Amazon Original映画『ナックルガール』に、闇の組織を牛耳る悪役として出演した窪塚洋介さんがBAILA12月号に登場!
ここではアザーカット&WEB限定インタビューを先行公開でお届けします。
くぼづかようすけ●1979年5月7日生まれ、神奈川県出身。’95年に俳優デビュー。ドラマ『池袋ウエストゲートパーク』、映画『GO』『ピンポン』『Silence-沈黙-』BBC×Netflix London『Giri/Haji』など話題作に数多く出演するほか、音楽活動、モデル、執筆と多彩な才能を発揮。今後も多数の待機作を控える。
日韓合作『ナックルガール』の撮影を振り返る
見慣れた街が新鮮に切り取られていた
──韓国の人気ウェブ漫画が原作の映画『ナックルガール』に出演されました。今回、出演の決め手となったのは?
韓国のクリエイターと日本の俳優で作る日韓合作ってことで、すごく興味をそそられたんです。今回は主演の三吉彩花さんとは絡みがなかったけど、一緒に芝居をしたことがなかった伊藤英明くんと共演シーンがあったから、楽しくできそうだなと思って受けさせてもらいました。
──韓国のスタッフとの現場で刺激を受けたことは?
プロデューサーと監督と、首脳陣が韓国で、現場のスタッフたちが日本だったんです。いちばん噛み合ったな、と思ったのは照明でしたね。韓国の監督が日本の風景を切り取ってるんだけど、光を作っているのは日本の技術者っていうコラボレーションの感じはおもしろかったです。見慣れた街が少し新鮮に映るんですよ。
横浜のランドマークとか首都高とか川崎の港とか、誰が撮っても同じだろうって思うんだけど、本当は違うんですよ。また新しい命が吹き込まれているように見えたし、切り取る角度と照明の力を感じました。
──監督とは食事に行くなど、積極的にコミュニケーションを取ったそうですね?
チャン監督ってすごくチャーミングなんですよ。もちろん頼りになる人だけど、演出をするときに、芝居を自らやってみせるタイプだったんだよね。それがなんか微笑ましくて(笑)。すごく芝居しやすかったし、打ち解けてごはんを食べたりもしました。俺は拙い英語で、通訳さんもいてくれて。チャーミングな人だから年下かなと思ったけど、俺より4つ上でした。韓国ってキムチとか健康食が多いからかな。若々しく見えたんだよね。
俳優としてのキャリアは約30年。窪塚洋介の現在地とは?
芝居をやめようと思ったことは一度だけある
──窪塚さんといえば、音楽活動やアパレルのデザインなど、ジャンルを超えて幅広く活動されています。俳優としてデビューしたのは16歳。約30年の間に、俳優というお仕事を手放そうと思ったことはありますか?
いい意味ではありました。マーティン・スコセッシ監督の『Silence-沈黙-』(2016)に出たとき、「ここで幕切れにする人生もありだよな」って、考えなかったわけじゃないです。それくらい自分の中では大きな経験だったから。
でもやっぱり芝居が好きだからね。好きなものをわざわざ手放すのも、もったいないって思ったんだよね。
──お芝居は、窪塚さんにとっていちばん「好き」なものなんですね?
そうっすね。なんか、いちばんピュアなサンクチュアリだし、そこは変わってないと思うんですよ。経験を重ねるうちに、どんだけ楽しいかってことがどんどんふくらんでいって、なんかもうやめられなくなっちゃってるって感じだと思う(笑)。
20年前と似たような波が来ている
──さまざまな経験をされてたどり着いた現在地は、どんな場所ですか?
