もっと注目を集めて良い名作

貫井徳郎さんの作品は、個人的に外れがないと思っています。これまで読んできた作品もどれも面白く、すっかり大ファンです。
今回紹介するのは『失踪症候群』。
貫井さんの作品のなかでは、そこまで注目されていない印象がありますが、個人的にはもっと知られてほしい隠れた名作です。
本作は「症候群シリーズ」の第1作。警察組織が表立って捜査できない事件を、秘密裏に解決する特殊工作チームの活躍を描いたミステリーです。
物語の中心となるのは、若者の連続失踪事件。警視庁警務部人事二課の環敬吾が指揮するチームに、事件の調査が命じられます。
チームのメンバーは、なかなか個性的な3人。
私立探偵、僧侶、肉体労働者という共通点の無さそうな3名。
でも実はみな、元警察官です。
職業も現在の立場もバラバラな3人が集められ、それぞれの得意分野を生かして捜査を進めていく。この凸凹な組み合わせが、まず面白いんです。
若者たちの失踪を追ううちに、事件の背後に隠された事情が少しずつ明らかになっていきます。さらに、事件だけでなく、捜査に関わる人物たちが抱えている秘密や本心も見えてくる。
個人的には、こうした人物の内面が明らかになっていくところも印象に残っています。
最初に見えていた人物像と、物語が進むにつれて分かってくる本当の姿。そのギャップが面白く、単純に事件を解決して終わり、という作品ではありません。
そして何より、3人のキャラクターとチームとしての掛け合いがいい。こういう少し変わったメンバーが、それぞれの能力を持ち寄って事件に挑む設定は、やっぱり楽しいですね。
貫井徳郎さんらしい巧みなストーリー展開と、人間の内側にあるものを描く面白さ。どちらも楽しめる一冊です。
まだ読んでいない方には、ぜひおすすめしたい作品。個人的には、もっと注目されてもいいと思っています。



















































