30代・40代の不妊治療のお悩みや疑問に医師が回答! 今回は不妊治療中の生活習慣について聞きました。
Q:不妊治療を成功させるために生活習慣を見直したい。何をすべきですか?
Ken Tyler/shutterstock
30代&40代女性の「リアルな妊活・不妊治療悩み&疑問」!
・「不妊治療を始めることを決め、ネットで情報収集をするようになりました。匿名で不妊治療ブログも始め、同じような治療をしているブログ友達もできました。ネットで年齢や体質が近そうな人の口コミを探し、その人たちがオススメしているサプリは片っ端から購入。最善を尽くすべく飲んでいます。体外受精を考えているので、レスベラトロールやメラトニンなども輸入サプリのサイトで取り揃えてます」
・「30代、フリーランスです。周りに子持ちがおらず、仕事は昼前後から深夜まで。ついついパソコンを開きっぱなしで完全に夜型生活です。喫煙もやめられず、こんな生活で不妊治療しても果たして成功するのかと一抹の不安も」
医師が回答!
神戸大学文学部心理学科、兵庫医科大学卒業
兵庫医科大学、西宮市立中央市民病院、パルモア病院を経て医療法人オーク会へ。
エジンバラ大学で未成熟卵の培養法などを学んだ技術と自らの不妊体験を生かし、診療にあたる。また、早くから不妊と肥満の関係性に着目し、2ヶ月で14kgの減量に成功した患者様の排卵障害が改善したことから、ダイエット・プログラムを発案。国内外の学会発表多数あり。
【ANSWER】まずは睡眠、喫煙習慣などの生活習慣5つを見直すことから!
1:サプリメント
「不妊治療を始めるにあたって、質問者の方のようにまず妊活用サプリメント等を買い込む方も多くいらっしゃるようです。葉酸やビタミンDのサプリメントはベースサプリとしてオススメですし、ビタミンBや鉄分、亜鉛など不足しがちな栄養素をサプリメントで補うのもよいと思います。また、多嚢胞性卵巣症候群の方にはイノシトールのサプリメントが有効とも言われています。
着床率のアップを期待して、レスベラトロールのような抗酸化作用を持つサプリメントを摂る患者さんも多いですが、サプリメント摂取が妊娠成立の決め手になるほどではないように思います。とはいえ酸化が妊娠の妨げになることは間違いありませんので、酸化の原因となる“ストレス”の要因を取り除く努力をされるのはよいと思います」
2:睡眠時間
「酸化に対抗するのに手軽で確実な効果があるのは、早めに寝ること。成長ホルモンは卵子の質や受精にも影響を与えますので、不妊治療中は早めに寝ることをオススメします。成長ホルモンがたくさん出るとされている22時〜2時に熟睡できていることがベストです」
3:喫煙習慣
「喫煙習慣は卵子の数や質に悪影響を与えると言われていますので、なるべく控えるようにしたいもの」
4:体重
「BMI18.5以下や、25以上はスムーズな排卵を妨げる可能性が。BMIは22前後が理想。痩せすぎや太りすぎに注意しましょう。日本人は体質的にBMIの値が30以上の方は少なめのようですが、糖尿病の方は不妊につながりやすいと言われていますので、体重には注意するようにしてください」
5:インターネットの情報源
「もうひとつ、見直していただきたいのは、不妊治療に関する情報収集の仕方。ネットにはさまざまな情報があふれ、不妊治療を経て妊娠した人のリアルな体験談に影響を受ける患者さんは多いです。ですが、不妊治療は個人差が大きいもの。他人のうまくいった方法が自分に当てはまるとは限りません。中には不確かな情報もありますので、体験談はあくまでも参考程度に読むようにして、惑わされすぎないことです。不妊治療のクリニックが発信している記事やセミナー、この記事のように専門医が監修している情報であれば信頼性が高く、オススメできます」
「不妊治療を始める際には、まずこれらの要素を見直すようにしましょう」
不妊治療の効果を高めるためにも、まずは生活習慣の見直しを!
取材・文/櫻木えみ