NEWアルバム『ARIRANG(アリラン)』を携え、世界34都市全79公演を巡るBTSのワールドツアー。その日本公演が2026年4月17日(金)、18日(土)の2日間、東京ドームで開催され約11万人を動員した。実に7年ぶりとなる完全体のステージでは、新境地を示す最新曲からかつてのメガヒット曲まで惜しみなく披露。さらに日本公演限定曲を含む全22曲のセットリストで、再会を待ちわびたARMY(BTSのファンダムネーム)を熱狂させた。

(P)&(C)BIGHIT MUSIC
今回は、2日目である18日の模様をレポート! 自らのルーツと歩んできた時間への誇りをにじませたこの公演は、彼らのアイデンティティを深くすくい上げながら、新たな黄金期の始まりを予感させた。
7年の時を超え、重なり合う鼓動

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今回注目を浴びたのが、東京ドームの中心に位置する360度全方位開放型ステージ。どの席にいても「自分と彼らだけの空間」であるかのように錯覚させる圧倒的な没入感が、再会の喜びをさらに濃密なものにする。その会場が暗転したかと思うと、地響きのような足音とともに黒の韓国伝統服に身を包んだダンサーたちがなだれ込む。
幕開けは、「Hooligan」。荘厳なオーケストラが鳴り響くなか、大勢のダンサーの間を縫うようにして悠然と現れた7人。その姿を目にした瞬間、5万人の歓喜が爆発し、ドームを震わせるほどの歓声が沸き起こった。キレのあるラップとともに火柱が上がり、彼らのカムバックを祝うかのように花火が宙を焦がす。続く「Aliens」では、幻想的な高音と重厚なベースが共鳴し、会場の熱気をじりじりと高めていった。

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そして3曲目にして彼らは、エネルギッシュなヒット曲「Run BTS」を放つ。中央ステージがせり上がり、場内も一気に沸騰。従来の振りつけに縛られることなく自由に音に身を任せて踊る「生」のパフォーマンスで会場内を虜にした。

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お約束の「せーの、バン! タン! こんにちは、BTSです!」の挨拶から始まった最初のMCでは、7年という空白を埋めるように、メンバー全員が日本語で懸命に想いを伝えようとする姿に胸を打たれた。
「本当に会いたかった」と真っ直ぐな瞳で言うJung Kook。Vは「ライブビューイングのみなさんも全力で!」と遠くのファンまで気遣う。Jiminは照れながらも「一生懸命準備したぶん、頑張ります」と意気込み、SUGAは「新しい挑戦を楽しんで」と呼びかける。彼らが大切に紡ぐ言葉には、ARMYの心にそっと寄り添う温かさが宿っている。
「スターとしての誇り」と「ありのままの自分」。秘めた葛藤を音に乗せて

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最初のMCを経て、ここからは進化したBTSをじっくりと味わう時間へ。「they don’t know ’bout us」を皮切りに、エモーショナルな表現がきわ立つパートが広がっていく。「FAKE LOVE」で切実な愛の絶望を描いたかと思えば、「SWIM」「Merry Go Round」のメロウなサウンドでARMYを優しく包み込む。
特に、タイトル曲「SWIM」では、ドーム全体が深い青に染まり、まるで静かな海底にいるような感覚に。ここで見せたのは、激しいダンスではなく、大人の余裕を感じさせるしなやかな姿。「流れに抗わず、自分のペースで泳ぎ続ける」――。リーダー・RMが綴るその想いは、人生という荒波を自分らしく進もうとする、彼らの新しい決意そのものだった。

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そして、もっとも彼らの「現在地」を感じさせたのが、「2.0」から「NORMAL」への流れ。「2.0」が「もっと上へ、もっと新しく」という未来への決意表明なら、続く「NORMAL」は「どれだけ有名になっても、僕たちは君たちと同じ普通の人間なんだよ」というARMYへのメッセージのように響いた。完璧なアップデートを遂げた姿を見せつつも、心のいちばん繊細な部分をさらけだす。RMの「手をあげてください!」という言葉とともに会場全体が手を振り上げ、その決して一筋縄ではいかない複雑な感情を分かち合っていた。
ボルテージを極限まで引き上げる怒涛のヒップホップナンバー

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会場の空気を一変させたのは、力強いヒップホップを軸にした楽曲たち。「Not Today」、「MIC Drop」で、地響きのような重低音が鼓膜を揺らす。そして「FYA」から「Burning Up(FIRE)」へ。文字通り、ステージからも客席からもエネルギーが噴出する。
そして訪れる、この日最大のハイライト「Body to Body」。会場を埋め尽くす5万人のARMYによる伝統的な韓国の民謡「アリラン」の大合唱がドームを揺らした。ステージと客席、そして韓国と日本という境界さえも溶けていくような感覚。その熱量を受け継いだ往年の名曲「IDOL」では、まるでパレードかのように大勢のダンサーを引き連れてアリーナを練り歩きながら歌うBTSと会場全体の歌声が重なり合い、この7年間の想いをすべて解き放つような爽快な瞬間を描きだしていた。
会場が愛でいっぱいに。笑顔で埋め尽くされた終盤

