良好な人間関係は、日々のひと言の積み重ねから! ビジネスシーンでの「よけいなひと言」を「好かれるセリフ」に変える言いかえ術をご紹介。第94回は、「大変な思いをさせてしまい申し訳ございません」。
karins/shutterstock
■「大変な思いをさせてしまい申し訳ございません」がNGなのはなぜ?
謝罪でよくトラブルにつながるのが、「大変な思いをさせてしまい申し訳ございませんでした」という言い方です。
たとえば、「納品された商品に表記ミスがあって現場スタッフが混乱した」というクレームがあったとします。このとき、「それは大変な思いをさせてしまいまして」と返すと、大変という表面的な言い回しでひとくくりにされたと感じ、「こちらの状況をちっともわかっていない」と火に油を注ぐことになってしまいます。
■言いかえるならこれ!
「大変な思いをさせてしまい申し訳ございません」と謝罪するのはNG!
では言いかえるなら何て言う?
↓↓↓
「混乱を招きまして申し訳ございません」
が正しい!
自分から「大変なこと」だとトラブルを一括りにすると悪印象に。
■さらに上手に使うには?
この場合は、「スタッフの方々を混乱させてしまって申し訳ございませんでした」と、相手の状況を理解したという言葉を入れて返事をすれば、話した内容をしっかりと受け止めてもらえた、こっちの言い分を聞いてもらった、という一定の安心感を与えられます。
クレーム対応の基本は、相手がもっとも訴えたいことをきちんととらえることです。特に、気持ちを表す言葉や事実関係を説明する言葉はしっかり取り入れること。
トラブルが起こったことに対する謝罪の気持ちも大切ですが、クレームを言ってきた側は、気持ちや思いをきちんと齟齬なく受けとめてもらうことを望んでいるケースが大半です。その気持ちに理解を示すことが、相手の安心感と納得感につながるのです。
■引用したのはこちら
好かれる人の言葉選びを身につける 大人の伝え方練習帳
宝島社 大野萌子著
大野萌子
公認心理師、産業カウンセラー。一般社団法人日本メンタルアップ支援機構(メンタルアップマネージャ®資格認定機関)代表理事。2級キャリアコンサルティング技能士。法政大学卒。
企業内カウンセラーとしての長年の現場経験を生かした、人間関係改善に必須のコミュニケーション、ストレスマネジメント、ハラスメントの分野を得意とする。官公庁をはじめ、大手企業、大学等で5万人以上に講演・研修を行う。テレビ、ラジオ、新聞などのメディア出演、監修多数。
取材・文/佐久間知子