良好な人間関係は、日々のひと言の積み重ねから! ビジネスシーンでの「よけいなひと言」を「好かれるセリフ」に変える言いかえ術をご紹介。第41回は、「そんなことは聞いてません」。

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■「そんなことは聞いてません」と言うのがNGなのはなぜ?
仕事でもプライベートでも「言った・言わない」が原因でトラブルになることがよくあります。「言ったつもりの人」「言われたことを忘れた人」「そもそも言われてない人」がいくら言い争っても、堂々巡りでますます険悪なムードになるだけ。
たとえ、上司から指示された覚えがないことを指摘されても、「そんなことは聞いてません」と、相手に非があることをとがめるような言い方は避ける配慮が必要です。
相手を逆上させるのは、「〇〇さんはこう言いましたよね?」「そんなこと知りません」「変更点があるなら早く言ってもらわないと困ります」と責任転嫁しようとする言い方です。
■言いかえるならこれ!
「そんなことは聞いてません」と言うのはNG。
では言いかえるなら何て言う?
↓↓↓
「その件は把握しておりませんでした」
が正しい!
相手の非を責めないで、トラブルを繰り返さない改善策に向けた言い方を。
■さらに上手に使うには?
相手に非があったとしても、「変更点がある場合は、口頭だけでなくメールでもご連絡いただけると助かります」とお願いすると、言い争いを回避できます。
もしも、自分の確認不足で相手に迷惑をかけてしまった場合は、「大変申し訳ありませんでした」と最初にお詫びしてください。その上で、「重要な連絡について私から返事がない場合は、メールを見落としている可能性があるので、大変申し訳ありませんがリマインドしていただけるとありがたいです」とお願いしてみてもいいでしょう。
終わったことの責任のなすりつけあいではなく、同じ失敗を繰り返さない「改善策」について建設的な話し合いをすることが、信頼関係につながっていくのです。
■引用したのはこちら

よけいなひと言を好かれるセリフに変える 働く人のための言いかえ図鑑
サンマーク出版 大野萌子著

大野萌子
公認心理師、産業カウンセラー。一般社団法人日本メンタルアップ支援機構(メンタルアップマネージャ®資格認定機関)代表理事。2級キャリアコンサルティング技能士。法政大学卒。
企業内カウンセラーとしての長年の現場経験を生かした、人間関係改善に必須のコミュニケーション、ストレスマネジメント、ハラスメントの分野を得意とする。官公庁をはじめ、大手企業、大学等で5万人以上に講演・研修を行う。テレビ、ラジオ、新聞などのメディア出演、監修多数。
取材・文/佐久間知子