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ラフなスウェットやTシャツ姿に着替えて再びステージに現れた7人は、世界中を虜にしたヒットナンバー「Dynamite」、RMいわく「みなさんの隣の家の猫、たまでも知っている曲」である「Butter」を披露。Vがひょっこりとおどけたポーズを見せたり、Jin、Jimin、Jung Kookが即興のダンスブレイクを披露したり。ドーム全体がとびきりハッピーなムードに包まれた。

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そして、さらなる嬉しいサプライズが! 初日のセットリストにはなかった「DOPE」のイントロが流れた瞬間、ボルテージは再び最高潮に。続いて流れてきたのは日本オリジナル曲「FOR YOU」だった。予期せぬ選曲に、客席のあちこちから歓喜が漏れる。Jung Kookが思わず「デバニダ(すごいな)」と驚くほどの熱気。「初めての日本オリジナル曲!」と言うj-hopeの言葉を受けて、Jiminが「みんな覚えてますか?」といたずらっぽく問いかけると、ドーム全体が幸福感で満たされていった。
変わらない素顔と、未来への約束
そんな魔法のような時間も、いよいよ終わりのときへと近づいていく。名残惜しさを抱きしめるように、ここでひとりひとりが飾らない言葉で、精一杯の愛を届けてくれた。
JUNG KOOK「みなさんの歓声と、その幸せそうな顔を見て、たくさんの力をもらいました。次はもっと成長した姿で戻ってきます。いつも待っていてくれてありがとう。愛してまーす!」
JIN「久しぶりで、緊張してしまったらどうしようかと思っていました。でも初日の公演のあと、メンバーと“幸せだったね”って話したんです。きっと今日も同じことを話すと思う。すべてARMYのおかげです。ありがとう」
Jimin「(ポケットから手紙をだして)みなさんを前にすると頭の中が真っ白になってしまうので、手紙を書いてみることにしました。兵役中に、みなさんに忘れられてしまわないかと心配でした。でもこうしてまた会えて、その心配はすっきりなくなりました。本当に幸せです」
V「ずっと日本のARMYに会いたかったです。みなさんのエナジーが僕の大きな力になりました。また戻ってくるので、それまで待っていてね。この言葉を覚えているかわからないけど……ムラサキするよ〜(愛しているという意味)」
RM「僕は、スマホを切って作品に集中する映画が好きです。今日みなさんは、スマホを持たず、自分たちの目で僕たちを見てくれた。みなさんのおかげで、僕は映画の主人公になれました。この日を忘れません。どこに行っても恋しくなると思います」
SUGA「7年ぶりのグループ公演で、こうしてまた会えて本当に嬉しかったです。男性ファンの方が増えている気がしていて。前とは少し違う感覚もあって、それも含めてすごく特別でした。これからはもっと頻繁にみなさんに会いにきたいです」
j-hope「ツアーのスタートを東京で迎えられて本当によかったです。みなさんの反応が想像以上で、すごく感動しました。約束します、必ずまた帰ってきます。その時は今日以上に楽しい時間を一緒に過ごしましょう。愛してます」

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温かな拍手と言葉の余韻がドームを包み込むなか、いよいよ本当の最後を告げるイントロが。ラストを飾るのは「Into the Sun」。夕日のようなやわらかなオレンジの光が会場の隅々まで染め上げ、アコースティックな音色に合わせて舞い落ちる紙吹雪は、まるで彼らと過ごした夢のような時間の欠片みたいだった。
メンバー全員が愛おしいまなざしでARMYたちを見渡し、メンバー同士がお互いに視線をかわしてはにかむ。そんな何気ない瞬間すべてが、永遠に色褪せない宝物のように美しく輝く。
アウトロの演奏がふっと止まった瞬間。その静寂を縫うように、Jiminが優しい声で「愛してます」とささやいた。その一言は、ARMYたちの心に深い余韻として刻み込まれたに違いない。
「ありがとうー!」「東京、サイコー!」「またね、東京!」。そう口々に再会を約束しながら、光の向こうへ消えていった7人の後ろ姿。さらに温かく、さらに逞しくなって戻ってきたBTSの第2章は、今、始まったばかり。次は、どんな景色を見せてくれるのだろう。「愛してる」という言葉では足りないほど、幸せな再会のひとときだった。
取材・文/榎本洋子〈TENT〉











































