良好な人間関係は、日々のひと言の積み重ねから! ビジネスシーンでの「よけいなひと言」を「好かれるセリフ」に変える言いかえ術をご紹介。第51回は、「何度言ったらわかるの?」。
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■部下に「何度言ったらわかるの?」と言うのがNGなのはなぜ?
パワハラで訴えられやすい上司は、部下に威圧的な態度をとる傾向があります。そういうタイプの人がよく口にする言葉は、「何度言ったらわかるの?」「読めばわかるよね?」「いい加減にして」「つべこべ言わずにやって」「だから言ったのに」などなど。
どれも別の言葉に言いかえれば、圧力をかけずに伝えられます。
「人を育てる」のが上司の仕事。仕事がうまく進められない部下に対して、感情をぶつければぶつけるほど、険悪なムードになって事態は悪化するだけです。
■言いかえるならこれ!
なかなか仕事を覚えない部下に「何度言ったらわかるの?」と言うのはNG。
では言いかえるなら何て言う?
↓↓↓
「〇〇を必ず確認してください」
が正しい!
「部下を育てる」のが上司の役目。威圧的態度で追い詰めても、人は育たない。
■さらに上手に使うには?
たとえば、連絡内容や資料をよく読まない部下には、「この資料の〇ページを必ず確認してください」と行動をうながす言葉に言いかえること。「いい加減にして」と相手を責めるのではなく、「これ以上、同じミスが続くと困ります」と、率直な状況を伝えても問題ありません。感情をあらわにするのではなく、事実を明確にし、改善方法を共有することが大切なのです。
「つべこべ言わずにやって」「だから言ったのに」は、一方的に相手を責めて圧力をかけているのでハラスメントになりかねません。前者は「まずはやってみて、わからないことは聞いてください」。後者は「事前に進捗状況を確認させてくたさい」と言いかえましょう。
■引用したのはこちら
よけいなひと言を好かれるセリフに変える 働く人のための言いかえ図鑑
サンマーク出版 大野萌子著
大野萌子
公認心理師、産業カウンセラー。一般社団法人日本メンタルアップ支援機構(メンタルアップマネージャ®資格認定機関)代表理事。2級キャリアコンサルティング技能士。法政大学卒。
企業内カウンセラーとしての長年の現場経験を生かした、人間関係改善に必須のコミュニケーション、ストレスマネジメント、ハラスメントの分野を得意とする。官公庁をはじめ、大手企業、大学等で5万人以上に講演・研修を行う。テレビ、ラジオ、新聞などのメディア出演、監修多数。
取材・文/佐久間知子