良好な人間関係は、日々のひと言の積み重ねから! ビジネスシーンでの「よけいなひと言」を「好かれるセリフ」に変える言いかえ術をご紹介。第90回は、「わかりかねますので責任者を呼んでまいります」。
Antonio Guillem/shutterstock
■「わかりかねますので責任者を呼んでまいります」がよけいなひと言なのはなぜ?
最近は、単なる嫌がらせのようなクレームも増えてきていますので、ひとりで対応するのが難しいケースも目立ちますが、基本的には「クレームを受けた者が対応する」姿勢が大切です。
最終的に上司に取り次ぐことになったとしても、まずは、相手の気持ちや意向を理解し、状況を把握しなければなりません。
クレームを最小限に抑えるためには、相手の怒りの原因であるマイナス感情を知るために傾聴することが大切です。傾聴とは、ただ一生懸命に話を聞くことではなく、相手が「話を聞いてもらえた。わかってもらえた」と思える聞き方のこと。
お客様ファーストの視点を忘れずに対応しましょう。
■言いかえるならこれ!
クレーム対応で「わかりかねますので責任者を呼んでまいります」というのはよけいなひと言!
では言いかえるなら何て言う?
↓↓↓
「私が責任をもって承ります」
が正しい!
まずは、真摯な態度で状況の把握をしてから引き継ぎを。
■さらに上手に使うには?
「私が責任を持って承ります」という言葉があれば、相手に安心感を持ってもらいやすくなります。
「嫌だな」という逃げ腰の雰囲気が伝わってしまうと、相手も気分がよくありません。お客様から「上の者を呼んで来い」などと言われてしまうのは、自信がなさそうな後ろ向きの態度や、ないがしろにするような対応が見えたときに多いようです。
一通り話を聞き、やはり自分では対応できないと思ったときは、無理せずに「上司に確認をとってまいります」と次の段階へ進んでください。場合によっては、担当が替わることもやむをえないケースもあります。引き継いだ担当者は、再度お客様に説明をうながすことのないように、しっかりと状況を把握し、理解しておくことが大切です。
■引用したのはこちら
好かれる人の言葉選びを身につける 大人の伝え方練習帳
宝島社 大野萌子著
大野萌子
公認心理師、産業カウンセラー。一般社団法人日本メンタルアップ支援機構(メンタルアップマネージャ®資格認定機関)代表理事。2級キャリアコンサルティング技能士。法政大学卒。
企業内カウンセラーとしての長年の現場経験を生かした、人間関係改善に必須のコミュニケーション、ストレスマネジメント、ハラスメントの分野を得意とする。官公庁をはじめ、大手企業、大学等で5万人以上に講演・研修を行う。テレビ、ラジオ、新聞などのメディア出演、監修多数。
取材・文/佐久間知子