30代・40代の不妊治療のお悩みや疑問に医師が回答! 今回は人工授精でやりがちな失敗例について聞きました。
Q:人工授精にチャレンジします。やりがちなミスや、気をつけるべきことは?
Burdun Iliya/shutterstock
30代&40代女性の「リアルな妊活・不妊治療悩み&疑問」!
・「不妊治療、タイミングから人工授精にステップアップすることに。できれば体外受精のステップに行く前に妊娠したいので、人工授精の前夜も性交渉をして、確率を高めたいと思っています。夫は『できる!』と豪語していますが、問題ないですか?」
・「クリニックから精液を入れる用のケースをもらいました。が、これを人工授精の当日、クリニックに持っていくのは私。持ち運び方が悪くて薄まってしまったり、変質しちゃったらどうしようと不安です」
医師が回答!
1975年生まれ。山形大学医学部卒業、山形大学大学院修了。大学病院の不妊外来で生殖医療の基礎を学び、生殖医療専門クリニックにて長年不妊治療に従事。2017年よりリプロダクションクリニック東京にて女性不妊外来を担当、現在診療部長を務める。リプロ東京公式ブログでは、生殖医療の最新情報の発信も。
公式ブログはこちら。
https://ameblo.jp/reproductionclinic/
【ANSWER】精液採取は基本「朝」。前夜の性交渉は控えて
「人工授精では、自宅で精液を採取し、クリニックに持ってきてもらうというケースが多いです。男性がクリニックに来て、クリニック内の個室で採取するというパターンもあります。
クリニックで人工授精を行う時間帯=朝が多く、自宅採取の場合でも、男性は午前中の予定に余裕をもたせておいたほうがよいでしょう。朝の出勤時間が早すぎて、当日の採取が間に合わなかったという失敗を防ぐためです。
また、その周期での妊娠の可能性を高めるために……と人工授精前日の夜にも性交渉を持ってしまい、当日の朝、精液を採取できなかったという話も時々聞きます。採精可能ならまったく問題ないですが、このあたりは男性とよく相談して。
採取の失敗は、男性が精神的なダメージを受けてしまう場合もありますし、無理は禁物。本番にベストコンディションに持っていくためにも、ダメ押しの性交渉はせめて前々日にしておいたほうが安心です」
【ADVICE】精液はあたためすぎるのもよくない
「自宅で採取した精液は、クリニックで渡されたケースに保存し、新鮮なうちにクリニックに運びます。
特に気をつけたいのは、寒い季節の持参。
タオルやアルミホイルでケースを包み、精液が冷えすぎないよう気をつけて運ぶよう指導するクリニックが多いと思います。とはいえ「冷やさないように」と、カイロなどを使ってあたためすぎるのはNG。タンパク質が固まってしまうおそれれがあります。精子は高温に弱いのです。
オススメはスープジャーにケースごと入れること。精液がほどよい温度で保たれ、精液が変質しづらくなるようです」
精液採取の注意点は、人工授精のみならず、体外受精の際も参考になりそうですね!
取材・文/櫻木えみ