シンプルに今年はすごくいい流れだなと思っていて。『池袋ウエストゲートパーク』(以下、『IWGP』)が放送されたり、キング役でコマーシャルに出演させてもらったり、息子と共演したり、いい流れでここまで来てると思う。
今思うと、『IWGP』に出ていた20代前半の頃って、追い風にあおられてすごい浮き足立っちゃってたと思うんですよ。調子に乗ってたと思うし、肩に力が入ってたし、ポーズをすごいしてたというか。
波が時代と合うかどうかは誰もコントロールできないじゃないですか。自ら仕かけに行ける人たちもいるけど、体感としてフィールするかどうかは別なんで。
俺の場合、20年前と似たような波が来ている感覚はあるけど、おっさんとして地に足ついて体感できているのが、なんかいい感じなんです。
大事なものの順番がシンプルに自分の中で明確になっているから、そこを大事にしていれば落ち着いていられるんだよね。
波を感じる44歳の今、元気で豊かに安全でいたい
──窪塚さんにとって大事なものとは?
まずは自分。精神的な部分でも経済的な部分でも、元気で豊かに安全でいたい。誰かのために生きてるわけじゃないからね。自分のために自分の命を使って生きてるから、まずはそこがいちばん大事。
それを近くで支えてくれている家族。子どもだったり親だったり、もちろん妻も大事。
そして周りにいる仲間、好きでいてくれるファンのみなさん、そして黙っていても石を投げてくる世の中。これも大事にする。
この順番が狂うと、バランスが取りにくくなると思うんだよね。
もちろん仕事も感謝してるし、このインタビューだって、最初で最後じゃないですか。サーフィンやらないのに陸サーファーとして言うけど、同じ波は二度と来ないわけで。そう思っていたら何が起きてもすごい楽しいし、ありがたいし。
──自分を元気で豊かにする方法は?
マインドセットがいちばん大事だよね。起こる出来事に無駄なことは本当に何もないし、全部よくなるために起こっているという考え方を持つこと。
あとはガス抜き。俺だったらお酒飲んでゴルフすることかな。
──ゴルフ焼けしてますね(笑)。
こないだ息子と一緒に写真撮ったら、日本人モデルと外国人モデルみたいになっていて、スタジオ中が爆笑してた(笑)。
でも好きなゴルフに行けるのは、自分だけじゃできなかったりするから。
それこそ仲間に感謝だし、家族に感謝だなってすごく思える。気持ちよくゴルフに行かせてくれる妻にも感謝してます!
──窪塚さんは最近、モデルのお仕事も増やしていますね。窪塚さんにとってファッションの楽しさとは?
衣食住の中に入ってるものじゃないですか。ファッションっていうからハードルが高く聞こえるかもしれないけど、食とも住とも並んでくる大事なものだし、近くにあるもの。
なんかちょっと気分が乗らないんだったら、気分が乗るような洋服を着たり、カッコつけたいときは、そういう服を着て外に出てみたりすることもできる。
自分のスタイルをいちばん表現できるものだし、外見からパワーをもらえることって、絶対にあると思う。
ますます目が離せない現在の窪塚洋介さん。
10月27日(金)発売のBAILA12月号には、キャリアを重ねてたどりついた仕事観や人生観を語ったインタビューや撮り下ろしカットを掲載しています。ぜひお見逃しなく!
Amazon Original映画『ナックルガール』作品情報
気鋭のボクサー橘蘭(三吉彩花)はある日、妹が失踪したと警察から知らせを受ける。事件の裏には、白石誠一郎(窪塚洋介)率いる犯罪組織の存在があると気づいた蘭は、命懸けのバトルに身を投じていく。韓国の人気コミックを、韓国人クリエイターと日本人キャストで映画化。
Amazon Original映画『ナックルガール』
11月2日(木)よりPrime Videoにて世界独占配信
出演/三吉彩花、前田公輝、細田佳央太、窪塚洋介、伊藤英明ほか
監督/チャン
原作/JGstreet原作、Daywalker(Sang Jin Yoo)作画
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撮影/田形千紘 ヘア&メイク/佐藤修司〈Botanica make hair〉 取材・文/松山 梢