ファションプロ&おしゃれ好きの「チームBAILA」が大切にしている一生モノジュエリーを大公開! 出合いのきっかけ、お気に入りのポイント、愛用の理由には、それぞれの個性と審美眼が光っている。今回は、@BAILA編集長ギリコが、30代で購入して「断捨離後も唯一残った」ピアジェのゴールドリングのストーリー。
数十年の時を超えた、ピアジェの「ポセション リング」

「『ポセション』は、150年以上の歴史を誇るスイスの老舗ジュエラー、ピアジェの代表的なコレクション。重なり合うリングの中央が軽やかに回転するデザインが特徴的。1990年に発表され、今も世界中で愛されています。
実は私、数年前に大規模な断捨離を行い、持っているジュエリーのほとんどを手放してしまいました。手元に残して今でも身につけているのは、これがほぼ唯一のリング。ぽってりとしたボリュームのイエローゴールドで、3粒のダイヤモンドが並ぶ中央部分が、スルスルっと小気味よく回転します。
購入したのは30代の初め。それから数十年の間に、体重の増減もあったりして、一時はつけていない時期もありました。けれどダイエットに成功して、当時の体型を取り戻した今になって、改めて、持っていてよかったなと感じる宝物です」。
心に残る出合いのエピソード

「このリングに初めて出合い、手に入れた時の思い出は今でもありありと心に残っています。
30代になって、私はマンガ編集部から女性誌の編集部に異動になりました。全く畑違いの部署への異動だったので、仕事をイチから学ぶこととなり、職場の先輩や年上のモデル、タレントの方々からは、愛がありつつも厳しい指導を受ける日々を送っていました(笑)。配属されて2年が経っても、まだまだ緊張の毎日です。ある日、大物俳優のファッション撮影を終えて、帰り道を歩いていたとき、ふと目に飛び込んできたのが、光り輝く東京タワーの夜景。あまりにも綺麗で思わず見惚れました。その時に思ったのです。
"私、今までこの道を数えきれないほど往復していたのに、こんなに美しい東京タワーがそびえていることに、たった今まで気づいていなかったんだ。無我夢中で働いてきたけれど、やっと景色を見る余裕ができたのかもしれない"
そのままその足で、閉店間際のピアジェのお店に駆け込みました。ピアジェを選んだのは、当時働いていた女性誌に毎号美しいリングの広告が掲載されているのを、うっとりと眺めていたから。顔を上げて夜景を見る余裕ができた今こそ、自分のお金で買ってみよう! そう思ったのです。
カウンターで対応してくれたのは、ブロンドの髪をシックにまとめた店員の方でした。『あなたの雰囲気に似合うものを』と言って、たくさんのデザインを並べてくれたのを覚えています。高揚する気持ちに背中を押されて、私はそのとき、なんとリングを一度に2個も買いました! そのうちのひとつが、このシンプルなボリュームリングです」。
30代の自分の自信につながった、唯一無二の体験

「指にはめたときに、するりと肌に吸い付くようなつけ心地が素晴らしいこのリング。身につけるたびに、買ったときの思い出がよみがえります。店員の方が次から次へとリングを見せてくれて、試着をして鏡を見ながら彼女と相談して、ゆったりと店員さんとの会話を楽しみながら大切なジュエリーを選ぶ、贅沢な時間でした。ショップでのやりとり自体が『大人の余裕を手に入れた』と実感できた、初めての出来事だったのです。
買い物をする体験って、私は2種類あると思っています。所有したことで満足する買い物と、自分の自信につながってゆく買い物。このリングは間違いなく後者。今でも自分を奮い立たせたかったり、心を慰めたかったり、そんな特別な時に身につけます。断捨離を決行したときに、このリングだけは手放さなかったのは流行とは関係なく長く愛せるデザインなので、数十年後の『今』の自分に似合うものでもあったから。歳を重ねた自分に、いつまでも寄り添ってくれます」。

@BAILA編集長
WEB編集長ギリコ
築地界隈に犬と暮らして20年、休日は丸の内や日本橋、銀座まで犬の散歩がてら、ぶらりぶらり。特技はビールなら何杯でも飲めること。とくにクラフトビールが大好きです♪
おわりに
年齢も立場もさまざまな「チームBAILA」。それぞれのジュエリーとのストーリーは、それぞれの個性を豊かに映し出す。
大切なジュエリーは一生のパートナー。自分らしさが輝きの中に刻み込まれてゆくもの。あなたにも素敵な出合いがありますように!
撮影/宮下昌生〈hannah〉 取材・文/久保田梓美