韓国ドラマ大好き! なライターが、ぜひおすすめしたい作品を紹介する連載コラムです。
今回は、韓国や日本をはじめとする計8カ国・地域でテレビ非英語部門1位を記録した話題のミステリー『サラ・キムという女』のあらすじと見どころを紹介します。
1.『サラ・キムという女』作品概要

『サラ・キムという女』(2026)
全8話
出演:シン・ヘソン、イ・ジュニョク
Netflixシリーズ「サラ・キムという女」独占配信中
【あらすじ】
高級ブランドが立ち並ぶソウルの一等地・清潭洞(チョンダムドン)の下水溝から、顔がつぶされた身元不明の女性の遺体が発見される。遺体の足首にあるタトゥーと所持品と思われる高級バッグからから、身元は高級ブランド「プドゥア」のアジア支店長サラ・キム(シン・ヘソン)だと特定されたが、刑事のパク・ムギョン(イ・ジュニョク)は、身元確認に訪れたサラ・キムの友人だというコスメティックブランドの女社長の証言に違和感を抱く。その不可解な点を追っていくうちに、人々によってサラ・キムの人物像が全く異なることが明らかになり、さらには、サラ・キムという人物は存在しないことが判明する。
2.サラ・キムは何者? シン・ヘソンの怪演に震撼

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本作は、「殺人事件の真相」と遺体として発見された「サラ・キムの正体」という2つの謎が重なり合うヒューマン系ミステリー。ドラマの中心となるサラ・キムを演じるのは、『サムダルリへようこそ』『生まれ変わってもよろしく』でおなじみのシン・ヘソン。本作では、名前と人生を塗り替えてのし上がった女性を演じており、自由自在に印象を変化させる怪演にハマる視聴者が続出。「それで、サラ・キムは一体何者なの!?」と、まるで作中に登場する“サラ・キムに騙された人々”のように、その不思議で危険な魅力に引きつけられること間違いなしです。
シン・ヘソンは、これまでにも『生まれ変わってもよろしく』の転生を重ねて19回目の人生を生きるヒロイン、『哲仁王后〜俺がクイーン!?』の現代のイケメンシェフの魂が宿ってしまった王妃、『30だけど17です』の17歳の心のまま30歳で昏睡状態から目覚めた女性など、繊細な演じ分けが求められるキャラクターをこなしてきた実力派。一方で、親しみやすいルックスが特徴でもあり、視聴前は「華やかで刺激的な本作の世界観と合うだろうか?」なんて思っちゃったのですが、その親しみやすさがサラ・キムの過去で活きてきます。

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富裕層の中でも上位0.1%しか買えないというヨーロッパの老舗高級バッグブランド「プドゥア」を韓国に上陸させ、わずか1年余りで一流百貨店・サムウォル百貨店に入店させたアジア支店長サラ・キム。彼女自身もブランド品のように優美でラグジュアリーですが、「プドゥア」は彼女が立ち上げ、コピー商品を作る地下の小さな工場で製造されたものでした。すべて嘘で塗り固められた虚像だったのです。
刑事のムギョンは、サラ・キムを知る人々の証言からサムウォル百貨店の販売員だった「モク・ガヒ」という女にたどり着きます。ブランド品に憧れを持っていたガヒは、不運なトラブルから多額の借金を抱え、ブランド品の転売詐欺で大金を手に入れた後、投身自殺していました。死んだと思われたガヒですが、大きな力を持つ貸金業者の男と臓器移植のために偽装結婚した「キム・ウンジェ」として生き続けていた可能性が浮上し、ウンジェ時代を知る参考人が「久しぶりに会ったらサラ・キムという名前に変わっていた」と証言します。
発見された遺体に臓器移植の手術跡がなかったことから、ムギョンはサラ・キムが今も生きていると確信します。ならば、誰が殺されたのか? ヴェールに包まれたサラ・キムの実像に翻弄され続けます。映画『正体』やNetflixシリーズ『セレブリティ』がお好きな方にはドハマりするはず!
3.存在感を放つイ・ジュニョクの“抑えた演技”

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本作で印象的だったのは、サラ・キムの敵となるムギョンのパーソナルな部分がそぎ落とされていること。ムギョンがどんな背景を持つのか、どんな思いで事件を追っているのか、プライベートではどんな顔を見せるのか、視聴者が共感する糸口がないのです。もし、ムギョンが人情派刑事だったら、ムギョンに肩入れして作品を見る視点がブレてしまっていたかも。視聴者の感情を善悪に向けさせないムギョンの無機質さを、イ・ジュニョクが抑えた演技で表現しています。
イ・ジュニョクといえば、ラブロマンスドラマ『わたしの完璧な秘書』のイケメン秘書役が記憶に新しいですが、もともと『神と共に』『犯罪都市 NO WAY OUT』といった悪役に定評がある俳優。サラ・キムの逮捕に執着し、翻弄されつつも冷静に追い詰めていくムギョンの静かな熱はどこか危うさも感じさせ、物語に緊張感を与えています。

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ついに、死んだとされていたサラ・キムを出頭せることに成功したムギョン。ドラマ後半で繰り広げられるサラ・キムと対決する取り調べのシーンは、本作いちの見どころ。息をのむ心理戦が繰り広げられ、シン・ヘソンとイ・ジュニョクの火花散る演技対決に圧倒されます。
4.本物とは何か。衝撃と余韻を残す脚本

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取り調べで堂々と「被害者がいないから詐欺ではない」と言い放つサラ・キム。高級品で全身を飾っていたセレブたちにとって、「プドゥア」が偽物であることを見抜けなかったことが世間に知れ渡るほど屈辱的なことはなく、超富裕層たちは保身のために被害を訴えないと確信しているのです。
サラ・キムがアイデンティティを捨ててまで手に入れたかった本物の世界。そこに辿り着いた時に見えたのは、本物であるかよりも、“選ばれし者”になることに価値をつけるセレブたちの姿でした。彼女が「プドゥア」とサラ・キムを本物のように見せることができたのも、その心理を熟知し、巧みに操っていたから。職業や持ち物、交友関係まで、自分を着飾るアクセサリーのようになってしまった現代社会への皮肉が込められた脚本に、最後はじっくりと考えさせられました。そして、すべてと引き換えに「プドゥア」を守り抜こうとする彼女は、果たして詐欺師なのだろうか、とも。
平凡なモク・ガヒからハイブランド界で輝くサラ・キムまで、同一人物なのに全く異なるキャラクターを百面相で演じるシン・ヘソンの演技がとにかく素晴らしい。イッキ見しやすい全8話というボリュームもよろしく、最後まで予想を裏切る展開に魅せられる秀作です。














































