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【ネタバレ注意】大人には、ファンタジーの力が必要だ!今こそ読みどき『指輪物語』【エディターズピック vol.283】

J.R.R. トールキンの小説『指輪物語』。発売から70年近くが経つ今も世界中に多くのファンがいるベストセラーであり、すべてのファンタジーの原点とも言われている一大叙事詩です。

ただもしかしたら、この小説を読んだことがある人よりも、映画『ロード・オブ・ザ・リング』なら観たことがある、という人の方が多いのかもしれません。映画ももちろん大人気で、今年はその日本公開から20年にあたる年。それを記念して、4Kリマスター版のIMAXシアター上映も始まり、10月28日からはついに、アカデミー作品賞も受賞した3部作のラスト『王の帰還』が公開になります。

そして、Amazon Prime Videoでは、『指輪物語』、『ロード・オブ・ザ・リング』と同じ“中つ国”を舞台に、それより遥か昔へと時代を遡り、指輪の誕生をめぐるストーリーを描いたオリジナルドラマ『力の指輪』のシーズン1が配信中。今まさに、トールキンの描く世界に再び注目が集まっています!

映画を観て「サムが主人公では?」と思った人こそ、原作『指輪物語』を読んでほしい! 

新版 指輪物語1 (旅の仲間上1)

こちらは、瀬田貞二・田中明子訳、評論社刊『新版 指輪物語』。第一部<旅の仲間(上1・上2・下1・下2)>、第二部<二つの塔(上1・上2・下1)、第三部<王の帰還(上)(下)>、追補編があります。今は、更なる翻訳の修正が加えられた電子書籍版もあるようです。

『指輪物語』は決して読みやすい小説ではありません。推したいけど、ここは正直に(笑)。まず何より長いし、ストーリーの進行とは直接関係のないエピソードも多い(序章が30ページ以上あって、ホビットの各種族の特徴やパイプ草について長々と語り出されたところで心が折れたという人もよく聞く)。

日本語も古めかしいし、同じ人でもいくつか名前があったりして覚えにくいので慣れるまでは結構しんどいです。でも、一度“そういうもの”として読み進めると、そのすべてが味わいに変わり、「これこそが『指輪物語』だよね!」という心境にたどり着ける。

個人的には、特に映画を観て、「この映画って、サムが主人公じゃない?」とか、「サムがいればよかったよね」とか、「最後の最後でああなっちゃうなんて、フロドってどうなの?」と思った人こそ、小説を読んでほしいんです‼︎

映画は映画でめちゃくちゃよくできていて大好きなんですが、文庫版にして9巻にもなる長い長い物語を、映画としてはもちろん長いんだけどとはいえそれでも9時間弱に収めようとすると、当然なんですけど、わかりやすさ優先で端折られたエピソードやアレンジされたところもあって。

原作だともう少し、フロドのことがよく見えてくるというか、“指輪保持者”としてあの旅を続けることができただけでどれほどすごいことなのかもわかるし、“指輪保持者”はフロドでなければならなかったというのも伝わると思うんです。そうであってほしい!という願望込みかもしれませんが!

“めでたしめでたし”じゃないからこその、味わい深さ

映画「ロード・オブ・ザ・リング」3部作スペシャル・エクステンデッド・エディションDVD BOX

昔購入した、スペシャル・エクステンデッド・エディションのDVD BOX。IMAXシアターでリマスター版を見終わったら、4K ULTRA HD & HDデジタル・リマスター ブルーレイセットを購入して楽しみたいと思ってます。そして、海外に安心して行けるようになったら、真っ先にニュージーランドで『ロード・オブ・ザ・リング』の撮影地巡りをするのが夢です。

20年前、映画の公開をきっかけに『指輪物語』を読んで以来、おそらくもう10回は読み返しているし、映画も同じくらい観ています(オーディオ・コメンタリーも入れたらもっとかも!)。

なんで自分がこんなに『指輪物語』が好きなのか、あらためて理由を考えてみたところ、“わかりやすいハッピーエンドじゃないから”かなと思いました。

フロドは自ら望んで指輪を手に入れたわけでもないのに、あんな過酷な旅に出ることになって、指輪の魔力に心身を蝕まれ、過去の自分に救われるような形でなんとか旅の目的を達して、やっとの思いでホビット庄に帰ってきます。

それなのに、彼はあんなに愛した故郷に戻っても、心を落ち着けることができない。最後は、“指輪保持者”として、エルフと共に“中つ国”を離れることになるわけです。旅の仲間だったサムやメリーやピピンは、ホビット庄で家族に囲まれて幸せに暮らすことができるのに。

“めでたしめでたし”じゃないからこそ、惹かれる。「どうしてこの物語はこういうふうに終わらなければいけなかったんだろう」といつも考えさせられるし、その答えを求めて何度も読み返してしまう。

『指輪物語』は、実はトールキンが作り上げた神話の一篇です。彼が、世界の成り立ちに始まる歴史のすべてを構築し、言語まで生み出していると知ったときは、驚きを通り越して衝撃でした。(詳しくは、文庫版10巻の追補編や『シルマリルの物語』へ)

そういう緻密で壮大な物語に触れることでしか得られない何かが、きっとあると思います!

それに、読んでいる間、日常とは全く違う世界に意識を飛ばしてくれる力のあるファンタジーは、大人にこそ必要なはず! 緑や花がいっぱいで、おいしいものの匂いがいろんなところから漂ってくるホビット庄を心に描くことができたら、間違いなく幸せな気持ちになれますから♡

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