良好な人間関係は、日々のひと言の積み重ねから! ビジネスシーンでの「よけいなひと言」を「好かれるセリフ」に変える言いかえ術をご紹介。第50回は、「詰めが甘い」。
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■部下の仕事に「詰めが甘い」と言うのがよけいなひと言なのはなぜ?
自分が一生懸命やった仕事に対して、上司から「詰めが甘い」「こんな仕事の仕方をしちゃダメでしょう」「もっとちゃんと仕事して」と一方的に言われたらモチベーションが一気に下がります。たとえ仕事が中途半端だったり、仕上げが下手だったりしたとしても、やる気を削ぐ上司の言葉は素直に受け入れられません。
コミュニケーションの基本は、打ち返す「ラリー」ではなく、受けとめ合う「キャッチボール」。相手の意見をいったん受けとめる姿勢が大事です。
また基本キャッチボールは平らなところで行うもの。しかし、上下関係があれば、2階や3階と1階でやりとりを行うようなものです。その力関係を意識して、とりやすいボールを投げる配慮が必要です。
■言いかえるならこれ!
部下の仕事に「詰めが甘い」と言うのはよけいなひと言。
では言いかえるなら何て言う?
↓↓↓
「フォローするから、納得がいくように仕上げてください」
が正しい!
「考えるヒント」を与えて、サポート役に回ることでやる気を引き出しましょう。
■さらに上手に使うには?
たとえば、部下に資料作成を頼んで完成度が低かった場合、「わからないことがあればフォローするから、その資料は最後まで納得がいくように仕上げてください」と言われたらどうでしょうか?
おそらく言われた部下は、仕上がりがまだ完全ではないことを自覚して、やるべきことをやるにはどうすればいいか考えはじめるでしょう。
具体的に、気になる点があれば、「この資料のこのページがわかりにくいから、どうすればいいか考えてみて」とポイントを指摘しましょう。答えを教えると、”指示待ち人間”になってしまうので、本人に考えさせる工夫も必要です。
ヒントを与えて、改善点があればフィードバックするといったやりとりで、進捗状況を確認しながら進めると、部下も納得いくまで仕事をやり切ることができるはずです。
まずは上司が動かなければ、部下も動きません。部下の仕事の出来不出来は、上司の管理能力によるところが大きいのです。
■引用したのはこちら
よけいなひと言を好かれるセリフに変える 働く人のための言いかえ図鑑
サンマーク出版 大野萌子著
大野萌子
公認心理師、産業カウンセラー。一般社団法人日本メンタルアップ支援機構(メンタルアップマネージャ®資格認定機関)代表理事。2級キャリアコンサルティング技能士。法政大学卒。
企業内カウンセラーとしての長年の現場経験を生かした、人間関係改善に必須のコミュニケーション、ストレスマネジメント、ハラスメントの分野を得意とする。官公庁をはじめ、大手企業、大学等で5万人以上に講演・研修を行う。テレビ、ラジオ、新聞などのメディア出演、監修多数。
取材・文/佐久間知子