韓国ドラマ大好き! なライターが、ぜひおすすめしたい作品を紹介する連載コラム。
人生の最底辺から頂点までのぼりつめた俳優の壮絶な破滅と、彼女を守るために地獄を選んだ男の切なくも激しい愛の軌跡を描くロマンス・スリラー『親愛なるX』を紹介します。
CONTENTS
1.『親愛なるX』作品概要
『親愛なるX』
全12話
出演: キム・ユジョン、キム・ヨンデ、キム・ドフン、イ・ヨルウムほか
ディズニープラス スターにて見放題で全話独占配信中
(c)2026 Tving & Studio Dragon All Rights Reserved
【あらすじ】
美しい顔の裏に残酷な本性を隠す女、ペク・アジン(キム・ユジョン)。他⼈の心理を見抜き操る能力は、彼女が生き抜くために選んだ武器だった。不遇な過程で育った幼少期の過去から抜け出すため仮面を被った彼女は、“頂点”に立つという執念に燃え、手段を選ばずに突き進む。彼女にとって他人とは、いつでも取り替え、消せる“X”でしかない。数多くの犠牲を踏み台にして、ついに頂点に立ったと思った瞬間、自らの救いになると信じた誰かの手を取ったことで、予期せぬ亀裂が生じる。愛だと信じた感情は、果たして救いか、破滅か。そしてその背後には、彼女に踏みにじられた者たちによる反撃が待ち受けていた。
2.“イッキ見コース”へと誘う、残酷な仕打ちのコンボ
今回紹介するのは、『マイ・デーモン』のキム・ユジョンと、『ペントハウス』シリーズのキム・ヨンデが共演するロマンス・スリラー。これだけでも顔面偏差値がとんでもないのに、『ムービング』のキム・ドフンと、『組み立て式家族~僕らの恋の在処』のファン・イニョプのイケメンたちが合流。視聴前は、まぶしすぎて画面を見つめ続けていられるか不安だったのですが、見始めたら、あまりの展開に「Don’t stop! Can’t stop!」と、イッキに完走してしまったのでした。
『マイ~』では悪魔に心をかき乱されるCEOをユーモラスに演じたユジョンが、今作では生き抜くために“仮面”をかぶったソシオパスのペク・アジンを怪演。しょっぱなから冷たいほほ笑み(笑っているのに寒気が……)と残酷な仕打ちのコンボを決めまくり、観る者すべてを恐怖に陥れるのです。

ここから一部ネタバレがあります。
3.魔性を憑依させたキム・ユジョン
アジンが生き抜くために身に付けた武器。それは「他人の心を見透かして操る能力」でした。幼少期の残酷な経験から、仮面をかぶることを学んだ彼女は「いつでも交換し、排除できるXたち」を踏み台にして頂点を目指すのですが……。その先にはアジンに踏みにじられた「Xたちによる反撃」が待ち受けていたのです。
第1~4話では、アジンがスター女優へとのし上がるまでを描いているんですが、とにかく残忍(震)。そして、恐ろしく賢いんですね。派手というよりは華やかで、無邪気というよりは無垢な笑顔で相手の心に入り込む。氷よりも冷たい眼差しでターゲットであるXを破滅へと導く。そうして、この場の誰もが彼女の言葉を信じるように仕向け、緻密かつ大胆にXを追い詰めていくんです。

1話で描かれた学生時代のいじめエピソード。アジンは同級生ソンヒの壮絶ないじめを淡々と受け止めます。その後、いじめの代償として、信用も友達も何もかもを失ったソンヒを抱きしめながらアジンはこう言います。「ターゲットになってくれて楽しかった」と。天真爛漫な笑顔で、震えるソンヒの頭をやさしくなでる姿にゾワッ。何が怖いかというと、年齢を重ねるのに比例して、彼女のソシオパス度も右肩上がりなんですね。
3話の終わりになると、狂気もパワーアップ。クズな父親・ソンギュの救助を泣きじゃくりながら電話で要請したかと思えば、雨の中に立ち尽くし、顔面血まみれ、涙まみれなのに笑いが止まらないという、「これぞ狂気!」としか思えない渾身の演技でお茶の間を震え上がらせました。

