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【「できません」の受け止め方】仕事相手や家族に「できません」と言われたときどうする?リアルケーススタディ

相手に「できません」と言われたときどうする? そのまま受け止めるべき? 理由は聞いていいの? 読者のお悩みに様々な視点から識者がアドバイス!

できませんの受け止め方

犬山紙子さん

イラストエッセイスト

犬山紙子さん


女性の生き方やコミュニケーションなどについて発信。児童虐待防止チーム「#こどものいのちはこどものもの」を発足。

Tomyさん

精神科医

Tomyさん


心療内科・精神科のクリニック院長として勤務。38万フォロワー突破のTwitterが人気で、TV・ラジオなどの出演も多数。

大野萌子さん

公認心理師

大野萌子さん


企業内カウンセラーとしての長年の職場経験を生かし、働く人のメンタルヘルスとコミュニケーションの専門家として幅広いメディアで大活躍。

日野瑛太郎さん

ソフトウェアエンジニア

日野瑛太郎さん


経営者と従業員の両方の経験から、働き方に関する意見をブログやサイボウズ式への寄稿などを通して発信し続けている。

できませんの伝え方

【働くCASE1】チームのメンバーに、家庭の事情(子育てなど)を理由に仕事を断られたとき、悩みます…(36歳・営業)

A
フラットに交渉を!(日野瑛太郎さん)
状況確認をしっかり(犬山紙子さん)
「家庭の事情って踏み込んではいけないことのように考えがちですよね。でも実は聞いてみないとわからないことも多いもの。『どこまでなら大丈夫ですか?』とフラットに交渉してみては」(日野さん)、「今後、仕事を一緒にする上で大事なので『先の仕事の振り方や、どうやったらお互いに仕事を負担なくやりやすいか知りたいから状況を教えてほしい』と具体的に聞いていいと思います」(犬山さん)

【働くCASE2】先輩にどうしてもお願いしたい仕事を、明確な理由も言われず断られてしまいます。どうしたらよいですか?(30歳・マスコミ)

A
上司に相談(日野瑛太郎さん)
細かく頼んでみて(Tomyさん)
「これは理由を言わない先輩がよくないです。先輩にも上司がいるはずなので、『〇〇さんが理由も言わずに仕事を受けてくれません』と相談するといいですね」(日野さん)、「これはやりたくないという意思表示かも。もう少し上手に頼むなら、全部を相談せずに『この部分で専門的な知識が必要なので、そこだけ教えてくれませんか』とポイントをしぼってお願いしてみたらどうでしょうか」(Tomyさん)

【働くCASE3】管理しているメンバーに「あの人にはできないことを認めていたのに」と言われました。公平に判断するには?(35歳・メーカー)

A
あいまいにしないこと!(大野萌子さん)
判断をブラさない(Tomyさん)
「職場の平等性は何よりも大切。個別対応ではありますが、たとえばメンバーへの話し方や言葉遣いを統一するほか、業務を平等に遂行するための基準をあいまいにせずにある程度明確にする必要があります」(大野さん)、「メンバーに言われたからといって、本当にアンフェアかはわかりません。言うとおりにする必要はなく、正当性がない限りは自分の判断をブラさないことが大事」(Tomyさん)

【働くCASE4】メンタルが弱く、依頼して断られるたびに落ち込んでしまいます。「できません」で心を折らない方法はありますか?(31歳・IT)

A
断られる前提で依頼を(日野瑛太郎さん)
誰でもガーンとくる(Tomyさん)
「この気持ちわかります。受けてくれる前提で考えるからへこむので、僕は相手への期待値を下げるようにしています。ベストを尽くしてあとは神頼みみたいな気持ちをつくるとよいのでは」(日野さん)、「誰でも断られるとガーンときます。私もです。数を打てば当たるので、数を打つしかない。あなたの問題じゃないんですよ。条件がよくないか、数をまだ打ってないかのどちらかです」(Tomyさん)

【家族CASE1】私のパートナーは家事が得意ではありません。「できない」とは言わないものの、乗り気じゃない様子で動いてもらえません(40歳・会社員)

