バイラ世代が抱える、結婚やパートナーシップへのモヤモヤや焦り。イタリアを始め世界各地で暮らし、様々な結婚観に触れてきたヤマザキマリさんのお答えから、新たな視点が拓けてくるはず! 今回は「ハイスペと結婚した同僚と自分の夫を比べてしまう」という質問へのアンサー。
【読者の「結婚」に関するお悩み】
ハイスペと結婚した同僚と自分の夫を比べてしまう(31歳・介護)
「愛想がよく上司からも可愛がられている同僚が、いわゆる“高給取り”なハイスぺ男性と結婚しました。自分は若いうちに普通のサラリーマンと結婚したのですが、同僚の幸せそうな姿を見て、私だってもっと吟味すればいい人がいたのでは……と余計なことを考えてしまいます。自分の結婚を他者と比較せず過ごすコツがあれば教えてください」
ヤマザキマリさんのAnswer.
ほかの民族の結婚観を調べて。価値観は共同体によって異なる
ハイスペ男性と結婚した同僚が、あなたの中で完結させていた「結婚観」の予定調和を乱したわけですね。とにかく比較は自分を苦しませるばかりですから、意図的にやめましょう。それがうまくいかないのであれば、試しに世界の人々の暮らしや結婚について調べてみてください(笑)。「現代日本人の結婚観」とは、異なる社会があることに気づくはずです。雲南省の少数民族では、男は働かないのが大前提。高給取り以前の話ですよね(笑)。恐らくそこに日本の結婚観を持ち込んでも「??(お前、何言ってるの?)」という感じでしょう。常識や価値観なんて、国や集団によって全然違うんです。ちなみに私と夫の場合は、額面だけ見れば私が稼いでいますが、年齢も職種も働く国も違うし、比較すること自体に意味がない。ましてや結婚のスタイルは皆違います。そもそも経済力で人間性の損得を推し量るのはナンセンス。どのくらいの稼ぎであろうと頑張って働いているご主人を、もっとリスペクトしてあげてください。
ヤマザキマリ
漫画家・文筆家・画家。1967年生まれ。’97年に漫画家デビュー。’10年『テルマエ・ロマエ』で第3回マンガ大賞受賞。第14回手塚治虫文化賞短編賞受賞。同作品は、現在も世界各地で翻訳出版中。エッセイなどの著書も多数。
撮影/ノザワヒロミチ 取材・原文/石井絵里 ※BAILA2024年8・9月合併号掲載