1. 雨が降ると思い出す、“劇薬”のような一冊
激しい雨が降る日に思い出す本がある。
それは、朝井リョウさんの『正欲』という物語です。
読み返す度、自分の「正しさ」の根底を揺さぶられる本書。

2.「読む前の自分には戻れない」の意図は
私は帯に書かれた「読む前の自分には戻れない」というコピーに惹かれ本書を手に取りました。
最近よく耳にする「ダイバーシティ」「LGBTQ」という言葉。
私には、性転換手術をした友人がいます。話なども聞いていたので、自分は「多様性」への理解がある方だと思っていました。
しかし、この本を初めて読んだ時、そんな考えは慢心だと、強い石で殴られたような衝撃がありました。
「多様性」なんて安易な言葉でまとめてはいけないほどに、世の中には、自分が想像できないことの方が圧倒的に多いこと。
私たちが「理解できる」範囲の多様性だけで満足しているという残酷な事実でした。
世の中には、人間が想像できないことのほうが圧倒的に多いのにね
-本書引用
3. Netflix実写版の衝撃。稲垣吾郎さんが体現する「嫌味な正義」

本作は2023年に映画化。現在Netflixでも配信されています。
私は読了後に映画もみたのですが、特に、稲垣吾郎さんが演じる検事の役。彼が振りかざす「普通の幸せ」という正義が、どれほど人を追い詰めるか。その「嫌味さ」の演技が、文字で読んでいた時の息苦しさを完璧に映像化していました。
新垣結衣さんはじめ、キャスト陣の静かな熱演は、「いてはいけない人なんて、この世にいない」という本書のメインメッセージをより鮮明に描き出しています。
まとめ
誰かとの会話に入りたくない。その話はしたくない、そんな思いを感じたことがある人にこそ、この本を手に取ってほしいです。
「それまでぐらついていた何かがその動きを止めた気がした。それは、力ずくで何かを抑え込んだというよりも、不安定な家具の底に滑り止めのゴムシートか何かが差し込まれたような感覚だった」














































































