。

では、現実の社会では少数意見はどう折り合いをつけていくことが求められるのでしょうか? 一つの代表的な見解として国務省出版物(*)の文章を引用してみたいと思います。

「少数派集団の意見や価値観の相違をどのように解決するかという課題に、ひとつの決まった答などあり得ない。自由な社会は、寛容、討論、譲歩という民主的過程を通じてのみ、多数決の原理と少数派の権利という一対の柱に基づく合意に達することができる」

『イカゲーム』シーズン1でも描かれた、ゲームを高みの見物で楽しんでいる富裕層らと参加者であるプレイヤーの対比は格差社会の縮図です。加えてシーズン2の多数決の原理を考えさせられる作りは、言ってみれば民主主義とは何かを問われているようにも感じられるのでした。

ギフンは少数派(ゲームの即時中止を支持)の代表として、前述のような「民主的過程」を導くことができるのでしょうか? あるいはそれが叶わなかった場合、どのような決断を下すのでしょうか? シーズン2を完走してから現実社会を鑑みると、『イカゲーム』シーズン2で描かれていることがいかに現在進行形の世界を反映しているのかと驚くかもしれません。

(*)出典:Bureau of International Information Programs “Principles of Democracy”

Netflixシリーズ『イカゲーム』シーズン1&シーズ2 独占配信中

ドラマ イカゲーム シーズン2 ゲームの支配人フロントマン役のイ・ビョンホンの写真

仮面を被りゲームを総指揮する支配人"フロントマン"を演じるのは韓国を代表する俳優の一人、イ・ビョンホン。警察官ファン・ジュノの兄ファン・イノであることがシーズン1で明らかになったが、シーズン2では意外な形でデスゲームに介入する。

記事が続きます

制作:ファン・ドンヒョク
出演:イ・ジョンジェ、イ・ビョンホン、イム・シワン、カン・ハヌル、ウィ・ハジュン、パク・ギュヨン、イ・ジヌク、パク・ソンフンほか

『イカゲーム』シーズン1&シーズン2の視聴はこちら

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