良好な人間関係は、日々のひと言の積み重ねから! ビジネスシーンでの「よけいなひと言」を「好かれるセリフ」に変える言いかえ術をご紹介。第42回は、「なくはないんじゃない?」。

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■「なくはないんじゃない?」が相手を混乱させるのはなぜ?
部下を持つと常に「これでいいでしょうか?」「これはどうしますか?」と進めている仕事に対する意見やアドバイスを求められるようになります。
しかし上司も人間ですから、白黒はっきり判断がつかないこともあります。その場合「なくはない」と言う人がいますが、「ノーとは言えないけれどイエスでもない」といったあいまいなニュアンスで、相手を混乱させてしまいます。
リスクを避けてモヤっとした対応ばかりしていると、部下の信頼を失ってより大きなリスクを背負うことにもなりかねません。意思表示はいつどんなときもはっきりと、を心がけましょう。
■言いかえるならこれ!
「なくはないんじゃない?」と言うのはNG。
では言いかえるなら何て言う?
↓↓↓
「これもありだね」
「それもいいかもね」
が正しい!
あいまいな返事は相手を混乱させるだけ。意思表示は明確に。
■さらに上手に使うには?
「やってもいい」という、肯定的な意味合いが強いのであれば、「これもありだね」「それもいいかもね」とプラス言葉で返したほうがわかりやすいです。
「ありよりのありだね」という言い方も流行っています。本来は「文句なしのあり」という意味ですが、「どちらかといえばあり」の意味で使う人もいます。こうした遠回しでわかりにくい表現は避け、完全にイエスと言い切れない気になる点があれば、「この部分を再考してみて」と具体的に伝えてください。
また、断る際は「この企画は前にやったことがあるから、他のアイデアを考えてみて」と、断る理由もセットにすると、相手も納得しやすいでしょう。
■引用したのはこちら

よけいなひと言を好かれるセリフに変える 働く人のための言いかえ図鑑
サンマーク出版 大野萌子著

大野萌子
公認心理師、産業カウンセラー。一般社団法人日本メンタルアップ支援機構(メンタルアップマネージャ®資格認定機関)代表理事。2級キャリアコンサルティング技能士。法政大学卒。
企業内カウンセラーとしての長年の現場経験を生かした、人間関係改善に必須のコミュニケーション、ストレスマネジメント、ハラスメントの分野を得意とする。官公庁をはじめ、大手企業、大学等で5万人以上に講演・研修を行う。テレビ、ラジオ、新聞などのメディア出演、監修多数。
取材・文/佐久間知子