良好な人間関係は、日々のひと言の積み重ねから! ビジネスシーンでの「よけいなひと言」を「好かれるセリフ」に変える言いかえ術をご紹介。第83回は、「断ってもいいですか?」。
PR Image Factory/shutterstock
■「断ってもいいですか?」がNGなのはなぜ?
頼まれたことを断りたいとき、ストレートに「お断りします」と言うのは気が引けるので、「断ってもいいですか?」と相手に聞き返す人がいます。
これは、結論を相手にゆだねることで自分の意思を遠回しに伝える、「自己防衛」のずるい対応です。
似たような返事に「できないって言ってもいいですか?」といった言い方もあります。でも、頼んだほうはやってほしいわけですから、返事に困ってしまいます。
依頼を質問で返されると、少なからず動揺します。なぜなら「私の状況をわかっているの?」と相手に「察しろ」と要求する意味合いを含んでいるからです。相手からの依頼に対して質問形式で断りをにおわすのは失礼ですし、また、相手を不快にもさせてしまいます。
こう言い方がクセになっている人は、これから使わないように気をつけましょう。
■言いかえるならこれ!
依頼を断りたいとき「断ってもいいですか?」と言うのはNG!
では言いかえるなら何て言う?
↓↓↓
「別件で手一杯のためお断りさせてください」
が正しい!
聞き返して結論を相手にゆだねるのはズルい話し方。
■さらに上手に使うには?
断わりたいときは、「今、別件の締め切りが近いので、お断りさせてください」というようにシンプルに断る意思を伝えましょう。頼んだほうも「それなら仕方がないか」と納得できます。
相手との関係性を維持したいと思っている場合、その人からの依頼を「断る」のは心苦しいものです。
しかし、そんなに深刻に考える必要はありません。なぜなら、「断る=拒絶」ではないからです。「断ると相手に不快な思いをさせてしまう」と感じることもあるかもしれませんが、むしろ相手に結論をゆだねると相手も戸惑ってしまいます。
きちんと自分の意思表示をすることが、信頼関係につながっていくのです。
■引用したのはこちら
好かれる人の言葉選びを身につける 大人の伝え方練習帳
宝島社 大野萌子著
大野萌子
公認心理師、産業カウンセラー。一般社団法人日本メンタルアップ支援機構(メンタルアップマネージャ®資格認定機関)代表理事。2級キャリアコンサルティング技能士。法政大学卒。
企業内カウンセラーとしての長年の現場経験を生かした、人間関係改善に必須のコミュニケーション、ストレスマネジメント、ハラスメントの分野を得意とする。官公庁をはじめ、大手企業、大学等で5万人以上に講演・研修を行う。テレビ、ラジオ、新聞などのメディア出演、監修多数。
取材・文/佐久間知子