クリニック選びのポイント、受けるべき検査、不妊治療が成功する生活習慣など、30代・40代の不妊治療のお悩みや疑問に医療法人オーク会 産婦人科医の船曳美也子先生お答え!
神戸大学文学部心理学科、兵庫医科大学卒業
兵庫医科大学、西宮市立中央市民病院、パルモア病院を経て医療法人オーク会へ。
エジンバラ大学で未成熟卵の培養法などを学んだ技術と自らの不妊体験を生かし、診療にあたる。また、早くから不妊と肥満の関係性に着目し、2ヶ月で14kgの減量に成功した患者様の排卵障害が改善したことから、ダイエット・プログラムを発案。国内外の学会発表多数あり。
Q:糖質制限を続けています。不妊治療に影響はありますか?
【ANSWER】糖質制限の可否はBMI値によって変わってきます
「不妊治療中に、むやみやたらと糖質制限を行うことはオススメしていません。ですが、肥満度が高い方の場合は不妊治療に効果的なケースもあります。BMIが30以上で糖尿病予備軍の方で、糖質制限をすることで妊娠しやすくなることがあります。病院できちんと診察を受けてから、必要であれば糖質制限を行うようにしましょう」
Q:不妊治療を成功させるために生活習慣を見直したい。何をすべきですか?
【ANSWER】まずは睡眠、喫煙習慣などの生活習慣5つを見直すことから!
「●サプリメント
葉酸やビタミンDのサプリメントはベースサプリとしてオススメですし、ビタミンBや鉄分、亜鉛など不足しがちな栄養素をサプリメントで補うのもよいと思います。
●睡眠時間
酸化に対抗するのに手軽で確実な効果があるのは、早めに寝ること。
●喫煙習慣
喫煙習慣は卵子の数や質に悪影響を与えると言われていますので、なるべく控えるようにしたいもの。
●体重
BMI18.5以下や、25以上はスムーズな排卵を妨げる可能性が。BMIは22前後が理想。痩せすぎや太りすぎに注意しましょう。
●インターネットでの情報源
中には不確かな情報もありますので、体験談はあくまでも参考程度に読むようにして、惑わされすぎないこと。
不妊治療を始める際には、まずこれらの要素を見直すようにしましょう」
Q:不妊治療を考えていますが、クリニック選びのポイントは?
【ANSWER】物理的、費用、相性の3つで選ぶのがオススメ
「●物理的条件
まずは通いやすさ。たとえば採卵の周期の場合、女性は1周期約27日間に3〜4回は通院することに。自宅や職場から近いクリニックが望ましいと言えるでしょう。
●費用
保険診療がスタートしたとはいえ、自由診療の費用はクリニックによって異なるもの。保険診療以外で受けられる治療も内容はさまざま。ご自身の治療方針や予算と合致する、納得できるクリニックを選ぶようにしましょう。
●相性
不妊治療を行っているクリニックは、メンタル面にも寄り添うわけですから、患者さん側が「相性がよい」と感じるクリニックを選ぶことも大切です」
Q:何歳までに妊活をスタートしたらいいですか?
【ANSWER】妊活開始適齢期は、どんな出産をしたいかによって異なります
「女性の出産計画は、人によってさまざま。質問者のように、妊活をスタートすべき年齢の目安も、どんな出産を希望しているかによって異なってきますよね。ヨーロッパの家族計画(出典元【J. Dik F. Habbema, et al. Human Reproduction, Vol.30, No.9 pp.2215-2221,2015】)に、妊活を始めるべき目安の年齢が書かれていますので、そちらを参考に妊活適齢期をお答えします」
Q1:「体外受精ではなく自然妊娠で子どもを産みたい」場合の妊活開始適齢期は?
A1:32歳までに妊活をスタートするのが望ましいとされています。
Q2:「子どもは、もし可能なら1人産みたい」場合の妊活開始適齢期は?
A2:41歳までに妊活スタートが目安と言われています。
Q3:「子どもは3人産みたい」場合の妊活開始適齢期は?
A3:23歳までに妊活スタートしたほうが確率が高まります。
Q:子どもは産みたいけど、パートナーがいない。今できることは?
【ANSWER】現実的には卵子凍結という選択もアリ
「パートナーがいない状態であっても、将来出産したいと考えているなら卵子凍結を行うという選択肢もあります。不妊治療と同じように採卵を行い、卵子を取り出して凍結します。妊娠率を考えると、ベストは20代〜30代前半での採卵。ベストの年齢を過ぎていてもチャレンジする価値はあります。卵子は新しく作られることはなく今の卵子が最も若い卵子ですので、少しでも若いうちに凍結をおこなったほうが、妊娠の確率は上がるのです」
Q:不妊治療をするべきか決めかねている段階。女性が先に受けられる検査はある?
【ANSWER】女性が受けるべき検査は7種類!
「不妊治療を受けるかどうか迷っている段階でも、将来的に妊娠を考えているなら検査を受けましょう。女性が受けておきたい検査は7種類ほどあります。
1:超音波検査
2:がん検診
3:AMH(アンチミュラー管ホルモン)検査
4:風しんの抗体検査
5:クラミジア検査
6:淋菌検査
7:梅毒検査
妊娠や出産を考える年齢になったら、各種検査を受けておくと安心ですね」
Q:不妊治療を検討中。夫に受けさせるべき検査はありますか?
【ANSWER】妊活前に男性が受けておきたい検査は3つ
「いつか子どもが欲しいけれども治療まではまだ考えていないという夫婦・カップルでも、不妊治療のクリニックで検査を受けておくに越したことはありません。女性と同様に、男性も性感染症の検査はぜひ受けましょう。
・クラミジア
・淋菌
・梅毒
この3つは必ず受けておきたい検査。夫の性感染症が夫婦の不妊の原因となっていることも。同じタイミングで検査、治療を受けることが大切です」