A
折れちゃダメ! 話し合いを(犬山紙子さん)
具体的に頼みましょう(大野萌子さん)
「今が踏ん張りどころ。ここで譲歩してしまうと、その先が大変になりそう。『家事を分担しないと私が追い詰められそう。わが家がうまく回る方法を一緒に考えたい』とチーム視点で話し合いを」(犬山さん)、「家事は細分化されているタスクが多く、初心者はどうしていいかわからない場合も。たとえばトイレットペーパー購入なら『ダブルで最も安いものを』くらい具体的な指示を」(大野さん)

【家族CASE2】遠方に一人で住む母親が骨折したとき、妹に「帰省できない」と言われ、私が帰省し看病しました。私にも仕事があったのに…(39歳・事務)

A
家族だけで解決しないで(犬山紙子さん)
話し合いで役割を分担(大野萌子さん)
「介護は思いつめる前にプロに頼ることが大事。どこまで第三者の力を借りるかという前提で、お互いに不満が出ない平等な方法はどうやっていけばいいかということを家族で話す機会を」(犬山さん)、「やれるときにやれることをというふうにしないで、看病、手続き、金銭面など、はっきり役割分担を決めるような話し合いを持ったほうがいいと思います。そうしないと後々までもめる可能性も」(大野さん)

リアルバイラ世代3人の“できません”にまつわる座談会

それぞれ管理職、プレイヤー、部署で最年少という3人が“できません”を伝える・受け止める葛藤を赤裸々本音トーク!

Kさん(メーカー・29歳)


部署で最年少、頼まれ気質、頑張り屋が重なり、雑務を含んだ大量の業務をこなす日々。まだ限界がきていないが、いつくるか心配。

Yさん(化粧品会社・32歳)


専門職で社内、社外への依頼業務が多い。「相手に楽しく仕事をしてもらいたい」というモットーで依頼するが心折れることもしばしば。

Sさん(人材・32歳)


管理職2年目。後輩2人と育児中の先輩3人がメンバー。上司とチームの間に立ち、“できません”を伝える・受け止める悩みが尽きない。

断られる苦労もあるけれど、コミュニケーションで乗り越える

S 管理職として仕事を振るとき、メンバーに「子どもの行事が」と家庭の事情を出されると対応が難しいなと感じることがあって「できない」とはっきり言われるわけじゃないんですけれど、そう聞こえることも。

K それ以上、踏み込みづらいですね。

S 結局、私が仕事を引き取ったりして。チーム内で平等に仕事を振るのは苦労の連続。毎週月曜朝に全員でタスク共有のミーティングをして業務状況を把握。週に1回1on1でさらに細かく確認しています。

Y 私、本当にメンタルが弱くて。どうやったら断られずに仕事をするかに、仕事の8割の脳のリソースを割いてるんですよ。

K 断られない方法があるんですか?

Y 断られた人に「後学のためにお断りの理由を教えてもらってもいいですか」と聞くんです。人によって理由が違うので、私の中でファイリングしてキャラづけしています。「この人は急なお仕事をお願いすると断ってくるから、余裕を持ったお願いをしよう」とか「ボリュームがあると嫌な人は小さなことをちょこちょことお願いする」とか。

K 断られる率は減りました?

Y かなり減りましたね。「いやちょっと無理」とゴニョゴニョ言う先輩だけは「私のこと嫌いなのかな?」とまだ攻略できてませんけど。Kさんみたいに受けてくれたらなぁ。

S Kさんは、プライベートでも幹事とかお店決めとか引き受けるタイプなの?

K そうですね。私には妹がいて、小さい頃から「お姉ちゃんだから」と何でも任されて、そのまま仕事でもプライベートでも色々を引き受け続けてますね(笑)。でも今日、もっと自分を知って「できません」を言えるようになりたいと思いました。

Y 自分の状況も言えて、相手の状況も聞いてすり合わせたほうがいい関係が続きそう

S 「できません」という選択肢を持っていることが大事だと思う分、相手の「できません」も受け止められるようになりたいです。

イラスト/二階堂ちはる 取材・原文/佐久間知子 ※BAILA2023年8・9月合併号掲載

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