30代・40代の不妊治療のお悩みや疑問に医師が回答! 今回は胚移植後の過ごし方、体の温めについて聞きました。
Q:胚移植後は、とにかく体を温めたほうが着床率も上がりますか?
Mr. Tempter/shutterstock
30代&40代女性の「リアルな妊活・不妊治療悩み&疑問」!
・「極度の冷え性の私。平熱も、低温期は35度台と低めだったので、妊娠のために温活を意識しています。毎日白湯を飲み、靴下を何枚も重ね、湯船には毎日1時間浸かり、カイロを子宮の位置に貼ったり……と努力は怠らず。胚移植後〜着床、妊娠の時期も同じ取り組みを続けてよいですか?」
・「職場の先輩から毎日半身浴をして妊娠したと聞き、私も実践。最近はサウナにも通って、冷えを解消しています。胚移植後はサウナの頻度を増やすべき?」
医師が回答!
1975年生まれ。山形大学医学部卒業、山形大学大学院修了。大学病院の不妊外来で生殖医療の基礎を学び、生殖医療専門クリニックにて長年不妊治療に従事。2017年よりリプロダクションクリニック東京にて女性不妊外来を担当、現在診療部長を務める。リプロ東京公式ブログでは、生殖医療の最新情報の発信も。
公式ブログはこちら。
https://ameblo.jp/reproductionclinic/
【ANSWER】胚移植後の体温めは逆効果の可能性も
「受精卵を子宮に移植したあとにやりがちで、オススメしないのは、過度に体を温めること。
質問者さんのように、妊活=体温めという印象を持つ方は多いです。中には、ひたすら岩盤浴やサウナに行ったり、服をたくさん着込んだり、カイロをたくさん貼ったり……ととにかく体を温めることに注力しすぎる方もいますが、やりすぎは控えたほうがよいと思います。
というのも、体を温めることで着床率が上がるというデータも、冷え性の方は着床しづらいというデータも、実はないのです。
平熱が35度台で低いから妊娠しづらいと心配される方もいますが、深部体温をきちんと測るともっと高いのです。末端冷え症で手足が冷たいという人はたくさんいますが、子宮=深部。平熱が低いと気にされている人も、日常生活を送れている方でしたら、子宮の温度には影響がないケースがほとんどです。
中には、入浴で体を温めることすら妊娠にはよくないという論文もあります。実際には、15分くらいお風呂に浸かるくらいでしたら問題ないと思いますが、1時間は長いと思います。ほどほどにしておきたいものです」
何事もやりすぎは禁物。胚移植後もその精神で!
取材・文/櫻木えみ