仮面を自在に操り、父さえもXとして自分の人生の養分にしたアジンは、もう誰にも止められません。自分の足かせになるXたちをちぎっては投げ、踏みつけては躊躇なく排除する展開に大興奮! だって、親身になってくれた人がどうなろうと、一切動じない。弱みを握ってでも、相手の上に立つことを忘れない。冷血すぎますっ!
残酷な天使スマイルからの、メドューサも真っ青のすごみ(相手を石にしそう……)からの、悪魔的魔性のほほ笑みまで、顔の演技に抜けなし。目、眉、唇、口角が1ミリ動くだけで、「焦っている」「悲しんでいる」「(相手を)切り捨てた」「新たなターゲットを見つけたな」 と分かってしまうほど。
キム・ユジョン、とんでもない俳優ですよ……。
また、高校生からスター俳優役までを演じたキム・ユジョンの美を堪能するのも、本作の見どころのひとつ。なんたって、虐待されてからの血まみれ普段着から清楚な制服、さらにはきらびやかなドレス姿まで、圧倒的に美しく、飽くなき渇望さえもアクセサリー替わりにして着こなしてますから。キム・ユジョンに忠誠!
4.無償の愛とは何か

ユジョンの怪演だけが本作の見どころではありません。悪女アジンを愛するジュンソ、そしてアジンを見守るキム・ジェオ(キム・ドフン)の関係性も魅力的な沼。
親同士の再婚で、アジンとジュンソは、一時、同じ屋根の下で暮らしていました。あることから、ジュンソはアジンを守るためならすべてを失う覚悟を持つように。しかしアジンは、俳優としての頂点に立つため、献身的な愛を捧げるジュンソにすら背を向けるのです。
一方、ジェオは、生きる意味を与えてくれたアジンの強いまなざしから目をそむけることなく協力し続けるのですが……。

ジュンソとジェオによる、アジンへ無償の愛は、天ほど地ほど。(泣)。見返りが一切ないのに尽くす。尽くして尽くしてひたすら尽くしまくっているのに悪事の片棒を担がされても許す(号泣)。誰にも満たすことができない渇望にのみ込まれ、感謝や恩とといった感情が欠けている哀れなアジンを理解し、思い、労わり、優しく守ろうとする姿に深く感動しました。
なお、この3人の高校時代には(第1話)、保健室のベッドでジュンソがアジンに覆いかぶさったり、校舎裏でアジンがドフンの胸に飛び込んだりと、スキトキメキトキッスな恋の呪文をかけてもらえる胸キュン要素多めです。といっても、すぐに血まみれになってしまいますが。


また、中盤から登場する、ファン・イニョプ演じる、トップスター、ホ・インガンもまた、とびきり悲しいXでした……。アジンとインガンの“破滅のはじまりキス”は一枚の美しい絵画のようで、それがまた涙を誘います。インガンに対し、悪女ぶりに拍車をかけるアジンは非常に見ごたえがあります。その人でなしっぷりに、インガン人気が爆上がり。しかし、本作は彼女をステレオタイプの悪女、ソシオパスとしては描いてはいません。彼女に一体何があったのか。その秘密は本編でお確かめください。ええ、救いがないです。
5.“禁断のラスト”を見逃さないで!
ここまでずっと、本作の何がすごいのかを語ってきましたが、一番とんでもないのは、物語の結末です。観る人によって評価が真っ二つに割れる“禁断のラスト”に、「恐ろしいラスト」「ここまでやる必要ある?」「だが中毒性はすごい」など、SNSでも大炎上!
完璧を装い、スターダムを駆け上がったアジンと周囲の人々の救済と破滅を描いた本作はとにもかくにもショッキング。予測不能な展開への驚きととまどい、そして、突き抜ける不快感がビッグウェーブのように襲い掛かるので、ぜひともチェックを。
(筆者は、最終回のエンドロール後の映像にまでも心がざわつきました……)
「なんだか、すごいドラマを観ちゃったぞ……」と思うこと請け合いです!



『親愛なるX』の視聴はこちら






















































